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会計初学者のためのUSCPA攻略戦略 ①全体戦略編

どうも、米国公認会計士のおつまみと申します。

この度、「会計初学者のためのUSCPA攻略戦略」というシリーズ記事を書いてみたいと思います。

このシリーズでは、日商簿記検定3級すら持っていない会計初学者だった私がUSCPA(米国公認会計士)試験に全科目一発合格をした経験を基に、USCPA試験を効率よく攻略するための具体的な勉強法や注意ポイントを体系的に解説していきます。

今回は第1回、全体戦略編です。

前提

本編に入る前に一つ大事な事をお伝えさせてください。
最近はUSCPA受験者がかなり増えてきており、特にTwitter上のUSCPAコミュニティは非常に大きなものとなりつつあります。その中には半年程度で全科目に合格してしまった猛者も一定数おり、彼らは独自の独学方法論を紹介したりしています。
その中には「テキストは不要。一度も開かなくていい。」「問題集のみで対策するのが最も効率的である。」などと斬新な勉強法を披露されている方々も多くいらっしゃいます。
これらの勉強法は一見裏技のようで魅力的に思えますが、我々初学者が安易にマネすると危険です。
そのような斬新な勉強法を披露している方々のアカウントをよくリサーチしてみると、USCPAの勉強開始時点で既に簿記2級を取得していたり、経理部・財務部で10年近くの実務経験があったりするのです。
つまりこのような方々と我々初学者では勉強開始時点での知識ベースが全く異なるので、彼らの「裏技勉強法」をマネすると沼にハマる可能性が非常に高いのです。
我々初学者は身の丈に合った初学者なりの戦い方(つまり正攻法)で攻めるべきだというのが私の意見です。

ざっくりとした学習の流れ

USCPA学習の全体の流れはこちらです。後のチャプターで一つ一つ深掘りしていきます。

[全科目共通で使用した教材]
・アビタスのテキスト
・アビタスの問題集
・アビタスの模試
・AICPAリリース問題
・Wileyの模試2回分(Wiley Online Test Bank)

[全科目共通で行うべきこと]
①テキスト・問題集を約5,6周反復することで知識をインプットし、
②模試・AICPAリリース問題などの本番形式の問題でアウトプットをし仕上げていく

テキスト・問題集について

効率的に学習を進めるためには原則として
①全体像の把握→②個別論点の深掘り
という流れで学習をするべきです。

我々初学者は学習する知識体系の全体像が見えていないため、特に勉強の初期には、同じ部分を何回読み返しても理解できない、覚えられない、という状態になりがちです。

一度ある程度浅く全体を一周して各論点の結びつきや全体の流れの中の位置づけ、また周辺知識を把握することによって、不思議なことに今まで理解できなかった論点がスッと理解できることが多いです。僕自身の具体例を一つ挙げるとするとREGの法人所得税とパートナーシップ課税の部分ですね。最初それぞれのチャプターを別々に読んだ時は何が書いてあるのかよく理解できなかったのですが、その二つを通して読んでみると両者の対比でポイントが整理されてかなりわかるようになりました。これはREGだけではなく他の科目でも往々にして起こる現象です。

こうして全体像が把握できたら次に個別論点の深堀りをやっていきます。
具体的には、テキストをチャプターごともしくは切りのいいユニットごとに復習してすぐに対応するMCやTBSを解いていき、これを反復していきます(僕の場合は5、6周程度しました)。テキストで確認した知識をすぐにMCやTBSで使うことによって定着率を上げるという戦略です。有名なエビングハウスの忘却曲線でも明らかになっていますが、短期間のうちに同じ知識を何度も使うことによって長期記憶として残りやすいので効率的に学習できるんですよね。

全体像把握→個別論点の深堀りという流れで勉強することにはモチベーションを持続しやすくなるというメリットもあります。全体像把握の段階ではどんどん先に進むので着実に前に進んでいるという実感が得られ、個別論点深掘りの段階ではチャプターごとに着実に定着させ解ける問題を増やすことができるので成果が実感しやすいです。USCPA受験生の過半数が1科目目すら受験できずに撤退することを考えれば、モチベーションの維持はトッププライオリティです。

