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「世界は変えられる」と自分に言い聞かせる人、「世界は変えられる」と本気で思っている人

決して読書家とは言えないが、文章を書くことで生計を立てているので、少なくとも週に一冊くらいは本を読むようにしている。プロ意識が低いと言われてしまうと、言い返す言葉が見当たらないのだけれど。

読書の目的は、知識を獲得することではなく、語彙を拡充することに置いている。

語彙が多い人間ではなく、表現力が豊かなタイプでもないので、第三者の言葉を浴び、反復することで、自分の言葉をつくろうという魂胆だ。

どこかで見返したい言葉や、自分の語彙として獲得したい言葉は、Evernoteにメモを取る。

書籍から引用した数あるメモの中でも、とりわけ気に入っているのが、リンダ・グラッドン著『THINK WILD』の一節「大きな夢を持つ能力は、国や性別や年齢とは関係がない」だ。

聞けば、至極あたり前のことである。貧困の家庭に生まれようが、学歴がなかろうが、自分を押し殺してきた人生を送ってこようが、誰であっても夢を持ってていい。もちろん、夢の規模は大きくても小さくてもいい。

しかし、悲しいかな、夢を持つことにネガティブなイメージを持つ人が少なくない。「自分にはできっこない」とか、「普通がいちばん」とか、夢を持っているのにもかかわらず、それを遠ざけることで、小さくまとまろうとしてしまうのが人の常だ。

そして、残念ながら、自分もその一人だといえる。

かつて『THINK WILD』を読んだ際に、あまりの感動からリンダのもとで働きたいと考えたことがあった。

リンダの事務所に足を運び、入口の前で待ち伏せして、「やあ、リンダ。あなたの本を読んであまりに感動して、たまらず事務所まで来てしまったよ」と伝えれば、どう転んでも人生は好転するだろうと思っていた。

ただ、飛行機の便を調べることさえしなかった。「英語が話せないから」とか、「抱えている仕事があるから」とか、しょーもない理由で頭の中から描いた夢をかき消してしまった。

いまになって振り返ると、ただの衝動であって、本当にリンダのところには行こうとは思っていなかったのだろう。もしくは、行動力の塊ともいえる起業家たちの話を直接聞きすぎたせいで、自分もそうであると錯覚していたのかもしれない。

ただ、なんにせよ、一度でも頭の中に描いた夢を、自分の手で遠ざけたのは事実だ。

どうしてそうなってしまったのかといえば、日常的に消極的な選択をしてきたからだと思う。本気(言葉にする以上に)で受験勉強に臨んだことはないし、就職活動もしなかったし、背伸びが求められる仕事に自分だけの意思で参加したことはない。

そんなことだから、27になって代表作の一つもないし、顔の見えない誰かに名前を知ってもらえることもない。わりと私生活を仕事に捧げているのにも限らず、だ。

もしかすると、自分と同じような感情を抱えている人が、少なからずいるかもしれない。21時を過ぎた退勤後の電車や、自宅で缶ビールを開ける直前に、「こんなはずじゃなかったのにな」と悔しさを覚えるような人が。

挑戦を挑戦だと思わない人、挑戦を無謀だと思う人


簡単にいえば、僕は「挑戦を無謀だと思う」類の人間だと思う。別にやる前から諦めてしまうようなことはなくても、「自分にはできないだろうな」というネガティブな感情が少なからずある。

一方で、取材をしていると、「挑戦を挑戦だと思わない人」にも出会う。そのパターンは、大きく二つだ。

まず、「世界は変えられる」と自分に言い聞かせ、その言葉に思考を乗っ取られるタイプの人類。僕が出会ってきた起業家の多くは、この類だ。

これには、根拠があるらしい。脳科学や認知科学、心理学でいう「プライミング効果」だ。言葉には行動に影響を与える効果があるそうで、毎日のようにポジティブな発言をしていれば、自ずとポジティブな思考になるのだという。

もう一つのタイプは、「世界は変えられる」と本気で信じているタイプの人類だ。すごく稀有な存在だが、一定数いる。

僕が出会った中でいうと、ブログウォッチャーの蔦田慎史さん、ZOZOのクリスティン・エドマンさん、そしてmorichの森本千賀子さんがそれに該当する。

この3名が、どうして「世界は変えられる」と本気で信じているタイプ(僕にはそう見える)なのかは分からない。

生まれ持った才能なのか、幼少期に受けた教育なのか、一度自分の手で世界を変えた経験があるからなのか。理由は分からないけれど、彼・彼女らが持つエネルギーはすさまじい。そして、掲げた夢を「ひょいっ」と達成してしまう(もちろん、積み上げてきた努力があってこそ)。

こういった人たちに会うと、一瞬で、「自分とは違う」と分かる。卑屈になっているのではなく、明らかに身体から発せられる周波数が違うからだ。

森本千賀子になるには、どうすればいい?


