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『Still Wakes The Deep』クリア感想

ちまたでも話題になった「日本語の翻訳が九州弁」ということで気になっていた作品ですがxbox game passにあったので今回プレイしてみました。
内容としては海上石油掘削施設でホラーゲーム『CARRION』の主人公のようなクリーチャーから逃げる一人称ホラーですがとりあえずそれは置いときます。
まず九州弁については原文のスコットランド訛りを日本語に訳すにあたり、その一つの解釈として採用されたそうなのですが、これはプレイしていて「やりすぎだろ」と思ったのが正直なところでした。例えば京都や大阪の方言であれば馴染みもあるのでだいたいわかると思うのですが、今作の方言の場合あまりに耳馴染みがない為「普通に何言ってるかわからない」「ニュアンスすら取りこぼしてしまう」というような事が多々あります。またこれは他の方の感想にあったのですが、「複数の登場人物が出てくるが翻訳が画一的でキャラクターに個性がない」とは自分も同じように感じました。感覚としては英語から日本語(標準語)に人の手によって一度意訳され、その後九州弁に機械翻訳をかけたような印象です。

また自分がこの作品に翻訳以上に問題だと思った点は画面が暗過ぎて視認性が悪いという部分です。これは他の方の感想ではあまり言われていないようなので自分の環境のせいもあるかもしれません。序盤で拾う懐中電灯をクリアまでのあいだ常時点灯させなければまともにプレイできない状態が続くのですが、この懐中電灯の照射範囲が狭く、また少しでも画面上部(つまり一人称視点で見て頭部に当たる部分)に障害物があると光が消えてしまう仕様らしく大変使いづらいものでした。

基本的には一本道のダンジョンをどんどん突き進んで行けばいいのであまり詰まるということはなかったのですが、何ヶ所かはどこに行けばいいのかわからず、先ほど言った視認性の悪さも相まってストレスを覚える事がありました。

ストーリーについてですがこれもよくわかりませんでした。というのも主人公や周りにいる人がどういう人物で過去に何があったのかというのはなんとなくわかるのですが、ゲームプレイの小目標、大目標に対して自分は全く置き去りにされてしまいました。まず小目標についてですが、舞台が石油掘削施設というのもあり、これもよくわからない専門用語が度々登場します。たぶんそこまで難しい言葉ではありませんが施設を全く知らないプレイヤーからすると主人公と自分との間に十分な乖離を感じさせます。ここに先ほども言いましたが難解な九州弁も相まってどんどん置いてけぼりをくらいます。
そして大目標についてですがこれが本当に自分はわからなくってクリアまでずっと迷子でした。まずゲームの序盤、施設が大きな災害に遭った時に職員は脱出を試みるのですが、脱出ボートもヘリコプターも大破して施設から抜け出す方法がなくなります。え?じゃあどうするのって状態でした。そこから糖尿病の兄貴だか叔父だかのためにインシュリンをとりに行くのが大目標になるっぽいんですがそれを手に入れたところでどうするのか結果謎でした。さすがに自分が何か見落としてるだけだと思うのですがこのゲーム目標AのためにBをやろうとしたら問題が起きてCをやらなきゃいけなくなって…みたいなことが延々続くので似たような景色の中自分が今どこにいて何をやろうとしているのかわからなくなるんですよね。(ただし登場人物たちは完璧に把握しているのでよけい気持ち悪さがある)

ホラーゲームの表現としては自分は『エイリアン アイソレーション』に近いものを感じましたし、『SIREN:NT』を思い出したと言っている方もいました。ただそれらの作品ほど緊張する場面はありません。

4~6時間ほどでクリアできる内容だし佳作と言えるレベルの品質ではあると思います。九州弁、ホラー、The Chinese Roomの新作に興味のある方は触ってみたらどうでしょうか。
ここまで酷評しておいてなんですが、翻訳のことばかり話題になるのは少し残念なゲームだなとも思いました。
あとエンディングの歌に翻訳つかないのも残念でした。そこは訳してほしかった。

以上

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