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カーネルおじさんに思うifの物語

心理学者の人から「人は3人から同じことを言われたりされたりすると、それを真実だと思い込む性質がある」と聞いたことがある。

例えば100人の村で生きている人が、ある3人から別々のタイミングで「あなたがきらい」と言われたとする。そうすると言われた本人は「私はこの村のみんなから嫌われている」と強く思うそうだ。
残りの97人はその人を嫌いでなかったとしても、3人に嫌いと言われた本人は100人全員が自分を嫌っていると思い込む。

この3という数字がミソで、人は1回くらい何か言われても響かない。だが2回同じことを言われると「あれ、もしや」と思う。それが3回同じことを言われると「やっぱりそうなんだ!」と確信に変わるそうだ。

他人の文章を読んでいると、多かれ少なかれ人は思い込みの中で生きていることを実感する。「私は頭が悪いので」と書いている人の頭は、きっと本当は悪くなんかないはずだ。
別々のタイミングで3人以上の人から心ない言葉をかけられたり、そう思わざるを得ない状況が3回続いただけではないのか、とやさしくその人に問いたい。

そう考えると、フライドチキンの作り方の営業を1009回断られても諦めなかったというカーネルサンダースさんは偉大だ。というか異常だ。私ならたぶん売り込み3店舗目くらいで諦める気がする。

もしかしたらカーネルさんは「3回で思い込みが生まれる法則」を知っていたのかも知れない。
もしくは、いくら売り込んでも売れずに落ち込むカーネルおじさんに「こんなに美味しいフライドチキン、いつか絶対にヒットするよ」と、カーネルおじさんを制限しようとする思い込みを、ひたすら外し続けた存在が誰かいたのかも知れない。

どこぞのホテルの唐揚げなんかより下手したらよっぽど美味しいケンタッキーというフライドチキンを作り、それを広めることを諦めなかったカーネルおじさんには畏敬の念しかない。そしてそれを支えた人たちに私は憧れを抱いてしまう。

物書きという言葉をあつかう人間として、その人を縛る思い込みから自由になるような文章を1つでも多くこの世に残していきたいなと思っている。


最後までお読みくださり、ありがとうございます。書き続けます。