2022/10/8 TOキャノンボールチャレンジ(達成!)
2022/10/8に東京-大阪キャノンボールに挑戦し、22:55で達成しました。
昨年の失敗から1年間、日常のライドではキャノンボール達成に活かせることはないかを探し、家ではgoogle mapと睨めっこしてルート研究を行い、常に達成のための最適化を図った結果、無事達成することができました。
本記事では失敗から成功への昨年とのアップデート部分やこだわったことを主に記載し、これからキャノンボールにチャレンジする人がこの記事を読んで少しでも達成に近づくことができたらと思います。
※本記事は「ロードバイク Advent Calendar 2022」12/15(木)担当記事です。
※昨年の失敗記録はこちらになります
※キャノンボールが何かについては割愛します。ググってください!
昨年からのアップデート
達成を語る上でまず昨年の失敗からアップデートを行い、効果が大きかったものを上げてみます。
①サイコンでのルートナビの導入
普段ライドをする際、大体のルートは暗記して地名と青看板と走った距離から現在位置を大体割り出して脳内で把握していました。
細かい道が分からない時はステムに付いている携帯のRWGPSアプリでルートを確認するようにしていましたが、脳の余計なリソースを割くことが疲労の蓄積に繋がることがわかったので仕方なくサイコンを導入しました。
こんな低レベルなこと言っててキャノボとかマジかよ…って思われる方もいるかもしれませんが、なるべく最低限の装備で自身の能力や人間力で達成することにこだわっていた部分があります。
②パワーメーターの導入
友人から4iiiiのパワメクランクを安く譲ってもらったのがサイコン導入のキッカケになりました。
そんなたまたまの機会だったのですが、24時間ペダルを漕ぎ続けるという運動に対して出力を一定にすることはかなり効果が大きかったと思えます。
昨年は大体8割の力で漕ぎ続けて350km以降は気合と根性みたいなアバウトな作戦でしたが、やはりアドレナリンで力を出しすぎてしまい足の消耗はもちろん、身体にガタが来るのが早かったような記憶があります。
実際パワーの数値を見ていると脳内に体力ゲージみたいなイメージが浮かんできて、それがだんだん減っていき最後にゼロになるようにパワー管理をすることができました。
また、ブルベの経験から平坦150W~180Wで漕いでればそこまで疲れることはないことがわかっていたので、少し強度を強める必要があるキャノボでは平坦で180W-200W(⇒200Wを超えないようにする)で33km/h前後をキープ、登りは210W~280W(⇒PWR3倍~4倍程度に抑えて300Wを超えないようにする)とそこまで強度を高めずに淡々と漕ぐ意識で居ました。
まぁ400km以降はボロボロで200W何それ状態だったんだけど・・・。
③FTPの底上げと減量の相関関係
当然なんですが、体重とパワーは比例しています。
昨年はとにかく毎日強度高めの練習をして、食事も最低限にしてできるだけ減量していましたが、瞬間パワーやPWRは上がったものの必要な筋肉まで削れてFTPは下がってしまったように思えます。
ファストランには向かない体型ですね。
なので、練習強度は落とさず頻度を少し下げて回復に充てる時間を確保し、食事もライド当日と翌日は脂質をある程度抑えつつしっかり食べることで標準体重から増減しすぎないように身体と向き合いました。
結果的に1年間で坂はそこまで激的に速くなっていないですが、FTPは底上げされロングライド中のパワーの持続力が上がった気がします。
持続力に関してはタレない精神状態になっただけかもしれないですが、その精神状態に身体が慣れたという感じ?
