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約5000人を社会貢献活動へと導いた「ライフスタートアップ」プロジェクトとは

何か社会のために役に立ちたい。
誰もがそう思ったことはあるに違いない。でも、本気で実行した人はどれだけいるだろう? 
日本では社会貢献活動があまり浸透していないのが現実だ。
そんななか、「個人の小さな力で何ができるか」ではなく、「何をやりたいか」を形にして社会貢献するプロジェクトが始動した。立ち上げたのは知る人ぞ知る著名人の二人。人々の「社会貢献したい」というアイデンティティーを刺激し、約5000人を社会貢献活動へと導いた「ライフスタートアッププロジェクト」を探ってみた。(この記事は2019年1月に公開されたものです)

社会貢献したい人、クルージングしたい人集合!

 2018年春、ネットで目にしたのは、「クルージングに招待します。一緒に行きませんか? クルージングの船代はもちろんシンガポールまでの航空券も出します」という魅惑的なお誘い。「本当に無料?」と画面を見入ってしまうが、実はこれ、「未来型の社会貢献ができる人を発掘するプロジェクト」のお知らせ。プロジェクトを遂行した人には抽選でクルージングの旅が用意されている。

 「質問家」のマツダミヒロさんと、Webマーケターで起業家の伊勢隆一郎さんが立ち上げた「ライフスタートアッププロジェクト」は、3人でチームを組み、身のまわりの課題を見つけ、社会の貢献につながる活動をしていく……というもの。エントリーするとミッションが与えられ、それをクリアしていくなかで社会貢献が生まれるというプロセスになっている。スタートは2018年6月1日で、3ケ月間の活動を終えてゴール。希望者の中から、抽選で6チーム18名がシンガポールからプーケットへの3泊4日クルーズ旅行に招待される。

 「社会貢献」という言葉を聞くと、自分からは遠い世界のように思えてしまうが、このプロジェクトは、自分達が自分達らしく、やりたいと思えたものを地味に着実に取り組むというスタイル。大がかりな構想である必要はなく、目の前の小さな問題に取り組んでいくことで、社会や地域の環境を少しずつよくしていこうという考え方だ。自分がやりたいことはもちろん、好きなことや得意なこと、興味のあることなどを社会貢献につなげていく。

チャレンジの機会を与えてくれるプロジェクト

 「自分でもできそう。やってみたい」そう思えてくるが、このプロジェクトにはいくつかのビジョンが設定されている。それは、いろんな人を巻き込んでいくこと、サスティナブル(持続可能)なこと、収益性をあげること、
10年後の姿がイメージできること……など。ひとつひとつのビジョンはチャレンジで、なぜ自分達がそれをやりたいのか? 誰にそれを届けたいのか? 自分達の強みは何か? などが明確になっていないと実現するのは難しい。しかし、ビジョンを実現していくことは、自分を発揮できるレッスンとなる。自分の世界を広げる体験ができ、そこで得たものは今後の人生やビジネスでも大きな武器として使っていくことが出来るはずだ。

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 プロジェクトの名前の「スタートアップ(startup)」という言葉は、「立ち上げ」や「起業」、「新しいビジネスで成長する企業」などの意味で使われる。自分の人生をスタートアップする人、つまりはチャレンジを楽しみ、ビジョンを持って成長し続ける人が育つことがプロジェクトの目的でもある。発起人のマツダさんと伊勢さんは、ブログで次のようにコメントしている。

「"多くの世の中の課題を解決しつつ、新しい生き方と働き方をし、成長続ける人生" 僕も、伊勢さんもここにフォーカスをして、生きています。僕達のように、スタートアップな人生をおくりたい方、一緒にやっていきましょう(マツダさん)」
「今ビジネスをしているけど何か違和感を感じている人。ビジネスと、人生をもう一度再構築したい人。これからビジネスを始めるけれど、どうも一般で言われているビジネスの概念がしっくりこない人。そういう人には、このプロジェクトをのぞいてみてほしいと思います。 僕自身も、本当に楽しみですし、きっと、あなたにとっても、新しい未来の扉が開く素敵な体験になると思っています(伊勢さん)」

900人分の社会貢献が実現された!

