家族介護者の作業適応質問紙の使い方②

この尺度は自記式アンケート方法で用いることができます。

アンケート項目は16設問です。

「よく当てはまる(1点)」「当てはまる(2点)」「やや当てはまる(3点)」「どちらとも言えない(4点)」「やや当てはまらない(5点)」「当てはまらない(6点)」「全く当てはまらない(7点)」の7件法でチェックしてもらいます。

点数が低いほど作業適応(健康な状態)にあり,点数が高いほど作業不適応(不健康な状態)にあります。

具体的なカットオフ値は,現在,論文を作成中のため,無事に論文が採択されましたら,こちらでも追って説明していきます。

家族介護者の方に,チェックをしてもらうだけでしたら数分で完了することができます。しかし理想的には,検査する人が各項目について,どう考えているかを詳しく聞き取りながら進めていくことで,その後の支援が的確に行いやすくなると思います。

どの尺度でも言えることですが,ただ点数を付ければいいわけではなく,対象者にどんな支援が有用なのかを知る手掛かりを得たいために行うことがほとんどだと思うので,丁寧に語りを紡いで理解を深めていくチャンスなのです。

例えば,「心や体が休まる環境がある」という項目があります。全く当てはまらないと家族介護者が答えた場合,なぜ自分の家が休まる環境になっていないのか,休まらないのは心なのか体なのかいずれもなのか,どうなったら休まる環境になり得るのか,などなど,これまでのあなたと家族介護者の間の関係性を踏まえて,踏み込める範囲内で深堀していくことは,重要なことだと思います。また,ここで知り得た情報はのちの支援の場面で有用になることが可能性として高いと思われます。

この尺度は5因子構造になっています。項目1〜2は「思いやる気持ち」,項目3〜9は「生活のバランス」,項目10〜12は「介護意識」,項目13〜14は「社会的存在価値」,項目15〜16は「自分の健康」という因子の名称をつけてあります。

この因子構造に注意を払ってもらい,点数が高く支援が必要である人の場合,どの因子で「不健康な原因」になっているのかを検討してください。

16項目の合計点数だけで判断せず,7件法で6点や7点にチェックがついている項目は要注意で,それについて深堀することが大事になるはずです。

この尺度に限りませんが,アンケートを対象者とあなたの間に置いて,相手のことを知るためのツールとして活用してください。

最後まで読んでくださってありがとうございます。次回は,さらに細かいことについて,ご説明していく予定です。


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