身長:178cm
昨年の挑戦時の体重:64kg ⇒ 2カ月で急激に減量を実施
今年の挑戦時の体重:68kg ⇒ 通常時70kgから緩やかに余分な脂肪だけ少し減らすイメージ
因みに気になるFTP値ですが、ローラー環境がないので計ることができません・・・(^o^)
④その他の差分
他色々アップデートした部分はあるんですが、そこまで大きく効果があったわけではないので項目だけで詳細は割愛します。
まぁ色々やりました。
・SPDペダルからスピードプレイペダルに変更
・普段のライドでも夜早めに寝て深夜帯に起きる練習
・ライド前日は不必要に食べ過ぎない
・補給は普段から走りながら食べれるようにする
・アミノ酸を100kmに1回摂取する
・休憩では暖かいものを食べる
・レイヤリングのやり方
・モバイルバッテリーは重いので携帯の充電はライト(RN1500)からのみ
達成のためにこだわったこと
①ルートの研究
普段からよく峠を走っているので登りの苦手意識はないことと、要求グロスが減る方が有利と考えて獲得標高が増えたとしても距離を短くする方向性にしました。
獲得標高が増える大体の場合、距離と信号も減りますからね。
メインルートは246→サファリパーク→姫街道→R23→伊賀越えとして、
そのほかの細かいルートを決める上でRWGPSとgoogle mapで通りそうなルートを細かく見て以下の条件に合致するかどうかを研究しました。
距離を短くする(要求グロスを下げる)
信号の少ないルートにする
速度が出せる大通りを通る
一時停止が少ないメイン通りを通る
後は距離が削れそうな箇所があればRGPWSでA地点からB地点までのルートを比較、そのルートの様子をgoogle mapのストリートビューで確認、
経験則で信号の青が長そうな道を選定していくという地味な作業を500km超ひたすらやってました。
最終的に505km4200upのルートを引くことができ、要求グロスは21.04kphと普段のブルベとそこまで変わらない数値まで減らすことができました。
実走でのログで507.12km(要求グロス21.13kph)、3715upだったのでキャノボを達成した人の中ではかなり少ない距離なのではないかなと思います。
②ブルベでの練習
昨年はブルベが開催されていなかったので最長で走ったことのある距離が370km、しかも300km超のライド経験が1回しかありませんでした。ちょっと経験が足りない印象。
更に、疲れてきてから休憩を取らずに走ることに慣れていなかったので、今年のブルベではキャノボを想定してPC以外で余計な休憩はせずPCでも少な目の休憩を意識し、走行中は疲れてもとにかくペダルを回し続けるように練習をしていました。
特に8月北海道の摩周湖1000kmは疲れていようが雨が降ろうが風が吹こうが、3日間300km以上信号が少ない(無い)道をとにかく漕がなければいけなかったので本当に良い練習になったと思います。
③普段通りに走る
日常の強度高めのロングライドの延長線みたいな考え方でキャノンボールを走ったのですが、この自己暗示はかなり大きかったです。
カーボローディングしすぎ、緊張して寝れない、RTされすぎて本番で緊張、アドレナリン出て踏みすぎ、普段しない補給をしたり、普段使い慣れていない道具を使う、などなど、、
あるあるな部分もありますが、余計な考える要素が増えると余計なストレスがかかり、それが積み重なると細かな失敗に繋がり達成率が下がると思います。
なのでキャノボ対策をするにしても普段ライドでやってることの応用程度に抑えるようにし、500km超のゆるポタと言い聞かせてライドを楽しむようにしました。
後は普段のブルベでもとにかくグロスを意識して「このぐらい休憩するとグロスがどれだけ下がる」「200km走ってからグロス0.1kphを上げるためにはこれぐらい頑張らなければいけない」みたいなのを身体に叩き込んで感覚で考えられるような状態にしておきました。
なので、実走時も普段のライドと変わらないマインドで走ってたと思います。
④走行前の日程と時間選び
自分の仕事は土日祝休みで有給も取りやすく、一人暮らしのため家族峠などもなく休日を全部キャノボの日程選びに充てることができました。
キャノボに挑戦する前からTO風になりやすい天気の傾向を確認しておいたのも日程の選定が事前にしやすくなる要因だったかもしれません。
実際に10/8の1週前の10/1時点では雨の予報が出てましたが、TO風が吹きそうだったので好天した場合に備えていつでも走れるように準備を進めて翌日の有給も仮で入れておきました。
3日前頃から見事に好天し、風も予想通りTO風が吹きそうだったので決行を決めました。
やはり風が良かったのか、同日に自分含めて6人もTOキャノボをやってたみたいですね。
詳しくはまとめて頂いたtogetterをご確認ください。
スタート時間は雨との兼ね合いや睡眠時間の確保もあるので直前まで悩みましたが、246の厚木近辺(50km前後地点)の渋滞は街が動き出す8:00から特に大きくなるため、グロス20kphで進んだ場合に8:00に通過でき睡眠も5時間程度は確保できる5:30をスタート時間に決めました。
雨天走行や睡眠時間を削ることは先述した余計なストレスの話で、失敗に繋がる要因を少しでも排除しておきたかったというのもあります。
まぁ実際は日本橋に5:25に到着してスタートがギリギリになってしまい、落ち着いてスタートしたかったのと応援に来てくれた方と喋ってたら結局5:40スタートになってしまったのですがw
スタートしちゃえば些細な問題ですね。
走行編
肝心の走行中ですが、とにかく準備に時間をかけたので走行中は予定通りに淡々とペダルを回してなるべく休憩を少なくするというぐらいでした。
特筆すべき点は全て先述してるので、ここからは感想日記になってしまうから興味ない人は読み飛ばしていただいて大丈夫です。
因みに休憩のコンビニはレジやトイレの混み具合もあるし、補給と水の減り具合などもあると思うのであえて決めませんでした。
日本の国道にはどこにでもコンビニありますからね。
強いて言えば序盤の給水+トイレポイントのみ事前にチェックしておいたぐらい。
①日本橋~御殿場(0kmスタート~100km地点)
ずっと弱めの追い風で150W~180Wで33km/h以上のスピードを出たので良い感じにパワーを抑えて節約して巡行。
厚木を過ぎた50km地点あたりでとにかくトイレに行きたくなるが、そんなトイレばっかり行ってられないのでいつも通り我慢。
②御殿場~島田(100km~200km地点)
151km地点の由比駅前公園で1回目の水道水補給+トイレを済ませる予定だったが、さすがに3時間以上もトイレを我慢してるとしんどくなってくる。
しかも登りで水も飲み干してしまったので残り30km(約1.5h)を我慢しきれるか・・・?
