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お金の不安から自由になりたくて、シータヒーリングを受けてみた

実家のポストにはよくチラシが入っている。スーパーやファミレスのクーポン券、マンション購入のお誘い、求人広告、神様を信じましょう、などなど。
その中には最近よく資産形成セミナーのチラシが入っている。そういうチラシはたいてい「あなたは老後に2000万円を貯められますか?」と、ドキッとする出だしで始まったりしている。

自分はとてもではないが老後資金に2000万貯められる自信がない。というか独立したてで日々の暮らしも切り詰めている。私はこのままで大丈夫なのだろうか。

そんな不安を抱えて過ごしていた折、SNSでなんとなくフォローしていた知り合いの知り合いが「お金のブロックを外すセッション」というのを始めていた。
ほう、お試し価格で30分2,000円か・・2000・・2000万・・ロウゴノオカネ・・タメラレルカナ・・

気づけば私は良く知らないその人のセッションを申し込んでいた。

日程を調整して、セッション当日。

シーターヒーリングという手法でお金をテーマに話をしていく。セッションを担当してくださった浅岡さんは「では仁美さん、もし自由に手に入るお金があるとしたら、いくらくらいほしいですか?」と聞いてきた。コーチングでいうところの目標設定だ。

60歳で2000万貯めるには、今わたしは34歳、あと26年ということは1ヵ月6万貯金しなきゃいけないから、生活費も入れて・・

「年収400万くらいでお願いします」とお願いすると、浅岡さんは意外という顔をした。
「ずいぶん少ないんですね。大体の人はこういうとき1億とか2億とか言うんですけど」「いいんです、手取り400万もあれば十分御の字です、これでお願いします」と頼みセッションは始まった。浅岡さんに私のハイヤーセルフと話してもらう。

「・・うーん、少ないお金を大切に抱きしめてらっしゃいますね。もっと受け取ってもいいんだよって言ってみたんですけど『私が受け取るなんて』と非常に抵抗されていらっしゃいます」

ああ、私だ。自分の力以外で稼いだお金以外は、決して受け取ってはいけないと思っている自分だ。

浅岡さんはそのまま私に「失礼ですが仁美さんのご両親、お金は持ってらっしゃいますよね?」と聞いてきたので「まあ、持ってないわけではないですが、自分は受け取るのを拒否してます」と自分の生い立ちも少し話した。

「一緒に食事に行った時も、自分の分だけ別会計するくらい。親には自分にお金を使ってもらいたくないんですよ」
「あら、なんでですか?」
「それはやっぱり、祖母が」と言ったとたん、声が詰まった。

祖母は大正の生まれで長女だったため、婿をもらって小澤家を守った。家を守ることが一番大事だったので、長男である兄をとてもかわいがっていた。

祖母は両親が私にお金を使おうとすると「長男より末っ子を大事にするのか」と非常に怒った。
両親も私にすごくお金を使ったわけではないのだが、やはり女の子なので可愛い恰好をさせたりしたかったのだろう、服などを買うたびに祖母は「情けない」と怒った。そういうやり取りを見て育った自分は、お金を受け取ることそのものに罪悪感がある。

「どうしたらいいのか聞いてみますね」と浅岡さんは上の方に聞いてくれた。「・・うーん、たかってみろって言ってますよ」「誰に?」「ご両親に」と言われて吹き出した。私が一番やりたくないことだ。

「お金の流れって月20万稼いで、3万税金に取られて、生活費の残りは貯金してってそんな細かいやり取りでは本来ないんですよ。たぶんですけど、仁美さんご両親に『結婚して幸せになりたいから、婚活のために服代とか美容院代の10万くれ』って言ったら喜んでくれると思いますよ」

うおお、一番抵抗があることだ。「そんなことやったら家の平和が」と言いかけて気づいた。自分は家族の平和を願っていて、そのためにお金を受け取らないようにしていた。でも祖母亡き今、お金を受け取るかどうかは実家の平和にもう関係ない。
「親に、たかってみます」と約束してセッションは終了した。

セッション終了後、母と散歩に出かけた。近所を歩いているとラーメン屋さんから美味しそうな出汁の香りがしている。

母が「入ってみようか?」というが「いいよ、家に帰ってサッポロ一番つくるよ」と母の案を拒否した。

しかしセッションのことがあったので「・・やっぱり入ろうか。でも私、あんまりお金がなくて」と言ってみたところ、母はとても嬉しそうな顔で「何言ってんの、そんなの払うよ、払わせてよ」とラーメン屋に入った。

久しぶりに親のお金で食べる外食は、なんだか合わない服をきているような心地の悪さがあった。出てきた昔ながらの鶏ガラのスープの醤油ラーメンは、とても美味しくて胸に染みるものがあった。






*このセッション体験記は個人の感想であり、特定の効能・効果を保証したり、あるいは否定したりするためのものではありません。


火曜日お疲れ様です。
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何事も、適当にしっかりで参りましょう。

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