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VMLに楽曲提供しました & アルバム「Broadcaster」全曲解説

Vace Music Publishmentから10曲入りのアルバム「Broadcaster」をリリースしました。同社運営のミュージックライブラリーVMLで、YouTubeやTV、ラジオ番組用のBGM楽曲として無料で使用できます。

VMLとは

音楽制作会社のVace Music Publishment(VMP)が運営しているミュージックライブラリーサービスです。

同社のサイトの紹介文には

Vace Music Library(以下、VML)は登録料・年会費・音源ダウンロード料など一切不要で著作権管理事業者と包括契約のあるメディアに対して無制限にご利用いただけます。 プロ・アマ問わずYouTubeなどのSNSサービスから、TV番組やラジオなどの放送事業者などの使用は、全て無制限にご利用が可能です。 VML楽曲の著作権は全てJASRACとNextoneで管理されており、原盤権(著作隣接権)は自社管理ですので、様々な用途に安心してお使い頂けます。

VML -Easy to use music-|動画制作者のための安心無料ミュージックライブラリー

とありまして、つまり、楽曲を複数の作家から提供してもらってプールしておき、動画制作者や音効スタッフの方々がここへ音楽を探しにきてどの楽曲も自由に使える、というサービスです。

Audiostockとかのストックサービスとの違いは、ストックサービスは楽曲ごとの買い切り、または定額制なのに対して、VMLは、使用者は完全無料という点です。

VMPさんとの出会い

他の作家さんのnoteでこのライブラリーの話を知り、とりあえずサイトを見てみたら、AudiostockやDTM界隈で楽曲クオリティ高いなと個人的に思っていた人が何人かいたのに気づき、面白そうだな〜と思っていたら作曲家募集のフォームがあったので、試しに自分のポートフォリオページを送ってみました。

そうしたら翌日連絡が来て、契約や条件についてオンライン対面で説明していただけるとのことで、先方の代表の方とお話しさせていただきました。

以前にもこういった音楽制作会社さんとは業務提携契約してご依頼いただいたりしてたものの、楽曲は買い取られて自分は実績として公表できずお金しか入ってこない、作るジャンルに縛りがあってしんどい、という状態になりがちだったんですが、VMPさんは「作家ファーストでやっています」とのことで、

規約の範囲内であれば実績として公開可能、かつ提供楽曲は出せば出すほど資産として積み上がり、こちらへの収益も増えていくなど、運営の考え方にすごく共感できたので、やらせていただくことにしました。

もう1つ、こちらから提供する曲に関しては、

  • リリース形態は「どんなシーンや動画で利用するかのカテゴリ」を決めてアルバムとして10曲で1単位

  • ジャンルはVMPさん保有のリストから自由に選んでOK

  • アルバム内で複数ジャンル跨ってもOK

という形式だったので、音楽ジャンル指定されるのがちょっと苦手で、複数ジャンルを1つの曲や作品に織り交ぜがちな僕にはすごく合っているという部分も、やりたいと思ったポイントでした。

先方の説明も丁寧で、100人以上の作家と提携してるからかなりご多忙だと思うんですが連絡のレスポンスも早くやっていただいて、とても信頼できる会社と感じました。

特に納期やノルマ数などもないので、出来上がり次第提出、審査を受けてリリース、という流れになり、これなら自分のソロ作や個別の依頼案件と時間的にも両立できるし、もしここでボツになった曲が出たらAudiostockへ流すということも出来るから無駄にならないし、今後は1季節にアルバム1枚分(10曲)納品できるようなペースでやっていこうかなと思っています。

作家への収益の話は守秘義務的には言っちゃいけないやつだと思うので、興味のある方はVMPさんのサイトの「ENTRY」というボタンから応募してみるといいと思います。

提供作品「Broadcaster」

そんなこんなで、初めて提供させていただいたのが「Broadcaster」です。

5月の半ばにVMPさんとお話しして、とりあえず1曲出してみたのが5月末、その後残りの9曲を6月中に全部作って7月の頭に提出して契約を交わしました。

カテゴリリストは結構膨大で、何作ろうかなと考えた結果、前からやってみたかったニュースや情報番組(NHKっぽいやつ)を想定したものにしました。

作り始める前の時期に、澤野弘之さんがNHKの番組に提供した楽曲を集めた「NHK WORKS」というアルバムをずっと聴いていて、それがすごくカッコよくて「あ、こういう曲がNHKでいけるなら自分もやりたい!」というのもあり、リファレンスにしてみました。

アルバム1枚で1つの動画・番組カテゴリを想定して作る、ということだったので、あるカテゴリの中の色々なシーンやパターンを網羅したバンドル作品にしようかなと考えて、自分でnotionに発注リスト的なものを作り1つずつ手をつけていきました(こんな感じ↓)

「希望」とか「安心」とかっていう言葉は各楽曲が動画カテゴリのどんなシーンを想定してるかを表す、VML側で用意された感情ワードです。サイト内の絞り込み検索の軸にもなります。