一つ注意点としては、学習初期はMC問題は理解を試す力試しとしてではなく、あくまでもインプットの手段としてとらえるべきです。つまりは、MCを解くときに少しでも疑問を感じたらすぐに解説を見て、理解して次に進んでしまうべきということです。MCでわからない問題というのはいくらでも出てきます。これに力試しとして取り組むと、わからない問題がたくさんあることに対して心理的にストレスを感じ、イライラしてモチベーションも下がりますし、学習効率も下がってしまいます。
一方、MCをやりながら学んでいく、つまりMCをインプットの手段ととらえて学習を進めると心理的ストレスも少ないですし、学習の進み方も加速します。

TBS問題についてはそのチャプターの内容を超えた内容が含まれている総合問題である可能性も高いので、パッと見で「いや、こんなのまだやってないわ。」と思ったら飛ばしてしまってOKです。そういう問題を初期にやっても挫折してしまうだけです。実力がついてきた後期にやりましょう。

テキストと講義に関しては、先ほども記載した通りTwitterではいろいろと言われてますが、我々会計初学者はしっかり両方使うのが無難だと思います。

具体的な使い方は、1週目は内容の理解を意識しながら講義を聴いて重要な部分と暗記すべき部分をハイライトし、追加の情報は書き込んでいきます。それを基に2週目以降は基本的にテキストのみで復習をしていきます。

暗記項目に関してはテキストや問題集を反復していく中で自然と覚えてくるはずですが、それでもどうしても覚えられない項目というのはあるかと思います。そういうものに関してはまとめノートを作ってしまうといいと思います。
中には「テキストは既にまとまっているんだからまとめノートなんて時間の無駄だ!」という方もいらっしゃるかもしれませんが、僕はそれを使う目的が明確になっていれば無駄ではないと考えます。
暗記項目に特化したまとめノートを作る目的は、「暗記項目の復習の頻度と回転数を上げること」です。
テキストは既にまとまっているとはいえ、覚えるべき暗記項目はあの分厚いテキストにランダムにちりばめられているわけで、各暗記項目の復習の頻度と回転数はどうしても落ちてしまいます。そこで、自分が覚えられなかった暗記項目のみのまとめノートを作ることでそれらを小さく反復ことが可能になるんですよね。
まとめノートにはさらにもう一つメリットがあります。脳科学の理論で、「情報を解釈して、自分なりに形を変えて、再構築する、つまり自分で紙に整理して書くという行為をすることによってその情報は記憶に深く刻み込まれる」というものがあるそうです。これはまさにまとめノートを作るという行為と同じで、やはり自分なりに嚙み砕いて整理した情報っていうのは暗記しやすいんですよね。
もちろん時間の制約があるので、全ての項目についてノートにまとめるのは不可能ですが、テキストや問題集を何周かやる中でもどうしても覚えられなかった暗記項目についてはまとめノートに整理して復習の頻度と回転数を高く保つことで、効率的に暗記するということをお勧めします。以下のような感じでまとめノートは作っていました(BECのファイナンス辺りのもの)。

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ここで冒頭で否定した「問題集のみ使う学習法」のもう一つの穴について説明させてください。この学習法のもう一つの穴は、本番での対応力が弱くなることなのではないかと思います。というのは、問題集に載っている問題というのはそれぞれ知識を試す形式や角度が異なるわけで、それのみで学習していると問題集のMCで問われなかった形式やMCで問われなかった角度からの問題が本番で出た時に対応できない可能性が高いです。
問題集は断片的な知識、テキストは体系的な知識を含んでいるわけですから、テキストをある程度精読しておくと、本番で見たことない問題が出た際にテキストから得た知識をどうにか使ってその場で対応できる可能性が高いんですよね。これは僕の場合AUDで顕著でした。問題集では問われなかった角度からの問題が本番でたくさん出ており難しいと感じたのですが、テキストの内容を思い出して筋道立ててよく考えてみると、「あぁこれが答えだ。他の選択肢はどれも的外れじゃん。」と判断することが出来たんですよね。これはテキストを捨ててMCのみで学習してたら難しかったのではないかと思います。
まとめると、問題集のみでの学習は本番での対応力という面でもやや危険があるのかなと思います。

