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画像生成AIの誕生と変遷(1)初期の画像生成技術

初期の画像生成技術

画像生成の歴史は、コンピュータによる画像の歴史から始まります。初期のコンピュータのアプローチでは、表示するためのディスプレイ技術もコンピュータ技術の研究の一部でした。1950年ごろ、文字をプリンタに打ち出す技術からドットやベクトルといった線に進化し、単純な図形やパターンの生成が可能になります。その頃のこの分野の技術の進化速度は現在のディスプレイの進化よりも高速でした。
例えば、1955年に着想され1962年に登場した「Sensorama」は世界でも最初期のバーチャルリアリティ(VR)体験装置といわれています。筐体型のアーケードゲーム機のような装置で、3次元的な映像だけでなく、アロマや送風、イスを振動させる装置もついており「エクスペリエンス・シアター」もしくは多感覚シアターとして提案されていました。

CGとインタラクティブ技術の研究で最も歴史がある国際会議「SIGGRAPH2023」にて。学会50周年を記念してさまざまな歴史的展示が共有されました。

歴史を紐解くと「ピクセル」という言葉は、NASAのジェット推進研究所(JPL)のフレデリック C. ビリングスリーによって1965年に発表された宇宙探査機からのスキャン画像の画素として文献に現れます。ビリングスリー自身は「pixel」という言葉がどこから来たかは明確ではなかったようですが、1963年当時「pix」は静止画を指す言葉として一般化されており、またシリコンバレーの研究所では一般的に使用されている言葉だったようです。

https://ui.adsabs.harvard.edu/abs/1966OptEn...4..147B/abstract

Processing Ranger and Mariner Photography
Billingsley, Fred C.
Abstract
A discussion of the "Lunar Television Image Converter" (Lunar-TIC) will be presented. This is the system utilized for the digital processing of the RANGER and the MARINER pictures. Digitizing requirements and 'tradeoffs' will be covered as they apply to this process which employs a magnetic analog tape as the data source, converts the data for processing in a 7094 computer and then converts it to picture form. Some of the RANGER and MARINER pictures which have been processed in the IPL digital computer will be shown and the various techniques used will be discussed. Samples will also be shown of the capability of Lunar-TIC to scan, digitize, and reconstruct photographic transparencies.
Publication:
Optical Engineering, Volume 4, Issue 4, pp. 147 (1966).
Pub Date: May 1966 DOI:
10.1117/12.7971335

https://ui.adsabs.harvard.edu/abs/1966OptEn...4..147B/abstract

「RangerとMarinerの写真の処理」Billingsley, Fred C.Abstract
「Lunar Television Image Converter」(Lunar-TIC)についての考察を行う。これはRANGERとMARINERの写真のデジタル処理に使用されたシステムである。データソースとして磁気アナログテープを使用し、7094コンピュータで処理するためにデータを変換し、画像形式に変換するこのプロセスに適用されるデジタル化の要件と「トレードオフ」について説明する。IPLデジタル・コンピューターで処理されたRANGERとMARINERの写真の一部を紹介し、使用された様々な技術について議論する。また、Lunar-TICによる写真透過体のスキャン、デジタル化、再構成のサンプルも紹介する。

翻訳

現代のTVやスマホのディスプレイにも「ピクセル」があります

スマホでTVを拡大して撮影するとこんな感じにピクセルを見ることができます。

ディスプレイは現在液晶や有機ELといったフラットパネルディスプレイが主流になっていますが、21世紀に入るまではブラウン管といったガラスのチューブやプロジェクターが主流でした。ピクセルではなくベクトルを描くことができるディスプレイもありました。多様に進化したピクセルとディスプレイの研究ですが、現在も進化が続いています。例えば1ピクセルの画素の色はRGB(赤緑青)各色が0~255の値(8ビット)をとりますが、比較的新しいOSやツールだと、ハイダイナミックレンジ(HDR)画像として、さらに多くの情報を使うフォーマット(画像ファイル形式)が登場しています。8ビット表示の場合はRGB各色の組み合わせで約1677万色の表現が可能でしたが、10ビット表示の場合は、10億7374万1824色もの色を再現可能です。



あ、これって「みんなでつくるAI用語集」にいけるのでは…?

(続きます)

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