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【配信を拝診⑧】注意一秒呪詛永遠‼ "傍観者でいることを許さない"指数は『リング』を悠々超える... 台湾が放つパリピざまぁホラー系Netflix独占配信映画『呪詛』

 結論から言おう!!・・・・・・こんにちは。(≧▽≦)
 邦画の劇場版『リング』(1998)の主題歌「feels like HEAVEN」の歌い出しが"く~る~ きっとくる~"ではなく、"ウ~ウ~ きっとくる~"だと昨年知人に指摘されて初めて知った、O次郎です。

"歌い出し以外は実は全体的に明るい曲"というのもトリビア的によく言われましたね。 


 というわけで今回は、最新のNetflix独占配信映画『呪詛』です。スピリチュアル・オカルト・スプラッター・ファウンドフッテージといったこれまでの古今東西の作品で培われてきた恐怖要素をすべて注ぎ込んで掻き回したような総合ホラー映画です。
 今現在、振り切ったスプラッター描写と特異なゾンビ設定でスマッシュヒットを飛ばしている『哭悲/THE SADNESS』は台湾映画ですが、本作も台湾製です。"台湾×ホラー"というと近年の『怪怪怪怪怪!』ぐらいしかパッと思いつきませんが、立て続けにヒットすればその方面の雄になるやもしれません。

終わり方も漏れなく悲惨なもののようです…。
ご興味のある方はお早めに劇場へ。

 もともと、ホラーは映画やテレビよりもゲームで慣れ親しんだジャンル、という層でして、"ホラー映画"というのもあまり積極的に選択肢に組み込まないのですが、それゆえに敢えて…ということでなかなかに話題になっているっぽい本作を鑑賞してみた次第です。
 上述のように物語のオチとしてはあの作品っぽいのですが、儀式のいかがわしさやグロテスクなギミックは日本には出せないアジアンホラーの凄みを醸し出しており、心理的そして生理的な嫌悪感と恐怖を実に厭な形で残してくれました。
 ネトフリの独占配信作品はどれも結構野心的で数は豊富ながらも、質については玉石混交なのが紛れも無いところなので、しばらくは様子見的なスタンスの方々の参考になれば之幸いでございます。ネタバレを含みますのでご容赦をば。
 それでは・・・・・・・・・・・・ORIGINAL LOVE!!

個人的には"リング"といえば劇場版よりテレビシリーズの『リング〜最終章〜』の思い出。
妻を早くに亡くし息子と二人の主人公に秘かに思いを寄せる後輩の京野ことみさんのいじましさ
物語の謎のカギを握る長瀬智也さんもミステリアスで良かった。
ED曲はORIGINAL LOVEの『STARS』で、たしか小学校の校舎を延々写してる映像だったような…?



Ⅰ. 作品概要だったり所感だったり

※英語版も含めてWikiのページが存在しないようなのでこちらを。

 序盤からのユーチューバーの心霊スポット探訪的なノリは韓国の『コンジアム』、奇病に苛まれる幼子とそのお祓いのための異様な儀式は同じく韓国の『哭声/コクソン』、POV視点やファウンドフッテージの多用は『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』、そして遂に呪いを根絶することは叶わず他人にそれを擦り付ける結末のくだりは『リング』というように、プロットとして参考にしたと思しき、ないし影響を受けたと思しき作品はいろいろと思い浮かびますが、それらが混然一体となって観客を休ませず二時間ひたすらショックと恐怖の渦中に置き去りにするのが本作の最大の特徴です。

”YouTube撮影隊にしてはTV番組より人員と設備豪華だな”と思った上映当時。
結末があまりにも投げっ放しジャーマン過ぎたのと、國村隼さんの褌一丁姿の衝撃が…。
全編が手持ちカメラ映像の所為で鑑賞中に画面酔いして吐いちゃったのは確かに震撼ものの体験。
劇場じゃなくて後々のDVD感想だったのでよかった…。
これはたしかテレビで初鑑賞。
元夫婦でしかもめちゃくちゃドライな関係性、という映画版独自の設定が
思春期の少年の時分にはなんかしんどかったなぁ。