とりあえず我慢・・・と思ってたらサファリパークルート下りはじめの十里木高原展望台公園駐車場(120km地点)で登山者用の靴を洗う水道と公衆トイレを発見。事なきを得たw
コンビニに入らなければ大したロスにならないので、151km地点の由比駅前公園でも水を汲み直してトイレにも行った。
200km地点は前回DNFした島田。
8時間23分と1/3が過ぎたあたりで要求グロス21.04kphに対して23.9kphなのでだいぶ余裕がある。
焦る必要はなさそうだが気合を入れ直す。というか疲労がない割にペースが早すぎてちょっと困惑。
よっぽど風が良いのだろう。
③島田~本宿(200km~300km地点)
調子は良かったものの金谷峠の下りで身体に異変が発生したので225km地点のセブンイレブン 掛川大池店で1回目の休憩。
眠くはないが思考が定まらずボーっとしてしまい、右肩に力が入れにくい状態になった。
15分程度の少し長めの休憩。
実際225kmで20分弱休憩するなら100kmに1回8分休憩取った方が良い気もする。
無事復活して天竜川を渡った後、今回初めて走る姫街道から浜名湖を通るルートへ。
獲得標高254upで5.3km短くなり浜名湖北側は信号も少なくなるのでクラシックルートで走ってたりしなければ使わない手はない。
浜名湖を過ぎてから迎撃もしてもらいました。
ちょうど信号で止まったのでブラックサンダーをいただいたりして、少しお話して元気が出た。
というわけで国府で国道1号に合流して3/5の300km地点へ。
少し疲れは出てきたが天竜川を渡るまでずっと追い風だったのでグロスも23.8kphとまだまだ余裕がある状態を保っている。
④国府過ぎ~関宿手前(300km~390km地点)
名古屋方面へのR1の北上は予定通り向かい風、夕方で交通量も多くなかなか体力が削られる。
ここで水分が切れたのでどこかの自販機で麦茶を1本買った。
(気づかなかったけどこのあたりで迎撃されていたっぽいw)
R23に入り強い横風が吹く中トラックが真横を高速で抜かして行きヒヤっとする。今回のキャノボで一番集中して走ったかもしれない。
R23を過ぎてから安堵感が出たのか向かい風の中四日市までを淡々と漕いでただけでいまいち記憶がない。
四日市を過ぎたあたりで補給も心許なくなってきたため387km地点のセブンイレブン 四日市小古曽東店で2回目(ラスト)の休憩。2回目も15分程度。
リスタート!と思ったら疲労状態でご飯を食べ血糖値が急激に上がったせいか異常な眠気に襲われる。
恐らく血糖値が収まれば眠気はなくなると思うが、これから10度を切ってる伊賀に登るのに眠気がある状態なのは不安が残る。
半袖に夏用アーム・レッグカバーが基本装備で防寒具は薄いウィンドブレーカーしかないためとても寒さを凌げる装備ではなかった。
リスタート時もグロス23.2kphほどあり、まだまだ貯金があるので確実な達成のために22時間切りを諦めて仮眠を取ることを決めた。
2kmも走らないうちにファミリーマート 国一うねめ店にピットインして、喋ってる不良少年達を横目に上着を着て仰向けになって寝る危ない奴になってしまった・・・。
25分ほど寝て少しストレッチをしてリスタートした。
(この辺りから余裕が全然なくなってきてツイートと写真が減ってきている)
⑤関宿手前~梅田新道(390km~507kmゴール地点)
なんとか復活してリスタートはしたが、さすがに400kmを少ない休憩且つ高い強度で走り続けたことはなく、精神的にも肉体的にもかなり余裕がない状態。
ここまで来たら速度を気にしている余裕はなくルート通りに無心で強度を出しすぎず維持して漕ぐしかない。
というか、深夜の伊賀市内の前後が10度を切っていて強度を落とすと凍えて一気に持って行かれそうになる。
体感温度を走行強度で調整していた。
三重から京都への県境を越えた450km地点あたりで核心を抜けた感じがして、ある程度余裕も出てきてゴールを意識し始めた。
このあたりで残り距離から大体の時間を計算したところ23時間を切れそうだったので目標を定めてモチベーションを保つことに。
