海外在住者の葛藤 ートロントよりリスペクトと共にー
新型コロナウィルスが世界中で猛威をふるっています。
日本でもいよいよ状況が悪化してきているようです。幾つかの都市で非常事態宣言が出されてしまいました。
さて、私は現在カナダ・トロントにいますが、日本では帰国する日本人に対する日本人からの批判の声が増えているとSNSなどを通して見聞きしています。
これに対する私の思うところをまとめてみます。
まず、現在、実際に海外在住の身からすると、感染症の性質を考えたときに、世界中見渡しても全く安全な場所などどこにもないということ理解しています。
歴史に確実に残る規模でのこの出来事により、トロントに残るにしても、緊急帰国をするにしても、先が見えない今の状況下での判断は非常に困難です。
現実問題、トロントでは通常通りの経済活動はできない状況です。政府からの規制により多くの企業は休業状態です。これにより賃金が支払われない状況が生まれています。
短期留学やワーキングホリデーで来ている若者は特に厳しい立場に立たされています。いずれ個人の資金が尽きるのは目に見えています。
加えて、在トロント日本国総領事館より3月31日にこのような情報が発信されました。
以下、冒頭より引用。
「ワーキングホリデー及び短期査証でカナダに滞在されている方で,滞在資金に余裕がないと近い将来生活が困窮してしまう可能性がある方は,今後,厳しい雇用状況が当面続くこと,帰国の手段が更に限定的になる可能性があること,感染対策措置に違反した場合には多大な罰金が課されたり逮捕されたりする可能性があること等を十分に理解頂き,自力での帰国が困難となる前に,日本への帰国を視野に入れて行動してください。」
(全文は)Webページにも載せられていましたので、リンクを貼っておきます。)
帰国を促すものです。トロントには留学生、ワーホリ生など若者も多く滞在していますが、資金面で余裕の無い人も多くいるのが現状だと思います。
日本政府の外務省からこのようなお達しが来れば、帰国を検討せざるを得ません。
「日本国は面倒をみれないから、早めに自力で帰ってきてね。」
当たり前といえば当たり前です。
自分の意思で日本を出ておいて、勝手な希望でいつまでも粘って、帰国手段が無くなり、国のお世話になって帰国させてもらうのはどうかと思います。
迷惑をかけないように行動するの日本の学校教育で幼い頃から叩き込まれてきた基本的な事柄です。←
この情報が3月末日の時点で出され、それまで、なんとかトロントで頑張ろうと思っていた人の中にもこの勧告が出た以上、急遽帰国を決めた人も多いのではないかと予想します。
しかし、この翌日には日本国政府はカナダを含む世界中の危険レベルを3に引き上げ、空港到着後の検疫強化に乗り出しました。
そして、世界各国から緊急帰国を決めて日本に戻る人の中から陽性反応を示す人が出始め、
この頃からバッシングが始まっていると認識しています。(認識のズレがあったらごめんなさい。)
海外在住者は、その目的が仕事であっても、
留学であっても、
遊びであったとしても、
とても難しい判断を迫られてきました。今も迫られています。
残ることを決めれば、自分の国では無い異国の地で、医療崩壊や生活の不安と闘いながら、留まるしかなくなります。
かと言って、緊急帰国を決めれば、十数時間のフライトと日本入国時の検疫の劣悪な環境からくる感染のリスクと闘いながら到着し、
その先に本国の日本人から大バッシングを受けるということが待っています。
どちらに転んでも、厳しい状況です。
非常に難しい判断を迫られています。
私個人は、トロントの状況が悪化してきている3月初めの時点で帰国するなら今しかないと考えました。
どう考えても状況はこれ以上に悪くなるし、時間が経つにつれ、帰国の手段が限定的になってきて、感染リスクも高くなると予想したからです。
しかし、私はトロントに残るという選択をしました。
その後も日に日に状況は変化しました。
1週間もすれば状況が一変していました。
さすがに、日本領事館から先の勧告が出たときはこれから先はそれこそ自己責任ですから、この選択が正しいのか再度考え直しました。
私は今もトロントに留まっています。
日々飛び込んでくる情報を集めつつ、冷静にポジティブに考え、自宅に引きこもる毎日です。
判断するにあたり、私は2つの理由からトロントに残ることにしました。
1、帰国することはリスクになる
帰国することは自分にとっても、周りの人にとってもリスクになります。
まず、自分で帰国にあたり多くのことを急いで準備する必要がありました。
今住んでいる場所をどうするか。荷物はどうするか。こんな状況下で処分できるのか。値段の高騰する航空券をそもそも押さえることができるのか。
この準備だけで疲れ果てて、自分の免疫力が落ちる可能性を考えました。
その上で、帰国となれば時差を飛び越える10時間を超えるロングフライトが待っています。
航空会社は運休する路線を増やしているので、経由便になる可能性が大いにあります。そうなれば20 時間を超える長旅です。疲労が蓄積するのは想像できます。
加えて、日本では検疫を強化しているそうです。
東京に着陸後も機内で数時間、さらに検疫で数時間待たされるとの情報も考慮しました。
そんなにも密閉空間にいて、その中にもし一人でも感染者がいたら。どうなるかは想像できます。
私が帰国することは友人や家族など、私の大切な人にとってもリスクとなります。
無事に入国できたとしても、すぐに彼らのもとへ戻ることはできません。
もし自分がウィルスを持っていたら、自分が無自覚であって、もし自分を媒介に大切な人々にうつしてしまって、広めてしまったら。
その媒介するウイルスはどこで拾うか分からないわけです。
トロントからかもしれないし、
経由地や空港でかもしれない、
東京でかもしれない。
可能性は多いにあります。
自分が帰るばっかりに、自分自身も、自分の大切な人々も危険に晒すわけにはいかないと思いました。
2、経済的負担
航空各社が運休、減便を決める中で帰国の選択肢が限られていきます。
しかし、時には帰国希望者が殺到します。
結果として航空券は普段以上に高騰してくることが予想できます。
トロントからは安ければ数万円で帰れるところを10万を超える、場合によってはそれ以上に跳ね上がります。
さらに、海外からの帰国者は検疫の対象となり、2週間の隔離生活が待っています。実費で東京に滞在しなくてはいけません。
状況によっては実家には戻れず、そのまま東京に住む可能性が私の場合は想定できました。
そうなれば数十万円単位での出費を余儀なくされます。
資金に余裕がなく帰国を検討しているのに、そんな出費があれば、トロントへ戻ってくる資金が残らない可能性も大いにあります。
それは、カナダ生活に区切りをつけて、完全撤退を意味しています。
人生でも重大な拠点を変えるという決断を今するのか。
スケールがどんどん大きくなっていきます笑。
それらの可能性を考えてみて、原点に戻ってみます。
そもそも、そんな資金があれば、トロントで節約した引きこもり生活を大人しくしていても数ヶ月は生き延びられそうです。
そんなにも長い時間の移動と数十万円を超える経済的負担を考慮しました。
そこまでして日本へ行かなければいけない理由とはなんだろうか。
私は見つける事ができませんでした。
もちろん、これはここ数週間以内での状況での話です。
これから、状況がどのように推移していくかなんて分かりません。
事態が急変すれば、再度このプロセスで考え直すだろうと思います。
そして、その時の段階で必要であれば、帰国という選択肢を選ぶと思います。しかし、今の時点ではリスクの方が高いと判断して、留まることにします。
留まる以上、出来る限り、気力のある限り笑
情報発信をしていきたいと思います。
参考程度に温かい目でみていただければ幸いです。そして、誰かの為になれればうれしく思います。
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