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2021年のアート鑑賞まとめ

あっという間に年末が来て、ツイッターなどでは今年の振り返りがあちこちで見られる。主に印象に残った映画や本、コンサートの話題が多い。ここはアートの話をメインでする場所なので、今年見に行った展覧会のまとめをしてみようと思う。今年はなぜかあまり見に行けず、しかも記録に残しそこねたものもいくつかあるので、それらを時系列順に拾いながらまとめてみる。

  • バンクシー展 天才か反逆者か(旧名古屋ボストン美術館)

  • ジブリの大博覧会~ジブリパーク、開園まであと1年。~(愛知県美術館)

  • 「とける形、ふくらむ瞬間 横山翔平 小林千紗」(瀬戸新世紀工芸館)

  • モンドリアン展 純粋な絵画をもとめて(豊田市美術館)

  • ムーミンコミックス展(名古屋市博物館)

  • 「iichiko DESIGN 」展(清須市はるひ美術館)

  • 明和電機ナンセンスファクトリー(豊川桜ヶ丘ミュージアム)

  • ホー・ツーニェン「百鬼夜行」展(豊田市美術館)

昨年に比べると件数が少なく、やや小粒感がある。また、アートというよりは、デザイン寄りのものが多かった。商業寄りといってもよい。もちろんそれが面白くないかといえば、逆に大変興味深く、いかに効果的に何か(それがお酒であれ映画であれ奇妙なマシーンであれ)の魅力を訴えるか、という視点の作品や展示は勉強にもなった。
純粋に芸術性を追求するタイプの展覧会ももちろんあり、それらは見応えたっぷり。
両者から今年のトップ3を選んでみる。

  1. ホー・ツーニェン「百鬼夜行」展(豊田市美術館)

  2. 「iichiko DESIGN 」展(清須市はるひ美術館)

  3. 「とける形、ふくらむ瞬間 横山翔平 小林千紗」(瀬戸新世紀工芸館)

「百鬼夜行」は質・量ともに圧倒された。しかもタイミングよくあいちトリエンナーレでの出品作「旅館アポリア」も再演されるという。この2つはテーマが共通しているので、ぜひセットで見るべき。

「iichiko DESIGN 」展も量に圧倒された。学生のころから街中で目にしてきた、あの美しい「いいちこ」のポスターがぎっしり展示されているのだ。面白いのは、普通のアート作品とちがい、あくまでも商品の宣伝、プロモーションが目的だというところ。にもかかわらず美しい。販促デザインとはかくあるべし、という哲学さえ感じられてとても感慨深く鑑賞した。

そして「とける形、ふくらむ瞬間 横山翔平 小林千紗」。
これは瀬戸市の新世紀工芸館という、主にガラス工芸の研修と展示を兼ねた施設で開かれた展覧会で、展示スペースはあまり広くない。が、活躍が期待される作家をフィーチャーした展示が毎回行われていて、尖った作品と出会えることが多い。中でもこの「とける形、ふくらむ瞬間」はキレッキレの繊細な作品多数。ちなみに素材はガラスである。炉でガラスを溶かしておき、息を吹き込んだり引き伸ばしたりして形作ったのちにゆっくり冷まして作られた作品だ。丸いボディから細い触覚のようなパーツがいくつも突き出している。触ったら間違いなくポキっといくやくつだ。それらが完全にむき出しで、その気になれば触れるような状態で展示されていた。真夏にもかかわらずゾクゾクしながら鑑賞した。

黒いほうの作品がヤバみ強いです

実は、モンドリアン展の期待値が非常に高かったのだが、なぜか印象が薄くなってしまった。初期の作品から丁寧に画風の変化を追い、最終的にどのようにあの「モンドリアン」が生まれたのかがよくわかる展示だったにもかかわらず、だ。恐らく見に行ったときの精神状態が影響しているのか、あるいはモンドリアンとの相性が良くないのかもしれない。

でもモンドリアンデザインのマグカップはちゃっかり購入して、今いちばんお気に入りのカップとなっている。窓のようで窓ではないカラフルな四角たちは、とてもリズミカルで見ていると楽しい気分になるからね。




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