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属性別のネガティブ感情度比較

OECD幸福度白書の「ネガティブ感情度」について、男女、年齢、学歴といった属性別の各国比較を見ていきます。
ネガティブ感情度とは、調査日前日の感情状態についてネガティブな回答がポジティブな回答を上回っている割合です。
ネガティブな感情状態とは、怒り、悲しみ、不安、恐れを抱いている状態です。ポジティブな感情状態とは、くつろぎ、喜び、笑ったり微笑んだりしている状態です。

原データは、国ごとに1000サンプル程度で行われているギャラップ調査です。結果のばらつきを抑えるため、長期間の平均値(2010年〜18年)で比較されています。
考え方を共有する同じ国民の間における男女、年齢、学歴といった属性間の比較は有効性が高いと考えられます。

女性、高齢、低学歴の者ほど幸福感が薄くなるのが世界の通例です。
しかし日本人はこれに反しているというのが目立った特徴です。

うつ病は女性の方が多いというのが世界の通例であることからも類推できるように、ネガティブ感情度の男女比(男性÷女性)は、日本を除くすべての対象国で1以下です。つまり、女性の方がマイナスの感情に陥りがちです。

同じ北欧諸国でもノルウェー、デンマークでは女性の方がネガティブ感情度がかなり高く、フィンランド、アイスランドではむしろ男女比が1に近いです。
最も特徴的なのは、日本人だけ男性のネガティブ感情度が14%も女性を上回っている点です。世界価値観調査などでも日本人の幸福度の女性優位が目立っています。

次に年齢差についてです。
世界的には、若者の方が高齢者よりネガティブ感情度が小さいのが通例です。若者だけで比較した場合、各国のネガティブ感情度は国による違いが小さいです。
一方で、高齢者のネガティブ感情度の差は国によって大きく、高所得国ほど低くなります。所得水準の高い国は社会保障が充実していて年齢差は目立ちません。途上国の高齢者は生活していくだけでも大変です。

日本は、高齢者のネガティブ感情度が低い方から2番目です。
高齢者のネガディブ感情度は、高福祉社会といわれる北欧諸国が世界で最も低く、それに伴って年齢差も最も低くなっています。そして日本はそこに肩を並べています。
少なくとも感情の状態だけを見ると、日本は高福祉社会の域に十分達していると言えます。

最後に学歴についてです。
日本は、中等教育卒業者のネガティブ感情度がメキシコに次いで低く、初等教育卒業者の場合は最も低くなっています。
日本は学歴差によるネガティブ感情度の差が最も小さい国のひとつです。
学歴と身分、職種、所得は密接に関係しており、ネガティブ感情度は低学歴の者ほど高く、高学歴のものほど低いというのが世界の通例です。
ここでも日本は例外的な特徴を表しています。

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