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会計初学者のためのUSCPA攻略法② FAR攻略編

どうも、米国公認会計士のおつまみです。

前回に引き続き、会計初学者のためのUSCPA攻略法シリーズの記事です!
このシリーズでは、日商簿記検定3級すら持っていない会計初学者だった私がUSCPA(米国公認会計士)試験に全科目一発合格をした経験を基に、USCPA試験を効率よく攻略するための具体的な勉強法や注意ポイントを体系的に解説していきます。

今回は第2回、FAR攻略法です。

基本情報

FARとは財務会計(企業会計)と公会計の2つから構成される科目です。
カバーされている内容の範囲が一番多い科目で、アビタスのFARのテキストと問題集はゲロを吐きたくなるほどの分量となっています。Expiration(スコアの有効期限切れ)を回避するために、勉強時間が一番かかると思われるこのFARを最初に受験してしまうというのが受験セオリーのようです。我々会計初学者にとってはUSCPA試験の第一の関門と言えるのではないでしょうか。(一方で一番学べることが多い、USCPAの大トロ部分の科目でもあります。)

対策ポイント

個別論点の深掘りを進めつつ同時に以前深掘りしたチャプターの復習も進めていくこと

上記の通り、FARの範囲は膨大ですので、個別論点の深掘りをじっくりしていく間に、前に深掘りした内容をどんどん忘れていってしまう可能性は高いです。つまり、個別論点の深掘りを単純に始めから終わりまで1周、2周としていってもなかなか定着しないのです。そのため、個別論点の深掘りを進めていくのと同時に、一度深掘りした論点の復習も行う必要があります。イメージとしては以下のような感じです。

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個別論点の深掘りを進めつつ、その2日前までの復習も同時にやっていくイメージです。これもエビングハウスの忘却曲線に則っています。短期間のうちに何回も復習をするとそれは忘れにくい長期記憶に入りやすいのです。これを何周かやっていく中で覚えられない項目を、第一回の記事でも記載した通りまとめノートに整理していくというわけです。

汎用的な基礎事項を先に丸暗記してしまうこと

USCPAの勉強を通して「全体像把握→個別論点の深掘り」という流れは変わらないのですが、FARに関しては少し特殊な部分があります。どういうことかというと、FARにはその後USCPAの学習を通してずっと使う超基礎の基礎が含まれています。例えばBSの構成要素、PLの構成要素、後発事象といったものはFARのみにとどまらず学習を通してずっと使う基礎事項です。こういった項目は学習の初期にじっくり時間をかけてでも丸暗記してしまった方が効率が良いと考えています。

仕訳を求められていない問題でも仕訳を書くこと

問題集に載っているMC問題では、仕訳を書けなくても解答できる問題が散見されますが、一方TBS問題では試算表の修正など、仕訳そのものを答える問題が多いです。そのため仕訳を求められていないMC問題でも常に対応する仕訳を考えて書く癖をつけておいた方がベターです。そもそも仕訳こそが財務会計の本質的な理解に繋がるので、学習効率の観点でもこれは徹底しておいた方が良いです。もちろん試験本番では、仕訳が不要な問題はスピーディーに解いていただければと思いますが、試験対策上は是非仕訳を書いてください。

問題を解くときの図をパターン化すること

たとえばリースの問題が出た時は賃借人(Lessee)側の情報と仕訳は左側賃貸人(Lessor)側の情報と仕訳は右側というように、問題演習をする段階で情報を整理する図をパターン化しておくべきだということです。学習時に毎回使っていた図を使って情報を整理することで本番でも焦らずにすばやく問題を解くことが出来ます。試験本番の極限の緊張の中でもパフォーマンスを発揮できるようルーティーンを作るのです。リースの問題を解くときはこういう図式にする、企業結合の時はこういう図式で解くという風に自分なりに決めて練習してみてください。

ブループリントを活用して最適なリソース配分を考える

USCPA試験を運営しているAICPAが公表している情報の中に「ブループリント(BluePrint)」という公式のガイダンスがあります。これの解釈の仕方を説明させてください。あまり意識してない方がほとんどですが、今後の対策のためにはこれをしっかりと見ることができるようになった方が良いです。
ブループリントとは、簡単に言うと、試験範囲の各論点の出題優先度が確認できる表です。言い換えると、論点ごとに本番の試験で問われる問題のスキルレベル、つまりどの程度のレベルの理解を要求されるのかという指標が示されているガイダンスです。

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出典:「Uniform CPA Examination Blueprints」
https://www.aicpa.org/content/dam/aicpa/becomeacpa/cpaexam/examinationcontent/downloadabledocuments/cpa-exam-blueprints-effective-july-2021.pdf

上記の画像の通りスキルレベルは4段階あり(下から順に、Remembering & Understanding、Application、Analysis、Evaluationの4つ)、単純化するとそれぞれ以下のように解釈できます。
Applicationレベル以下 - MCで出題される確率が高い
Analysisレベル以上 - TBSで出題される可能性が高い