「世界は変えられる」と本気で信じているタイプの人は、本当にすごい。なぜなら、「自分とは違う」と圧倒されても、「彼・彼女らのようになりたい!」と思わせてしまう求心力があるからだ。

要は、「挑戦を挑戦だと思わない」ように見えるので、とてつもない時間と労力を充てたであろう過去の努力が見えないのである。だから、「自分もやってみよう」と、いい意味で、安易に思える。

先日、森本さんと数年ぶりにお話しする機会をいただいたが、本当にとんでもなかった。1時間話しただけで、数年分のやる気が湧いてきた。励まされたわけでも、応援されたわけでもないのに、勝手にやる気になっていた。

蔦田さんも、エドマンさんも、インタビューをしているだけでエネルギーが湧いてきた。できることなら、またお話しする機会をいただきたいし、もっといえば、彼・彼女らのようになりたい。

じゃあ、どうすればいい……?

森本さんがいうことには、自己達成予言をすることらしい。

自分がありたい姿をイメージしたら、その特徴や状態をできるだけ具体的に言語化して、紙に書き出し、声に出しながら何度も何度も繰り返し読みながら、脳幹の奥にある潜在意識に刷り込ませます。

「目と耳とそして心で聞く」ことを繰り返し、「思い描いた姿・イメージ」を自分自身に何度も何度も刷り込みます。「信じ込ませる」といえばわかりやすいかもしれません。人は意識すると昨日まで通り過ぎていたものでも、反応するようになります。

意識が変われば行動が変わります。行動が変われば習慣が変わります。習慣が変われば人格が変わるのです。そして、人格が変われば人生が変わると信じています。

スピリチュアルといえばスピリチュアルで、脊髄反射的に遠ざけたくなってしまう人もいるかもしれませんが、これがマジらしい。

「30歳で日経ウーマンの表紙になる。それを見た方から連鎖でビッグチャンスの仕事の依頼を受ける」と単語帳に書いていて、31歳のときに初めて個人の「森本千賀子」として『日経ビジネスアソシエ』さんに取材していただきました。それがきっかけで再縁した大事なご縁もあります。

また、「40歳でテレビのニュース番組のコメンテーターとして打診を受ける。世のなかに想いを発信する」と書いていたんですが、42歳で NHKさんの『プロフェッショナル 仕事の流儀』に出演させていただきました。ある意味、私の仕事観、人生観を発信頂きました。少し目標とは年齢差などそのまんまではありませんが、思い描いていた通りの人生になったんです。

森本さんは、自己達成予言をして、それをそっくりそのまま達成したそうです。本当に、すごい。

そして、僕の師匠である長谷川リョーもまた、同じようなことを言っている。人生に絶望し、日本を離れた彼も、遠く離れたケニアの地で新しい人生を手繰り寄せている。もちろん、偶然ではなく自分の手で。

ぼくの実体験からいえることとして、世にいう「自己達成予言」や「引き寄せの法則」は一つの真理である。そして、その原理原則はしごくシンプルなものだ。自分は「こんなことがしたい」「こんな人に出会いたい」と、あらゆる場所、あらゆるタイミングで言葉にし続けるのだ。

生きてりゃいいことはある

夢のかなえかたは、きっとシンプル


今月のテーマが「夢」という壮大なもので、書くのも恥ずかしくなってしまうから横道に逸れてしまおうかと思ったが、どストレートに夢についての備忘録を書いてしまった。

それでもなお、「自分はそういうタイプの人間ではない……」と心の奥底で思ってしまうのだから、情けない。

ただ、死ぬことが約束された人生なのであれば、背丈よりも少しくらい高い夢を掲げることも悪くないのではないかと思えてくる。

じゃあ、僕の夢はなにかって。個人としてのミッションに掲げている「人と世界を動かすテキストで、明日の景色を変える」を達成することになる。

ライターという仕事を続けてきた根幹にあるのは、「自分が書いたテキストで、誰かの明日の景色が変わればいいな」という淡い希望。そろそろ、達成してもいいのではないかと焦っている。

そのためになにができるか……たくさんあるだろうけれど、まずは森本千賀子さんの本をつくりたいと思っている(いろいろ後ろ向きなことを書いてきたけれど、もう本人に伝えてある)。

僕が出会った人の中で、もっともえげつないパワーを持っていた森本さんの書籍を世に出すことで、「自分が書いたテキストで、誰かの明日の景色が変わればいいな」をかなえたいし、それを代表作にすることで、自分の明日の景色も変えてみたい。

人間である以上、ちゃんと夢を掲げて、夢に向かって生きてみたい。ここで自分に、今一度、応援のメッセージを。「大きな夢を持つ能力は、国や性別や年齢とは関係がない」。

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