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映画『原発をとめた裁判長 そして原発をとめる農家たち』監督記:81 音楽大詰め2

2021/11/30 晴れ。前作『日本人の忘れもの』から2年ぶりにecho and cloud studioで音楽録音が始まった。ミュージシャン松井啓治さんが作った素晴らしいスタジオにまた来られて嬉しい。本作の音楽は全6曲で、そのうちの1曲は6つの楽章に分かれている。はじめにホイッスルの安井敬さんの演奏を録る。オープニング曲は「素速き戦士」のインストルメンタル版でこちらはアイリッシュ然としたアレンジなのでティンホイッスルという笛が登場。自分はアイリッシュミュージックが大好きで友達と素人バンド組んでいることもあり、プロの笛奏者を間近に見られることに興奮を覚える。安井さんが録音ブース内でどの笛にするのか選んでいるのを見ると、メッチャたくさん笛持ってるー!とマジマジと観察してしまう。そしてプロはやっぱり凄い演奏をなさる。

安井さんの演奏で心躍る

音楽監督の吉野裕司さんとこれまでにやりとりしていた曲はシンセサイザーの仮音だったので生の笛の音色を聞くと、シンセでは分からなかった吉野さんの狙いが聞こえてくる。楽譜には書けないことが具現化されるのが生演奏の凄いところだ。
撮影以外は自宅に篭って編集する日々なので、音楽録音という共同作業は本当に楽しい。

曲を作るわけでもないし、演奏もしない監督が音楽録りに来て一体何をするのか?とお分かりにならない人もいると思うので説明すると、映像と音楽の一体化のためには、演奏、音のバランスや盛り上がり方を録音時に確認しなければならないからだ。吉野さんは演奏やミックスの際に映像の編集に対して“このアプローチで良いか?”と訊いてくれる。自分の目論見と少し違った場合は、“盛り上がりはこのカットからにしたいんです”というように答える。なかなか文章では伝わりにくいが、簡単に書くと「もっとバーン!って感じにしたい」とか「もっと素朴な感じがいい」とか言って、吉野さんに理解してもらうのだ。
この音楽録りという作業は、スタジオで芝居を撮るのに似てると思う。みんなで目論見をかたちにしてゆく積み重ねの作業が自分は大好きだ。

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<映画公式サイト>
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