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完全Zoomオンラインセミナーの運営-第28回日本麻酔・医事法制(リスクマネジメント)研究会の実例から

そろそろこのシリーズ記事を有料化しようか?と思いながらも、それよりもこのノウハウがもっと広く普及してほしいという想いから今回も無料記事です。いいね!や応援していただける方、「サポート」でご支援いただけるとうれしいです。

さて、前回は当日の配信技術についてを取り上げましたが、今回はオンラインセミナーの運営について。今回も、オンラインセミナーのツールとしてはZoomを使います。

当日までにやるべきこと

セミナーの運営というと、当日までの準備期間と当日の運用とに分かれると思うが、正直当日までにどれだけ準備ができるかでセミナー成功の9割は決まると思っている。セミナー中に想定される数々のトラブルを、当日までにとにかく潰しておくことが重要。そのために今回、演者・座長向け、参加者向けのマニュアルを独自で作成し配布、更に当日も、トラブルシューティング集を待機映像で流すようにした。セミナーのトラブルで、こちらが対応可能なものと行ったら画像が配信できない・見れない、音声が配信できない・聞こえないの4パターンのみ。実は意外とシンプルなんです。なので、ビデオON/OFFおよびカメラの選択、音声ON/OFF及びマイクの選択とオーディオ切断が案内できれば運営側として責任持って果たすべき仕事は終了なんです。あとは、それぞれのマイクやカメラ、PCスペックやインターネット回線の問題なのでこちらとしては、それらが原因でないかというsuggestionまでしてあとは対応してもらうしかない。中には当日いきなり対応が困難なものもあるので、事前リハーサルは必要です。

あまり出せる情報はないのですが、当日案内したトラブルシューティング集をSlideshareにあげといたのでもし興味のある方はご覧ください。

Zoomミーティングかウェビナーか

さて、開催形式をZoomミーティングにするかZoomウェビナーにするかは実は非常に悩ましい問題。それぞれ一長一短で、どれを採用してどれを捨てるかの判断をしなければならない。それぞれのメリット・デメリットをあげていきます。

Zoomミーティングのメリット・デメリット

ミーティング開催の大きなメリットは、双方向性のセミナー運営がやりやすいということ。セミナーでしゃべるのが座長や演者だけでなく、参加者にもビデオ・音声ONで双方向のやり取りをしてよりリアルな感じで参加してもらうためにはミーティングのほうが非常にやりやすい。また、ブレイクアウトルーム機能も備わっているので、グループワークもやりやすいし、座長や演者との裏でリハーサルなどもやりやすい。事前にリハーサルができなくて当日リハーサルになってしまう場合、例えば朝9時開会のセミナーで午後から講演の演者(だいたい後ろに回されるほどVIPであることが多い)の場合も、9時の開会前に入ってもらいそこから時間に追われてリハーサル。一度接続してうまくいったZoomはそのままキープしておくほうが無難というのは経験則。ブレイクアウトルームを使うと、講演15分前とかでもZoomに入ってきてもらって会の進行に影響せずリハーサルができる。

一方、デメリットは参加者管理が一番の課題になる。双方向コミュニケーションが取りやすいということは、映像も音も出し放題なので、突然映像や音を出されたりすると対応に追われる。ホスト側でスポットライトを当てていないと、その音を出された参加者に画面が切り替わったりする。あと、個人的にマイナスなのはウェビナーにあるような”ブランディング機能”がないこと。これはここでは説明しにくいのだが、企業ロゴだったり申し込み制にしたとして申し込みサイトを手軽に作れるのはウェビナーのメリットである。セミナーに華ができる、映えポイント。それだけなんですけどね・・・。

Zoomウェビナーのメリット・デメリット

Zoomウェビナーの最大のメリットは参加者管理のしやすさ。ウェビナーは、パネリストと参加者が明確に区別されている。参加者側の操作ミスで映像や音声が出ることがまずないので、そのトラブルに追われることはない。前述のように、ブランディング機能を使ってセミナーを映えさせることも可能。

逆にデメリットは、2021年11月現在、Zoomウェビナーにはブレイクアウトルーム機能がない。なので、上記ミーティングのときのような方法で15分前リハーサルができない。また、質疑応答に関しては、ウェビナーではQ&A機能がついているのでチャットの読み上げや文字での質疑応答はできるが、ミーティングのようなビデオON・音声ONによる双方向コミュニケーションをするには手間がかかる。

①質問者の「挙手」による意思表示

②質問者をパネリストに昇格させるホスト操作と承認

③参加者のビデオON・音声ON操作

という手間がかかる。ミーティングだといきなり③の操作だけでいい。

今回はミーティングを選択

以上を踏まえて、今回はZoomミーティングによる開催を選択した。ビデオOFF/音声ミュートのアナウンスは事前に入念に行った。だいたいの案内は事前にできたと自信はあった。それに、そこそこZoomホストの業務にも慣れたという自信もあった。今年の3月までは「自分はスイッチングに特化し、Zoomホストはいいや」と思っていたが、共同ホストに始まりホストを任せられることが多くいつの間にか慣れていった。それよりも、何かあったときのブレイクアウトルームでのZoom操作トラブル対応に応じられることの方を優先させたかった。

当日オペレーション中のおすすめ画面構成

前回の記事で紹介したように、最初はZoomのみでスポットライトを当てる作業での会の進行になった。その中で、おすすめする画面構成がこれ

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Zoomはソフトが立ち上がると全画面表示になる設定になっていると、チャットを見逃したりリアルタイムで参加者を把握することができない。全画面表示を解除して、チャット欄と参加者リストは常に表示させておく。これは、演者が画面共有でプレゼンしているときも全画面表示は解除しておくことがおすすめ。

なお、このZoomを使っている時に自動で全画面表示になる仕様は、ZoomISO+Display Linkで複数外部ディスプレイを併用しているともうどこにどの画面が行っているのかわからなくなります。ZoomISOの挙動になれるとそうでもないですが・・・ちなみに、自分も今回やりながらようやく慣れていった感じです(遅)。

あと、参加者画面を把握するためにも画面はギャラリービューをおすすめする。しかし、参加者にはスピーカービューで見てもらうことをアナウンスしておかないとせっかくスポットライトを当てているのがなんの意味もないことになる。

貴重な経験を経て、Zoomセミナー運営の基礎は固まった

今回、麻酔科業界で2番目に大きな学会の併催研究会のZoom研究会の運営をさせていただいた。ハイブリッドしないので現地映像と音声を考える必要がなかったのが大きなストレス軽減となった。

新型コロナウイルス感染症も一見落ち着いたかのように感じられる2021年11月現在。リアル+オンラインのハイブリッドセミナーとなるとまだまだ少ないが、完全オンラインセミナーも増えてきた中、『自分たちもやってみようか』と思う人も増えてきたのではないだろうか。できると思っているのといざやってみるのとではぜんぜん違うが、ほんの少しでもやってみることで経験は積み重ねられていく。コロナの影響で一気にオンライン化が進み、その良さを感じられたり新たな市場が開拓されたことだろ思う。仮に今後、持続してコロナが落ち着くもしくはコロナを気にしなくなる世の中になったとしても、今回掘り起こした市場をないがしろにするのではなくビジネスチャンス、学会でいうとハイブリッドにすると普段参加できない人や休職中のママさんドクターなどの掘り起こしや学会専門医講習にもなるという新しいことに取り組んでいってほしいなと願う一方で、オンラインに抵抗を持たれないように案内できるように、人に教える技術も今後磨いていきたい。

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