 かといって恐怖が間延びするようなことは無く、硬軟合わせたホラー描写をテンポ良く展開してくれるので、ホラー作品としてはわりと長尺な二時間もわりとスルッと観させてくれます。

面白半分で儀式に手を出す若者たちの図。
”わたしバカよね~ おバカさんよね~”
仏像や呪具の禍々しさは一目で生理的な恐怖を呼び起こす。
このへん、ワールドワイドに評価されてる理由か。
仲間だけでなく主人公に関わった人たちが次々に呪いの犠牲になっていきますが、
それで警察の捜査が及んだりといったことはありません。理性はあくまで無力…。

 反面、『リング』や『哭声/コクソン』に有ったような謎解きシークエンスには乏しいため、ホラーはホラーでもある程度筋道の通ったミステリー仕立てのそれが好きな方には不向きかもしれません。
 上述のようにテンポが良い反面、ゴジラや貞子のような恐怖対象が登場するまでの”溜め”の怖さにも乏しく、ビックリや気色悪さ先行なのも好みの分かれるところ。

不思議調査隊気取りの大学生の過去と、6年後のシングルマザーとなった現在とが
交互に何度も前振りなく入れ替わるのでなかなかに困惑。

自分は途中まで女子大生とシングルマザーが同一人物とは気付かず、
娘さんも実の娘ではなく養子だと勘違いしてました…。(-ω-)
濃茶の尼かいな・・・。
主演女優さんが美人過ぎないのも実話感をそそります。

 途中、主人公が「娘に愛情を抱けない」というような心境を吐露していますが、最終的には娘の生還のために周囲の人々だけならず動画の視聴者まで巻き添えにしているあたり、その愛は業のように深いことが分かります。
 ラストで主人公が仕向けた多大な犠牲のうえに元気になった娘の姿が映りますが、中盤で『哭声/コクソン』のように呪いに取り込まれた幼い娘の狂態をもっともっと見せつけておけば、最後のより一層の後味の悪さとして生きたかもしれません。

"耳なし芳一"モードで防御しようとするも、悉く呪いは貫通し・・・
最期は自らの身を供物に捧げる『エクソシスト』展開へ。

 しかしながら、物語冒頭で視聴者にもっともらしい形で呪いのレクチャーをしながらも最後の最後に巻き添えにしたことを種明かしし、主人公がある意味で”勝ち逃げ”していく幕切れの底意地の悪さはなかなかのインパクトです。
 ホラー作品というものがそもそもからして”他人の恐怖を彼岸に居ながら追体験して楽しむ”というものであり、この結末はそうした我々視聴者の態度を暗に非難しているかのようでもあります…。

"苔のむすまでに 愛し合うはずの二人が
予定調和の中で離ればなれになる
何も出来ないで 別れを見ていた俺は
まるで無力な俺は まるでまるで高木ブーのようじゃないか"


Ⅱ. あとがきだったり

 というわけで今回は最新Netflix独占配信作品『呪詛』でした。
 とにかく”考えるな、感じろ”とでもいうか、薄気味悪さ・不気味さ・残酷さ・陰惨さ・後味の悪さといったホラーの元素を矢継ぎ早に叩き付けた様な一本なので、手っ取り早くホラーに浸るには最適な一本のような気がします。
 密教の隠微な雰囲気とビジュアルは有無を言わさぬ凄みが有り、此方がその文化圏に属していようとなかろうと畏敬の念を禁じえないのはとどのつまり根源的な怖さであり、理詰めのそれとは対極のものです。
 と、ここまで書いて理詰めではないホラーの感想を語る難しさを噛み締めるに至った次第です…。(・_・)
 まぁ、いつも話が連想から横に逸れて長くなっちゃうのでたまにはスパッとということで。
 
 今回はこのへんにて。
 それでは・・・・・・どうぞよしなに。




個人的にもし"ホラー映画のベストは?"と言われたら・・・・・・『悪魔の追跡』か。


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