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出典:同上

具体例として上記の画像でFARの公会計のブループリント(一部抜粋)でスキルレベルを見てみると、全てがremembering & understandingとapplicationという下の二つのレベルしか要求されていないことが読み取れます。つまり、比較的浅い知識しか問われないほぼMCでの出題しかないと考えて良いわけです。(とはいえこれはあくまでも全体の傾向であり、例外はあります。稀にTBSでも公会計の範囲の出題があるという噂はあるので断定はできません。あくまでも学習中のリソース配分の参考程度にしてください。)このようにブループリントを活用して各試験範囲にかける最適な時間と労力を決めていくことが今後の学習では非常に重要です。(これ第1回の全体編に入れるべき内容でしたね。。)

公会計の対策に手を抜かないこと

先のチャプターでFARの公会計を浅い知識しか問われない分野の例として挙げましたが、この公会計の対策を徹底して行うことは非常に重要です。というのは、FAR全体の中で公会計の出題割合は約10%前後、かつ上記の通りほぼMCでの出題ということで、FARのMCではかなりの数の公会計の問題が出てくる計算になります。本番のMC問題の4,5問に一つは公会計が出ると言っても決して過言ではありません。またこの公会計はほとんど計算要素がないので、暗記さえしていれば短時間で問題を解くことができます。つまり何を言いたいかというと、公会計は出題数が多くかつ暗記さえしていれば短時間で解ける、大事な得点源なのです。公会計をいかに早く正確にさばいて他の分野の問題に時間を残すかが勝負の分かれ目となります。とにかく公会計で手を抜いてはダメです。

公会計の対策をする上での注意ポイントがあります。第一回の記事で「USCPAの勉強は全体像把握からの個別論点の深掘りという流れで進めていくのがおすすめ」という話をしましたが、この公会計は全体像把握の段階では省いて良いです。財務会計と公会計は関連性が低くてシナジー効果が低いためです。つまり公会計の内容を把握したからといって、それが企業会計の理解促進にはほとんど繋がらないわけです。公会計は短期間で攻略が可能である上に暗記が中心の勉強なので、本番の直前に短期集中で追い込むのが効率的だと考えています。

Bonds(社債)

FARの重要な論点をもう一つお伝えすると、Bonds(社債)のチャプターです。ここで学ぶEffective interest method(実効金利法)の考え方は、そのあとのリース会計のチャプターでも約束手形のチャプターでも使います。Bondsのチャプターで実効金利法が理解できていないとそれらのチャプターの理解も今一つパッとしない感じになってしまいます。そのためBonds(社債)のチャプターは全体像把握及び個別論点の深掘りの中でも特に力をいれて取り組むべきです。

細かいマイナー論点を完璧にする必要はない

これはどうしても結果論になってしまうのですが、
①問題集に掲載されている問題の数が少ない
②模試に出ていない
③AICPAリリース問題にも一問も出ていない
この3つ全てが当てはまるようなマイナー論点はやり込む必要はありません。この試験のルール上、私が受験した際の試験問題の詳細はこの記事に書くことはできません。ただ一つ言えるのは、この戦略は本番で見事に吉と出ました。重要でない論点を判別するのに上記の3点をチェックしてみてください。理解していただきたいのは、全く対策しなくていいということではないということです。最低限の対策はしておいてください。あくまでも、試験本番直前、時間がない中で追い込みをする時にあえてマイナー論点を完璧にする努力をするのに時間を割くのは非効率かもしれないのでやめておきましょう、という温度感で理解いただければと思います。

本番での心持ち

FARは計算問題が主な出題形式であるため時間制限が非常に厳しい試験であると言われています。これは確かに正しいです。勉強後期には、問題演習をする際時間を計って素早く解くことが出来るように練習するべきです。ただし勘違いしてはいけないのは、試験本番では自分のペースで解くべきです。

僕はFARがUSCPA試験のデビュー戦だったので受験前には特に入念に情報収集をしていきました。インターネット上のどの方も「FARは時間の戦いだ。」とおっしゃっていたので僕は本番でわからない問題に直面した際、「よくわかんないけど時間もったいないからとりあえず飛ばして前に進もう」みたいな感じでとにかくスピード重視で解いていきました。その結果、最後のテストレットを解き終わった時に時計を見たらなんと残り20分も余っていました。一度終わったテストレットには後から戻ることはできませんので、仕方なく終了しました。この20分を有効活用できなかったことで受験後は非常に不安になりました。結果オーライで合格はできましたが、間違いなくこの20分はフルで使うべきでした。
皆さんは私の失敗から学んで、本番では焦らず、しっかりと自分が一番心地の良い納得できるペースで問題を解いていってください。

FARの勉強法は以上です。
最後まで読んでいただきまして誠にありがとうございました。

次回、第3回はBECの攻略法です。お楽しみに!

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おつまみ

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