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旅する日本語

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「旅する日本語」投稿キャンペーンhttps://note.mu/info/n/ndba45f9d066a に参加しています。対象になっている全ての言葉について書きました。
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2018年7月の記事一覧

生ひ優る(おいまさる)

初めて展示を見たとき、チームラボはもっと遠くを目指しているんだろうなと思った。 2回目に出会った作品は、鏡を使って空間が拡張されていた。作品の中に入る手前のような感覚だった。 3回目、渋谷ヒカリエで行われた参加型のアートはとても楽しかった。全身で体験できるインタラクションは、光に触れたりするだけで自然と参加できた。 昼は親子で楽しめて、夜は大人のためのコンテンツに変わる。 時間でターゲットを切り替えられているから、限られたスペースでも思いっきり参加できた。 4回目に

涼飇(りょうひょう)

湖畔のレストランで食べたピザの味は覚えてないけれど、そこに漂っていた空気は覚えている。 箱根に旅行した時のピザの写真が出てきた。この写真だけ見ていると最近食べたピザと変わらないけれど、前後の写真で食べた時の感覚を思い出す。 湖畔のレストランは賑わっているけれど、圧迫感はなかった。 天井が高いことや、湖畔の風の気持ち良さとか環境的な理由はあるけれど、本当の理由は違うところにある気がしてきた。 目を凝らしてみると、食事をしている人々がとてもくつろいでいるのがわかった。

寸景(すんけい)

休みの日、東京のカフェに行った。 店内は明るすぎることはなく、とても落ち着いている。 だから窓際のカウンター席には、午後になると光が差し込んできてカップやお皿を照らす。 外を覗くと、はとバスやタクシーが見えて、運転手は今日も日常を紡いでいるのだと思った。 考えてみれば旅行で使う鉄道やバス、観光地の飲食店も誰かの日常で成り立っている。 私の旅も、名前の知らない誰かによって作られていた。 そんなことに気づいたら、知らない土地の一度きりしか会わない人にも感謝の気持ちが湧