ここから先は全10曲、それぞれ紹介していきます。

1, Clarity

アルバムとしてリリースする以上、何かしらリードトラックになるものが欲しいなと思ったのと、BGM的な楽曲だけでなく単体の曲としてある程度展開のあるものも入れると、部分的に数十秒だけ使う、という使われ方にも対応できるかなと思って作ったのがこれです。

朝のニュース番組のテーマソングという想定で、クリーンでポジティブなサウンド、多幸感のあるメロディを意識しました。

2, Today is the day

「ニュース番組ならこういうの絶対必要だろ」と思って作った爽やか四つ打ちアッパー曲です。最初はヘッドラインニュース、という想定でしたが、天気予報とか交通情報でもいけそうだと思ってます。

バックグラウンドで流せるようにコード進行に動きをあまりつけず、メロディーも主張が強すぎず、それでいて繰り返しの再生にも耐えうるものというイメージで作りました。

3, Mind hacker

最近(に限ったことではないが)暗い話が多いので、ダークなものも必要だろうということで作ってみました。

Audiostockでも「犯罪事件の再現VTRのBGM」という曲を以前出したことがあり、それがまあまあお買い上げいただけていたので、同じ系統でもっとサウンド的にパワーアップしたものにしようということで、シンセのリフをキープしながらHeavyocityのEvolveやDamageの音をサンプル的に使って、知能犯、サイバー犯罪系の雰囲気を狙いました。

4, Evidence

ニュース系をやろう、と思った最初から「ニュース番組のBGMとラウンジ系のドラムンベースは相性いいはず」というイメージがあって、比較的最初の頃に作りました。

BGM用途なので、あまり圧が強すぎないように、でもドラムンベースっぽさは出るようにという塩梅を心がけました。

5, Way of life

この辺りからニュースではなく、情報・ドキュメンタリー番組を想定した曲にしていきました。

これは、自然・動物とかの人間の手が入っていない風景や生命というイメージで作った壮大系な曲で、山でも海でもシマウマでもイルカでも一通り合いそうな感じがします。

VMPさんから「まず1曲試しに出してみてください」と言われて出したのがこの曲でもあります。

6, HI-I-ZU-RU

10曲あるなら1曲くらい自分のやりたいこと全開で自分本来の音楽性丸出しなやつを入れたい、という気持ちでアレンジしたエピック曲です。

ただ、映像カテゴリのことはもちろん頭にあって、ドキュメンタリー番組、特に日本の歴史物をイメージして、戦国時代から幕末明治維新あたりまで、歴史の裏にあるドラマとか途方もない時間の流れを感じさせるような、テーマソング曲を想定して作ってみました。

弦楽オーケストラ+クワイヤ+バンドサウンドを使おうということは決めていて、作っていくうちにだんだんテンション上がってきて、最終的にはClarityと並ぶ、裏リードトラックのような存在になりました。

7, Economist

経済系のニュース、ドキュメンタリーを想定したエレクトロ+ロックな曲です。

淡々とでも重く鳴るリズムとシンセのシーケンスリフが、ひたすらお金を稼ぎ続ける永久機関っぽさを想起しつつ、ギターソロや和風パートなど展開を大胆につけて、日本の経済市場感、ビジネスの現場感が出てると思います。

8, Suspect

Economistでギターを弾いたらそのままもう1曲、ロックっぽいのをやりたくなって出来た曲です。

犯罪系2曲は多いかなと思ったんですが、今が割とダークネスな時代だなという感覚もあるので、エレクトロ攻めだったMind Hackerよりは人間感のある雰囲気かつ、マッシブアタックなどのトリップホップ系のダークさを意識してみました。

VMPさんへ提出した時「正直これは雰囲気違いすぎて戻されるかな〜」と思ったんですが、一発OKだったので、あ、結構攻めてもいいんだという感覚を覚えました。

9, HI-I-ZU-RU -Reprise-

ニュースやドキュメンタリー番組で最近はあまり聴かないけど昔はたまにあった、「オープニングとエンディングが同じ曲でアレンジ違い」というのをやってみたくて、リードトラック的なこの曲とClarityをそれぞれアレンジ違いにしてアルバムを締めようと思いました。

6曲目の方にあった、武士の騎馬隊が突っ込んでそうなイントロとアウトロをなくして、アジア感のあるサビメロを頭に持ってきて、琴や尺八も交えて和風バラードに変えてみました。

そしてさらにラストには6曲目になかったエンディングメロディを加えて、終わった時の印象がよりエモい感じになるようにしてみました。

10, Clarity -Reprise-

Clarityも、キーを変えてBPMやリズムのパターンを変えて、アコギのアルペジオを入れて雰囲気を相当変えました。1曲目が朝のオープニングだとしたら、こっちがエンディング、黄昏、という感じで、1曲目にあった躍動感の代わりに落ち着きと静かな希望感が加わり、趣の違う曲になったと思います。

今回の作品はBGM用途のフリーミュージックという立て付けではありますが、クオリティとしては自分のソロアルバムとも遜色ないサウンドで一切の手抜きなく作っています。

そして、この記事を書いてる時点で次のアルバムの準備も進めていてすでに数曲出来てきてますが、まずは、僕の初のVML作品「Broadcaster」全10曲、ぜひ動画や映像作品にご利用ください!


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