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2020年ふりかえり

ここは美術館探訪記事がメインなので、振り返りとして昨年訪れた美術展をまとめてみようと思う。まずは時系列順&ベタ打ちで。トータル15件。外出自粛のご時世でありながらよく出かけたものだと思う。もっとも、美術館はあまり密ではないし、そもそも換気が行き届いているし、喋らず静かに鑑賞できるので、リスクが低い。

岡崎乾二郎展(豊田市美術館 2回め)
石上久美子染色展(瀬戸市美術館)
コートルード美術館展(愛知県美術館)
久門 剛史「らせんの練習」(豊田市美術館)
〈異才 辻晉堂の陶彫「陶芸であらざる」の造形から〉(陶磁美術館)
ルート・ブリュック 「蝶の軌跡」展(岐阜県現代陶芸美術館)
「久門 剛史 − らせんの練習」展(2回め)「コレクション展 VISION Part 1 光について/光をともして」(豊田市美術館)
「ジブリの“大じゃない”博覧会」(愛知県美術館)
鳥居裕太作品展 「永遠と延々」(哲学たいけん村 無我苑)
オラファー・エリアソン展 (東京都現代美術館)
(未掲載)
開館25周年記念コレクション展VISION|DISTANCE いま見える景色(豊田市美術館)
YAYOI・モダンデザイン(陶磁美術館)
富田菜摘 スクラップ・ワールド(ヤマザキマザック美術館)
「初期瀬戸染付の謎-加藤民吉とその時代-」「堀尾一郎 絵の旅・祈りの旅展」(瀬戸市美術館)

基本的に興味の赴くまま、地元でで開催されていてアンテナに引っかかった展覧会、という基準で出かけているので、行き当たりばったり感満載ではあるが、この年は立体造形を見に行くことが多かった。逆に見ればガチな絵画展といったら、愛知県美のコートルード展、無我苑の鳥居裕太作品展ぐらいなものだ。その他は陶芸であったり工芸品であったり、インスタレーションを含む現代アートだったりする。アートが扱う素材は幅広くて、絵画はそのごく一部に過ぎない、という認識が最近強くなってきているし、正直なところを白状すると絵画の鑑賞は難しい…。少なくとも自分にとっては、立体作品のほうが直観的に理解しやすい。

さらにリアルタイムで製作を続けている作家の展覧会がほとんどであるのも興味深い。アートと時代背景は切り離せないものであるから、たとえば、コートルード展ではあえて絵画の中に当時の社会や風俗を見る試みが行われていたし、現代に生きる作家の作品からは、今の時代を(作家というフィルターを通してだけども)反映する何かが含まれている。そこを特に強調した展覧会が豊田市美のコレクション展「VISION|DISTANCE いま見える景色」だった。

思い起こせば、自分が初めて「展覧会をみた」という経験をしたのが、小学校6年制の時の日展だった。あの時は(そして今も)わけがわからないまま、とにかく大量の絵画を見てまわって、とにかく疲れた。日展を見るように勧めてくれたのが当時の担任だったので、あとで日記(※)で「よくわかりませんでした」と正直すぎる記述をしたところ、それでいいのだとコメントをもらったことはよく覚えている。(※ 宿題のひとつで、自由課題として日記を提出しても良いことになっていた。提出すると、先生の簡単なコメントがついて戻ってくる)  

それ以来、絵画を見る時に無理な解釈はせず、ただ絵から受けたイメージを記憶に積み重ねていくようになった。若い頃にちゃんとした絵の見方を習えば、また違う積み重ねもできたかもしれない。でも、確実に言えるのは、これまで見てきた美術作品はずっと意識の底に積み重なり、現在のものの見方や表現に影響しているということ。

最近では、そろそろこれらのストックを意識の表層に引き上げて、言葉による解釈の補助とする時期が来ているのかもしれないと思う。

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