つなぎとめて

最近全然写真を撮りに行けてない。コロナで不要不急の外出を控えなくていけなかったせい。もし普段通りの生活が送れていたら、今頃は桜やお祭りの屋台、友達の写真なんかがデータやフィルムに残っているはず。授業に集中できなくなったら写真を眺めて懐かしさに浸りながら、今年の夏は何ができるかな、としたいことなんかを書き出していたりしただろう。

そんなことを言いつつ、本当は過去にあった楽しかったことを覚えるのがとてつもなく苦手。やらかしてしまったことや悲しかったことは鮮明に思い出せるのに…。思い出話をしていても、楽しかったね〜と覚えてる風な相槌は打つものの、実はひどくおぼろげなことが多い。思い出には底があって、容量は人それぞれだけど、私は思い出を記憶する能力が極端に低い。

そういう人のために、写真はあるのだと思う。

場所や風景が保持する思い出の力はとても強い。その場所に行くだけで、前後にあったことだけじゃなくて、気温、話してた内容、そのとき感じてた些細なことまで思い出せてしまう。写真を見たときも同じで、それまで忘れていたことが走馬灯のように過ぎる。写真が好きな人の中には、そんな魅力に取り憑かれた人もいるんじゃないかと思う。

“日常を切り取る”なんてありがちで気取ってると思われがちな言葉だけど、写真の持つ大事な役割だと身をもって感じてる。つなぎとめておきたい瞬間を、忘れてもすぐ思い出せるように、これからもシャッターを切り続けたい。

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