コロナの影響で大阪まで旅行に来ていた女子大生二人組とLINE交換して来ました

JR大阪駅から北新地方面に歩いていた時のことです。

目の前に少し挙動不審な女子大生風の二人組を発見したので、遠くから様子を見ていると、スマホの画面を二人で覗き込み、右往左往している雰囲気が伝わってきました。

チャンス！と思って近づき、一呼吸置いてから話しかけて見ました。

連れ出し開始！

「どうかされましたか？」

声かけというのは、こういうシンプルなもので良いのです。

どうやら、女子大生風の二人組は、目の前にある大阪駅にたどり着く方法がわからず、この陸橋を登って良いものか迷っていたようです。

これが大阪駅の北側で起きていれば、いわゆるヨドバシ難民です。

大阪駅周辺では、こう言った目の前にあるビルなのに道を渡る方法がわからなくて右往左往するという光景を度々目にします。

「関西の人じゃないですね？」

こう聞くと

「熊本から来ました。グランフロントに行く予定なんですけど行き方がわかりませんwwww」

関西の人であればピンとくると思いますが、阪神百貨店の外からJR大阪駅を抜けてグランフロントに行くのはかなりの難易度があります。

「グーグルマップがあればいけるでしょ！」というのは大阪では通用しません。とにかく、目の前にあるあらゆるビルが、まるで橋のない川（不謹慎ですみません）状態なのです。

「ここからだとめっちゃ難易度高いですよ！　ちなみにあそこに２つビル頭だしてるでしょ？　あれなんですけどね」

国道２号線という橋のない川の前で

「大阪めっちゃ都会！」

などと、女子大生風二人組は浮かれ調子でした。

「旅は道連れなんでね、目の前まで連れてってあげましょう！」

そう行って私は歩きだしました。

二人はどこから来たの？

「ええ〜どうしよう〜」

などと言いながら足は動きだしたので、そのまま中央南口前の横断歩道に向かいます。

「えっ、陸橋渡るんじゃないんですか？」
「グランフロント行くのに陸橋渡ったら明日になってもつけないよ！」

そうこう言いながら横断歩道前まで到着し、信号が変わるのを待ちます。

「卒業旅行か何か？」
「いまめっちゃ新幹線安いんですよ！　それで来ちゃいました。」
「コロナの影響？（2020年3月の話です）」
「そうそう、なんか5000円くらいでチケットあったんですよ！」
「これは行くな！」
「でしょ、人も空いてるかなと思ったらやっぱり人多いですね！」

そうこう言いつつ後は200メートルほど行けばグランフロントです。

「あれですよ！」
「うそ？めっちゃ近いですね。うそやん！」

ぎこちない関西弁を喋るため

「もう言葉覚えた？」
「変ですか（笑）？」
「まあ僕も関西弁しゃべらないんですけどね。」
「そうそれ気になってました。関西の人じゃないんですか？」
「大学からね、実家は＊＊なんで。」
「＊＊、一緒！」

やはり大学生なのでしょう。

「熊本大学？」
「そうですよ」
「クマに憧れて？」
「え？」
「トリの方？」
「ああ〜、リラックマ？」
「もうすみっこぐらしの世代？」
「いや、私はクマ」
「リラックマストアもあるからね。よかったら行って見て。到達難易度マックスだけど」
「どこですか？」
「地下！」
「ああ〜〜無理無理無理」

LINE交換できるかな？

ここでクロージングにかけます。

「一応着いたんでね、後は気をつけて行ってらっしゃい！」
「ありがとうございます」
ここで一瞬の沈黙があります。
「まだしばらく梅田いるからわからなくなったらLINEしておいで」
手帳からLINEのQRコードを貼り付けたメッセージカードを取り出して渡します。
「クマストア行きたくなるかもしれないし！」

そういうと彼女たちはスマホの画面を向けて来たのでそのまま撮影してもらい登録してもらいました。

（カードは受け取らないタイプか！）

これは、2020年3月14日、今日の出来事です。

まだLINEの返事は来ていませんが、くるかもしれないので待っているところです。

会話の解説

ところで、私の会話にはいくつかのポイントがありますので解説しておきます。

まず、「どうかされましたか？」は、説明の通り、声かけは簡単なワンフレーズで良いというものです。このワンフレーズより、多くの情報を返してくれた場合、多くの場合脈アリと思って良いです。

次に、「旅は道連れなんでね、目の前まで連れてってあげましょう！」は、「旅は道連れ」の部分です。こういう、ことわざや名言集のような決まり切った言葉を使うと、自然となんかそういうものかと思って疑わなくなるのです。ここは日頃の語彙力のトレーニングが効きますね。あと、先に私が勝手に歩き出すのも大事です。常にリードしてあげてこそ、映えるというものです。

「卒業旅行か何か？」これは素性を知り出すための質問です。「大学生ですか？」よりも具体的で、何より答えやすいですね。ちなみに彼女たちが卒業旅行だったのかは今も謎のままです。
「これは行くな！」、ここも「安いですね！」より聞いていて気持ち良さそうな気がしませんか？　「安い」という言葉はやはりネガティブな連想を招くので、あなたたちは正解というニュアンスと、私でもそうするという共感の意味も込めて、「これは行くな！」という相槌を選んだのです。
共感力というのは、表面だけをなぞってもうざい、ペラいと思われがちなので注意が必要です。

「クマに憧れて？」これがLINEのID交換につながると予感した人は少ないと思います。
実は、私もよくわからずにつなぎの質問として繰り返していたのですが、後からリラックマストアは使えると思い返し、「クマストア行きたくなるかもしれないし！」に繋げました。
伏線というのは、後になって何かの役に立つかもしれないと、あらかじめできるだけばらまいておく方が絶対にいいのです。

余談

本当は録音を聴きたいと思われる方も多いでしょうが、私はボイスチェンジャーとかそういうのを使っても、勝手に人さまの声をネットに上げるということにはさすがに抵抗があります。
YouTubeなどではたまに見かけますが、本当に街ゆく女性との会話を秘密録音し送信可能化したのであれば、ちょっと怖いですね。
少なくとも本人からの申立てがあればBANされかねないので、残っているということは、そういうことなのだろうと私はあまり信用していません。