 ライフスタートアッププロジェクトにエントリーしたのはなんと約1650チーム、総計5000人。そして、ゴールまでの3ヵ月間活動を続けたのは、約300チーム、総計900人だった。マツダさんや伊勢さんの人気もさることながら、プロジェクトへの関心の高さや、参加者の意気込みがうかがえる。社会貢献活動に人を誘うのは難しい。それでも1650チームが成立し、エントリーしたのだ。参加者のなかには「この仲間集めで、とっても大切なことに気づくことができました」という人もいたという。

 各チームには、クリアすべき2つのミッションがある。ひとつは活動の進捗状況をフェイスブックに毎週レポートすること。もうひとつは、ほかのチームを応援すること。ちなみに、2つのミッションをクリアできないチームは、クルージングに参加する権利がなくなる。フェイスブックをのぞいてみると、参加者の活動記録がオリジナリティあふれる写真や動画、イラストなどで投稿されている。どのチームも笑顔ながら真剣で、その熱気はこちらにも伝わってくる。同じ課題を掲げるチーム同士が互いに応援し合い、つながっていく姿も印象的だ。

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 さて、お楽しみの「クルージング旅行」だが、抽選会はフェイスブックのライブ配信にて行われ、当選者6チーム18名は去る10月21日、シンガポールへと旅立った。船上では、クルーズが楽しめるだけでなく、参加したチームが今後どのように進めていけばビジネスやライフワーク、そして社会貢献がさらにうまくいくかを、マツダさんと伊勢さんがプライベートレッスンしてくれるという贅沢な4日間が待っている。

サスティナブルな社会貢献へ

 ライフスタートアッププロジェクトの3ヶ月間は終わったが、300チームの社会貢献活動はこれで終わりではない。ビジョンのひとつの「サスティナブル」を実現して続けていくはずだ。11月には最後のイベント「全員集合! 修了式&始業式」が開かれたが、その趣旨は「みんなで集まって区切りをつけ、そして実は終わるのではなく“始まる"機会にする」というものだ。

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 そもそもライフスタートアッププロジェクトが誕生したのは、マツダさんと伊勢さんがハワイのセミナーに招待されて出会ったことから始まる。10
年後二人は偶然再会し、親交を深めていった。そして、ハワイでのセミナーが自分だけでなく、それぞれの人生に大きな影響を与え、新しい生き方を選ぶきっかけとなったことを知ったという。「自分達と同じように、人生を変えるきっかけを人に与えたい」という二人の思いからプロジェクトは立ち上がった。
 それでは、なぜ社会貢献活動なのだろうか? マツダさんと伊勢さんは、ブログに次のように書いている。


「これからのビジネスは社会貢献がなければ生き残れない。目の前のことだけではなく、助けてくれる人、応援してくれる人も出てこない(マツダさん)」
「もしかしたらあなたは、今の自分には遠い世界と思うかもしれない。でもそれは違う。今は本当にチャンスだし、大切なのは知ることなんだ。知らないから描けないだけだと思う。60歳になって定年退職してから社会貢献をするのもいいけれど、今やったほうがよくないですか?(伊勢さん)」

 デジタル技術のおかげで、職場でも家庭でも、乗り物の中でも、あらゆるものがインターネットでつながり、誰もが対等にデータをやり取りできるようになった。世界中がインターネット上でモノやサービス、お金を共有し、交換し合うようになり、これからは所有する時代から、分かち合う(シェアする)時代へシフトしていくといわれている。そんな時代だからこそ、ほか
の人や社会のために取り組むものである社会貢献活動への関心はさらに高まっていくだろう。ほぼ毎日ソーシャルメディアを使い、いろんなモノを仲間と共有しながら生きる私達だからこそ作れる社会の仕組みもあるはずだ。

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