216. 影響力の武器をナンパ師が読んだ感想

こんにちは、梅田王子です。
今回は、書評『影響力の武器(誠信書房)』をお送りします。

ちょうど1年くらい前、メンタリストDaiGoなどが始めたYouTubeチャンネルなどで話題になった、『影響力の武器(誠信書房)』という本を私も読んでみました。
数々のメンタリスト、恋愛・ナンパ講師によると、影響力を武器にすれば女性を口説いてやりまくれるぜ!というのです。

この本自体は別に恋愛教材でもナンパ教材でもないので、お気楽に読めるような代物ではありません。おそらく途中で飽きると思うのですが、今回は梅田王子が一(いち)ナンパ師としてこの『影響力の武器(誠信書房)』についてレビューをしたいと思います。

影響力とは?

さて、この本によれば、人は思いの外他人の意見や肩書に自己の判断を投げる傾向があり、これは易きに流れる傾向につながりよくないのだが、これを逆手にとると例えば「あの誰々が絶賛!」という広告文句を使えばそんな「他人に自己の判断を投げる易きに流れる人」を捕まえやすくなると言います。
そして、人は自分の判断よりも他人の判断に従うことの方が抵抗が低く、普通ならやらないような悪事も、他人に無理やり命令されたとなればやってのける。それで、本当は自分でやった過ちも、何も指示されていないのに誰かのせいにしたりして言い逃れをしたりする、というのです。

みのもんたの健康番組

これらは、日常生活においてもまあその通りでしょう。露骨な広告ほど、誰それも絶賛という殺し文句は必ず入りますし、昔の表現で言えばみのもんたが「アボガド」を称賛すれば翌日スーパーからアボガドが綺麗になくなるという、あの現象も影響力の武器そのものでしょう。

仮にあなたがみのもんたのような影響力を持っていれば、アボガドを事前に買い占め、自らの番組でアボガドを大絶賛し、市中の小売店に一斉に下ろして大儲けするという犯罪めいた儲け方もできるようになるのです。

では、肝心の「影響力で人はモテるようになるか」という問いについては、正直そう簡単にいくような気はしませんでした。影響力というのは、何かをやるという能動的、ポジティブな作用よりも、誰かに何かをやらせないというか、諦めさせるというか、むしろ受動的、ネガティブな作用を促す方が得意だからです。

影響力によりナンパできない?

考えてみれば、人に声掛けできないというのも、「そんなことをしたら警察を呼ばれて三面記事」という考えが頭をよぎり「やめとこうか」という判断をしてしまうのも、そういう記事や書き込みをどこかで読んだ影響の産物である可能性が非常に高いです。

ナンパについて行ってはいけないというのも、何かしらの他人の言動による影響力の産物でしょうし、お金がなければモテないとか、胸が大きくなければモテないとかいう商魂たくましい広告も、全てネガティブな作用を促して物事を諦めさせる方向にあなたも影響を受けているのではないでしょうか。

そういう「自分は何に影響を受けて何に拘束されているのか」という観点でこの『影響力の武器』を読み進めると、影響力を利用して女性を口説いてやりまくる!なんてことを考えるよりも、自分にかかった影響力を解いて自由になったことにより、女性を口説いてやりまくる!というステップを目指した方が、より現実的ではないかと思うのです。

そして、「ああ、この人はこういう影響を受けやすい人なんだな」という分析も、ある意味上手くなります。それは、自分の過去を否定したくないばっかりに一貫性の原理を貫きたがっているのかもしれませんし、寂しさから誰かに依存したいばっかりに常に他人に賛同し他人に喜ばれることを最優先に行動しているのかもしれません。

自分が影響力を持つよりも他人の影響力から自由になるために

自分が影響力を持つ、例えば新興宗教の教祖様のようになって次々と女性を入信させたいという願望を満たそうというレベルの影響力を身につけるには相当しんどいことになるのは間違いないでしょう。

しかし、私はむしろ人はどのように影響を受けることでどのような行動に移るのか、それを事前に知っておくことで危険から身を遠ざけ、それで誰からも影響を受けずに自分の判断でしたいことをする、そういう人生を手に入れるために本書を活用するのが良いのかなと思った次第です。

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