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祭りだ祭り!

2月の後半で「祭り」といえば、ああ、国府宮のはだか祭りね、となるのが普通だが、ここで取り上げるのは「弦祭」。弦祭(げんまつり)というのは、弦楽器奏者のためのワークショップで、1回完結型というところが面白い。毎回参加してもいいし、1回限りでもよい。1回で完結させるので、曲は短い曲や楽章を取り上げて練習し、仕上げとして通しで録音する。後日、録音した音源を参加者で共有する。詳しくはこちら

1回で完結という気軽さもあり、友人の誘いを受けて参加したのが2月23日。この日の曲目は、エルガー「弦楽セレナーデ」、モーツァルト「ディベルティメントニ長調 K.136」。エルガーはともかくモーツァルトは聞けば「ああ、聞いたことがあるやつ」となるはず。(正直な話、自分の場合は当日、バイオリンパートを聞いて「ああ、アレだったのね!」となった。というか、ビオラパートだけ聞いていても今ひとつわからないというのがね……無知ほど怖いものはない)

当日指導して下さったのは、読売日本交響楽団コントラバス奏者の高山健児氏。楽器を綺麗に鳴らすことを主眼においたご指導で、弓の使い方に関して、今までオーケストラの指揮者から受けた指導とは違う視点からの指導で目からウロコだった。正直なところ、アマオケで練習していると、合奏でタテを合わせるために、場合によってはなるべく弓を使わない、とか、音がガリガリいうくらい撥弦を強くなどと言われることが多かったので、今回のように弓をたっぷり使う奏法を指導していただくと、フラストレーションが溜まらないどころか、弾くのが嬉しくてたまらなくなる。

フラストレーションといえば、今回弾いた曲は、ビオラにとってはあまり難しい曲ではなくて(つまり細かくて早いパッセージがない)、おかげでまわりを聞きながら弾けたと思う。一般的に刻みが続くと走る傾向があるのだけど、今回のビオラパートはあまり走らず、かといって安全運転過ぎず、良い感じに伴奏ができていた感じだった。集まった人たちが合奏慣れしていたのもあるだろうし、周りを聞く余裕がある曲だったのもあるし、たぶん、一番の理由は、低音パートが安定してリズムを刻んでいたからだろうと思う。

今、「低音パート」と書いたけれども、この日集まった低音チームはチェロが3人、コントラバスが何と9人! モーツァルトなのにバスが9人。何ごとでしょうねぇ。高山先生がコントラバス奏者なので、その関係で多いのだとはわかるが、すると、バスの音量が大きすぎてバランスが悪くなるという心配が出てくる。そこは高山先生がよくご存知で、見事な指導でバスの存在感を薄くしてしまった。それでも、実際にはゴゴゴゴゴと鳴っているのが伝わってくるため、バスの上に乗るリズムセクションとしてはかなりやりやすかったのだ。

さて、このワークショップでは、さらに目玉がある。それは「高級弓の使い放題」。このイベントに協力しているのが、杉藤楽弓社。弦楽器をやる人ならきっと知っている、「杉藤の弓」といえば高級品かつ弾きやすさで有名なのだ。もちろんセールス目的はあるだろうが、お試しで色々な価格帯の弓を使えるというのは贅沢な体験だ。良い弓にすると腕前が上がって聞こえる。というのが冗談ではないことが実感できる。弓が言う事を聞いてくれるので、非常に弾きやすく音も良くなるわけだ。「◯◯万円で腕前が買えるのはお買い得だけど、その前に車を買うべき!?」と思った。ただ、自分は今の安い弓――重くてクセはあるけれど、あまり力を入れなくてもゴウゴウ楽器を鳴らせて、楽に飛ばしもできる今の弓がとても気に入っている。

そして、最後に人の縁。毎回メンバーが変わる1回完結のワークショップなのだが、実際は知り合い同士がつるんで参加するケースが多い。初めましてのメンバーが多い場合でも、いっしょに弾いているうちに何となく一体感が生まれてきて音もまとまってくるのが面白い。今回、自分の場合は前に一緒に弾いていた懐かしい人達に会えたし、新しいびおら弾きさんとも知り合えて、とても良かった。当分、特定のアマチュアオーケストラには所属できそうにないのだが、こうやって時折、旧交を温める機会があると、とても嬉しい。人と会うのも楽しければ、久しぶりにモーツァルトを楽しみ、エルガーの優しさに包まれたのも良い体験だった。

当日の成果はこちら。興味を持った方はどうぞポチッと再生してやってください。
まずは、エルガー/弦楽セレナーデ(実はビオラが活躍しまくり)

 お次はみんな大好き(?) モーツァルト

アマチュアの演奏なので、ゆるくお楽しみいただけましたら幸いです。


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