東京都美術館の食堂

記憶が不確かだが、20年前くらいまであった昔の都美術館の食堂。ウェイトレスは白襟、紺色の古風なユニフォームに白い布の髪飾りのようなものをつけていた。おいしくて安い、洋食屋の伝統を受け継ぐ貴重なレストランだった。

お昼時にはいつも混雑していて相席が当たり前。薄ーい卵焼きが全く継ぎ目なくケチャップライスを覆う芸術的なオムライス。一体どうやって仕上げたんだろう。グラタン皿に厚切りのハムと卵2個を落とし、天火で焼いたハムエッグ。分厚いカツサンド。ウスターソースはイギリスのリー・ペリンが置いてある。トンカツ、チキンカツには千切りキャベツ、トマト、キュウリ、ポテトサラダ。ポークソテー、チキンソテー、ハンバーグにはニンジン、ジャガイモ、サヤインゲンなどの温野菜と平打ちヌードル、と付け合わせも区別されていた。もう一つ、いつの間にかメニューからなくなっていたが、「ハンガリー風ラム」。プリン型で抜いたバターライス、ラムのソテー(?)クレソンなどの盛り合わせ。小食の人にピッタリだけど、謎の料理だった。

夕方美術館の閉館とともに閉店してしまうのだが、その間際に老紳士がサラミとチーズの盛り合わせをつまみにワインの小瓶をたしなんでいた光景を思い出す。

もし叶うのなら、オムライスとハンガリー風ラムをもう1度食べてみたい。(ほかの料理もね)。

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