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【奇祭】-鞍馬の火祭2023-轟く声と散る火花【鞍馬の未来は】

鞍馬の火祭に行った。

2023年夏、私はたこ焼き屋さんのおじさんからある興味深い情報を得ました。
それは、”毎年10月22日、京都の鞍馬で人々が巨大なたいまつに火をともし町々を練り歩く奇祭”が行われる。とのこと。
そしてその祭りを見た人は感動して必ず来年も見に来ると。

そうです。その祭りこそが「鞍馬の火祭」

そしてこれはカレー屋さんから聞いた情報なのですが、鞍馬の人にとっては鞍馬の火祭は何よりも大事な行事で、お正月よりも重要だったそうです。
昔は祭りの当日、民家の扉をあけ放ち、歩いている見ず知らずの人を家にお招いてごちそうしてくれることもあったそうです。
地元に根付いた祭りなのですね。文化的にも面白いです。

そんな鞍馬の火祭に実際に行ってみると、私の予想を様々な面で超えていました。

今回はその鞍馬の火祭に実際に行った時の記録を綴っていきます。

自己紹介:3DCGで不思議な世界の動画を作っています。



祭りの様相

叡山鉄道に乗って鞍馬に近づくと、たいまつの炎が見えてきました。
町に降り立つと道の真ん中を大きなたいまつに火を灯した男たちが「サイレィヤ、サイリョウ」と掛け声を上げながら行進しているさまは大迫力。

混雑するため警察の方々が懸命に誘導をしていました。
警察の誘導に従い町の順路を歩いていきます。その道の真ん中をたいまつが通るのです。

道にはいたるところにかがり火が設置しており、秋の夜の山は寒いはずののですが、火のおかげで全然さむくなく、むしろ暖かいくらいです。
灰が飛んできては、上着や髪に降ってきていました。

たいまつだけでなく、山車や高い旗を掲げている者もありました。鞍馬の古い街並みと合わせて昔の光景がそのまま蘇ったような気持でした。たいまつが集められる場所である由岐神社の石段下には次々とたいまつが投げ込まれ大きな炎となって燃えていました。

男性たちが大きなたいまつを持ち上げる際の「おおぉおおおおお」という掛け声はすごく威勢があり、見ているこちらの気分も燃え上がるようでした。これこそ「まつり」というような感じです。

現場の様子

現場の具体的様子、主に混雑の具合について書いていきます。

人が多すぎる!

祭りの美しさを忘れるくらい人がめちゃくちゃ多い。

まず基本的に鞍馬には叡山電鉄出町柳駅からいくのがメジャーな行き方だと思うのですが、18:00の時点で出町柳には鞍馬に向かう人の長蛇の列ができており、地下の阪急へ続く階段をずっと降りたところまで続いていました。
その大半は外国人観光客だったと思います。

満員電車に乗って終点の鞍馬まで電車で約30分。
駅を下りた瞬間人の流れに乗せられ、歩き出します。
警察の方が大勢日本語と英語を交えながら大声を出して人の流れの誘導を行っていました。

鞍馬の町は道幅がせまく、おまけに真ん中を火のついたたいまつが通るため歩行者のためのスペースなんて十分にとれるわけありませんよね。

混雑回避のため立ち止まることはできず、なかなか落ち着いて撮影したり見物したりする時間が取れませんでした。


やばいのは帰り
警察の方々の誘導がすごいもので、あらかじめ誘導コースを計算しつくしている感じでした。

メインの道から外れると駅に帰る人の待ち列に合流します。
しかしその道がくせもので、川のそばの細い道にぎゅうぎゅうになりながら待ちます。
私は45分ほどここで待ったと思います。

その後つまりが解消され列が流れ始め、駅に行くかと思いきや大きく遠回りをして駅に向かいます。

まず駅から遠ざかる方向に誘導され、Uターンするといった感じです。そして駅付近に到着したら最後の電車を待つ列に並ぶことができます。

いつもは空いている鞍馬駅前のスペースが外国人観光客の列でうまっていました。


電車は、人数過多の回避のため駅員さんが乗車する人数を管理していました。私は運よく電車の席に座ることができたのですが、すぐに満員になります。

なので待ち時間を作りたくない方は、待つのではなく歩いて隣の貴船口駅まで行き、そこから電車に乗車するのがいいかもしれませんね。

結果的には待っている時間の方が祭りを見物する時間より長くなってしまいました!

所感

鞍馬の火祭、非常に幻想的で美しい祭りだったと思います。たいまつを持ち上げるお父さんを息子が応援しているのを見て、この地に受け継がれ根付いてきた祭りなのだなという事を実感しました。

ただ、やはり何と言っても外国人観光客の数の多さ。

警察の方が誘導してくださっているものの、道は狭く人でぎゅうぎゅうで、帰りの駅までの列の川の横の小道もすごくせまく、草も生えており、無理やりこの道を帰り道に仕立て上げたような、そんな感じが否めません。

電車の本数も多くなく、車両の数も少ないです。
なんというか、いろいろとこの町の「限界」、オーバーツーリズムの現状を感じました。

鞍馬のこれから

鞍馬の火祭は山の方の小さな町でひっそりと行われてきた祭りだったはずです。
今のような観光客が集まる大イベントではなく地元の人たちの間で地道に行われてきた伝統行事なのです。

しかし現在のネット社会。世界がオープンになり、昔のようなクローズドなコミュニティは無理にでも外に開かれ、全世界に見つかってしまうこととなります。
とすると、観光の視点では、鞍馬の火祭はもはやかつての「地元の間ででひっそりと行われきた祭り」ではなく、いうなれば「物珍しい必見の大イベント」になるのです。
外国の方が日本に興味を持って楽しんで訪れてくれることは非常に喜ばしいことです。現に日本は外国人からの人気旅行先です。

しかし、今回の鞍馬の火祭からは観光の限界を感じざるを得ませんでした。
小さな町の小さな祭りに数多の人が見に殺到しているという状況。

観光客の数はこれからどんどん増えます。
そうなったときに鞍馬の町、そして京都はどうなってしまうのでしょうか。
観光の在り方について今一度考えるべきかもしれません。

ともかく、これから先どうなっても何年たったとしても、10月22日の鞍馬では大きな掛け声がとどろき、たいまつの赤い炎が燃え続けていることを願うばかりです。


閲覧ありがとうございました!

自己紹介:3DCGで不思議な世界の動画を作っています。ちぇっく


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