模試について

模試については本番直前の力試しのようなイメージをお持ちの方が多いかと思いますが、これについてもインプット教材の一環としてとらえるべきです。テキストや問題集で扱われていない論点もありますし、試験本番レベルとの乖離がある可能性もあります。Twitterには直前の模試が35点だったにもかかわらず本番では合格だったという方もいらっしゃいます。僕自身も模試とだいぶ違う点数が本番で出ていますので、模試の結果に一喜一憂するのではなく、学習の一手段として使うのが良いと思います。

Wileyの問題集について

僕が勉強初期に情報収集をした際、複数名の方が「アビタスの教材に追加してWileyの問題集をやるのがセオリーだ。」とおっしゃっていたので、なんとなく不安になって購入してしまいました。1教科当たり150ドル(当時)となかなかの価格です。結論から言うと全く必要ありませんでした。理由はいくつかあります。1つ目の理由として、Wileyの問題集にはアビタスの問題集や模試と同じ問題がたくさんあります。おそらくアビタスはWileyとコンテンツの提携契約のようなものを結んでおり、同じ問題を使用しているのでしょう。大金を払ったのに、重複した問題を解くことになります。。2つ目の理由は、Wileyが本場アメリカの教材なので非常に細かい論点までカバーしてしまっていることです。アビタスのテキスト、問題集、模試どこを見ても載ってないめちゃくちゃ細かい問題が結構あるんです。これは本当に完璧なレベルを目指す方には良いのかもしれないですが、あくまでも試験合格を目指すのであればやりすぎな内容です。完璧を目指すということは勉強の効率が徐々に下がることを意味するので、費用対効果は非常に低いです。3つ目の理由は、時間的制約です。そもそもテキスト→問題集→模試→AICPAリリース問題という流れをこなした後に1科目1000個くらい問題が入っているWileyに取り組むのって時間的に相当厳しいと思います。ご多分に漏れず、僕もWileyの問題集にはほぼ手を付けてない状態で試験本番を迎えてしまいましたが、それでも全科目割と高得点で合格することが出来ています。Wileyには本番形式の模試が各科目2回分ついてるので一応練習としてやったのですが、これについても正直Wileyを使う必要は全くなかったです。AICPAリリース問題でいくらでも本番形式の問題解けるので、完全に代替可能なんですよね。試験本番で、Wileyを使っていなかったら解けなかったであろう問題は、僕の記憶ではなかったです。。
以上3つの理由を述べましたが結論として、アビタスの教材のみで合格に必要十分な勉強はできるのでWiley不要ですね。金と時間に余裕がある方は試してみてもいいかもしれません。

単位試験について

単位要件を満たすため、予備校を通じて追加の単位を取得される方も多いかと思います。(僕もそうでした)単位を取得するためには予備校の単位試験を受験して合格しなければならないのですが、これは学習中ではなく試験本番を受験した直後にまとめてやりましょう。試験勉強としては非常に非効率です。理由は3つ。ほとんどが問題集と同じ問題であること、見直しはおろか答え合わせすらできず学習効果が期待できないこと、単位試験に合格するための学習に時間を費やすことにより全体の学習が一時停止すること。
僕も最初、FARの1個目の単位試験に合格できるか不安で、めちゃめちゃ反復した上で単位試験を受験しました。しかし、全体像を把握する前の反復は効率が悪かったので、残りのチャプターをやっていくうちに忘れてしまっていました。。
一方、本番の試験を受験した直後なら正直余裕でパパっと終わらせることができます。なんならインターネットで調べれば答えも載ってます。
ダラダラと書いてしまいましたが結論、単位試験は学習の手段としては良くないので本番受験後にやりましょう。これに気付かずにかなり時間を無駄にしてしまった方もいるようですし、僕もそうでした。

学習の全体編としてはこんな感じでしょうか。各科目ごとの具体的な対策ポイントや受験戦略はこのシリーズの後の記事で解説していきます。読んでいただきありがとうございました!

次回はFAR攻略法です。次回もお楽しみに!

アビタスの利用をご検討の方へ

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otsumamiuscpa@gmail.com

おつまみ


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