清滝トンネルの前後は何度も予習をして頭に叩き込んでいるので初見でも問題なく通過。
でもトンネルの前後では10%弱の登りが何回もあったので溜息しか出なかったw
四条畷市の下りを下ってる時に、「あ、時間内にゴールできるんだな。」とわかり、色々な感情が押し寄せてきて少し泣きそうになった。
でもゴールまでが少し長くて涙も引っ込んでしまったw
大阪市内に入ってからはラストスパートで23時間を切れるようにガンガン強度を上げていく。
ということで、無事梅田新道にゴールして悲願だったキャノンボールを達成した。
文字通り感無量でした。
22時間55分(地面で睡眠中にサイコンの電池が少なくなり自動停止が勝手に入り時計は7分ほど早くなっている)と、23時間も切ることができ大満足の結果に終わった。
実走距離507.0kmを22:55で走ったのでグロス22.14kphとなった。
RX01さんにゴールで迎撃をしてもらい、5:00にスタートして先にゴールしていたヮヵォさんと共にしばし談笑をした。
颯爽とリカンベントで現れたえむきゅうさんも混じってキャノボ話に花を咲かす。
(翌週と翌々週にまさか関西のお二人のキャノボ迎撃をすることになるとは露知らず・・・w)
疲労と空腹で限界になったところで道路元票から離脱。
暖かいご飯と味噌汁が食べたくなったのでとりあえず松屋を探していたら松の屋を発見。
キャノボ後にトンカツと大盛ご飯を食べても問題ない胃腸。
臓器最強すぎてほんと親に感謝しかない。
その後AR日本橋の大阪東京 中山道600kmのブルベに出走している友人のスタートをお見送りし、朝からやっている銭湯で寝落ちしておばちゃんに何回も起こされて、4回ほど起こされたあたりでようやく落ち着いたのでした。
3連休の2日目なのでこのまま滞在しようか迷ったけど、昼過ぎから雨も降るみたいなのでご飯を食べて帰路につくことに。
新幹線の予約をその場でして昼前には大阪を離脱した。
滞在時間8時間か~。松の屋でとんかつ食べて銭湯入ってラーメン食べて帰るとかマジで何しにきたんだろうな~。とか色々考える。
達成できたんだから良いじゃんとw
ゴールして思ったこと
簡潔に、キャノボを達成するには、フィジカルでゴリ押すか、ルートや走り方等の研究するかの二択だと思います。
自分は残念ながら大したフィジカルではないのでひたすらキャノボというライドを研究して準備に時間をかけました。
先人の方々の記録無しには達成は難しかったと思いますが、その情報をベースにしていかに自身に落とし込んで最適化をして、更に自分に何が足りないかを洗い出して対策を立てることが、フィジカルが足りない人の達成のカギになるのかなと。
決してノリで出来るものではないのだなと改めて思わされました。
キャノンボール達成を目指す方へ。
キャノンボールは自転車に乗り始めてから自分にとってずっと夢みたいなものでした。
本当に雲の上の話だと思ってたので、まさか達成できるとは2年前の自分に言っても信じないでしょう。
たまたま自分の自転車を取り巻く環境が変わり、近くにキャノボ達成者がいて仲良くなったので色々話を聞くことができた時に夢が具体的な目標に変わったのでした。
チャンスを掴み取ったのだと思います。
そんな簡単に言うけど・・・って思うかもしれませんが、夢を掴むきっかけはそこら辺に転がってて、ふとした時に拾えるものだと思います。
いつ転がってくるかもわからないのでチャンスを掴む運も重要ですし、転がってきた時に気づけるアンテナと、気づいた時に拾う勇気があれば、後はやるだけです。
自分が応援してもらった恩を返す意味合いもありますが、自分はキャノンボールに挑戦する人を応援します!
夢を掴み取りましょう。
この記事がキャノンボールに挑戦する人の達成に少しでも貢献でき、励みになれば幸いです。
Fin.
次はOTでクラシックルートで達成目指すか、最短ルート研究して22h切りでも目指しますか~~
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