焼きたてワッフルを一人で食べても、世界は崩壊しなかった
学びの場が好きで、マッサージから始まりカウンセリング・コーチング・リーダーシップ・NLP・文章と、様々な研修の場に行ってきた。
学びの場では、誰かに自分の成果をアピールしたり、顔色を窺ったりしないで済む。ただお互いの気づきを大切に尊重し合う平和な空間が好きで、今も行ってみたいと思った講座には、すぐいそいそと出かける。
しかしそんな私にも学びの場で苦手な時間がある。それはランチライムだ。
コロナ以前、ワークショップとは対面で行うことが当たり前だった。1日がかりの研修ではお昼を挟むことが多々あり、そうなると参加者同士で「じゃあ一緒にあの定食屋さんにでも行きますか」という流れになるが、それが私には苦痛だった。
社交的な方には全く理解できないことと思うが、今よりもっと神経質&神経過敏&被害妄想過多な私は、一日中ビルの一室に缶詰になってハードなワークをする上に、お昼までそこで一緒の人たちと過ごすのが辛かった。
食事のメニューも「本当はスパイスカレーが食べたいな」と思っていても、皆が唐揚げ定食を頼んでいるのに「一人だけ違うメニューを頼むのもどうなのだろう」と空気を読んで唐揚げ定食にしてしまう。
唐揚げは美味しいし悪目立ちはしないで済むけど、心のどころで「ここから逃げ出したい」と思ってる私がいた。
あるときコーチングの対面講座を受けてお昼になったとき「今日はどこのレストランに行こうか」と話している人たちの横を、スッと一人で通り抜けている女性がいた。
その人はUさんと言って、派手ではないけど地に足がついている感じがして、私はなんとなく好感を持っていた。
ランチタイムが終わりまもなく午後のワークが始まると言うとき、たまたまUさんと隣の席に座ったので「お昼はどこかにいかれてたんですか?」と聞いてみた。
すると「一人でちょっと歩いて、ホテルのティールームに行ってきました」と答えが返ってきた。
当時の私は、こうした集団の場で一人ランチできる人を自分とは違う、どこか遠い世界の人だと思っていたので「すごいですねえ、一人で好きなもの食べにいけるなんて」とため息まじりに呟くと、Uさんは恥ずかしそうに「実は、コーチと約束したもので」と話してくれた。
UさんはHSPと呼ばれる繊細な人で、私と同じくランチタイムが苦痛な人だった。
この講座に来る少し前「ランチタイムが辛い」というテーマでコーチとセッションしたとき、Uさんのコーチが「Uさんの中にいる小さなUさんを大切にするためには、どうすればいいと思う?」と聞いてきて、自分の声に耳を済ませた結果「一人でランチをする」という答えを出したそうだ。
Uさんは「ホテルの中にある、美味しい紅茶と焼きたてワッフルのお店を見つけたんです。今度お休みの日にでも一緒に行きましょうね」と話しかけてくれた。
しかし私の頭の中では
「ランチタイムが辛いって認めていいんだ」
「コーチングのテーマにそんなことを選んでいいんだ!」
「というか、一人でランチタイムしてもいいんだ?!!」
という衝撃と動揺と混乱が大きく、午後のワークが始まってもしばらく集中できなかったのを覚えている。
それ以来、私は少しずつ対面講座のランチタイムは一人で過ごすようになった。
自分だけ違うことを選んだら皆から嫌われる・孤立してしまうと最初は怯えていたが、あんがい周りの人たちは「オザちゃんは一人がいいのよね、でも一緒に食べたいときはおいでね」と良い意味でほおっておいてくれて、恐れていたことは何も起こらなかった。
今は基本一人だけど、自分に余裕があるときは他の参加者の方と一緒に食べに行ったり、選択している。
ランチタイムはこうして自分らしく過ごせるようになったけど「自分の声を大切にしたら、世界が崩壊してしまうのではないか」という恐れはまだある。たぶん一生消えない。
でも自分の声を大切にして行動した結果、恐れていたことが起きたことはまだ一度もない。この実践をとにかく重ねていくことが大事だなのだと思う。
今でも美味しいワッフルを頂くと、ドキドキしながら初めて一人ランチをした日を思い出す私であった。
ことのは文章教室の参加者はまだまだ募集中。
いつか対面講座をしたときは、がんばってランチします。
最後までお読みくださり、ありがとうございます。書き続けます。