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『INDIKA』クリア感想

冒頭の頭部を強打するような演出から始まり、そして終盤に至るまでインディカは混乱の渦中にあり続ける。それはさながら地獄めぐりだ。
彼女は自らの不条理なその境遇になんとか合理性を持たせようと形而上学的な存在に縋るのだけれど、悲しいかな不幸にも賢い彼女はその法則の矛盾に自問自答し続けることになる。それは悪魔という形で常に彼女を苦しめる。

この作品の中でインディカはあらゆるものに意味を見出そうとする。そのため聖具や信仰にまつわるものを手に入れると経験値が手に入り度々レベルが上がる。けれどその恩恵を受けることはエンディングまで一切なく、レベルアップのたびに感じるのは以前よりも強い虚無感だけだ。
Netflixのアニメ『ボージャック・ホースマン』という作品の中で主人公が「俺たちは誰かが死ぬと何かそこに意味を見出そうとする。でも俺たちが想像する物語なんてそこにはないんだ。」というような台詞があるのだけれどそれを思い出した。

『INDIKA』は神殺しの物語だ。自分の人生に意味を見出さない為の辛く険しい旅路だ。
けれどそれは決して悲劇ではない。

美しくも退廃的、そしてアシッドなロシアの世界を歩くのは本当に楽しかった。おそらくこの作品を超えるビデオゲームは年内に出てこないだろうというほどの傑作。

以上


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