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無我苑と油ヶ淵

今年はお盆期間に休みが取れた。お墓参りもできた。次は生身の身内に対して家族サービスということで、なかなか行くことのなかった西三河地域へドライブ。以前から気になっていた施設をチェックすることができた。

その名も「哲学たいけん村 無我苑」。碧南市にはエメラルドホールという素敵な文化ホールもあるが、こういう渋い施設もあるのだ。敷地内には、研修道場「安吾館」、市民茶室「涛々庵」、ギャラリーにもなる瞑想回廊などの建物があり、すぐ近くの油ヶ淵まで続く「哲学の小道」もある。概要は下記の通り(webページより)。名誉館長は故・梅原猛氏だ。

碧南市哲学たいけん村無我苑は、日本全国に向けて「無我愛」を主唱し、この地に居を構えた宗教思想家翁のご遺族から土地等を碧南市へご寄付いただいたことから建設されました。静かな環境に身をおいて心を落ち着かせ心の安らぎを得るとともに、自らを振り返って考え明日への活力を起こしていただくことを意図しています。

曲がりなりにもお盆休み中だし、ふらりと立ち寄って建物の様子だけでもわかればいいだろうと思っていたところ、幸いなことに開催中の作品展があった。鳥居裕太作品展 「永遠と延々」だ。

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チラシを見ると涼やかでポップなイメージがあるけれど、実際の作品とはズレがある。実物はとてもエルネギッシュ。さまざまなモチーフが細部までびっしり描き込まれており、恐ろしく饒舌で力に溢れた作風だ。昨年、瀬戸市で現代美術展が開催されたが、それと同じ種類のエネルギーを感じる。ライブペインティングも行われるそうだが、これは残念ながら日時が合わなかった。

展示が行われている瞑想回廊には、他に哲学者の名言が飾られていたり、名誉館長の梅原猛氏関連の資料があったりするし、リラクゼーションルーム(現在は使用中止)や瞑想室もあり、心静かな時間を過ごしたい時にふらりと立ち寄りたり場所だ。ただ、ちょっと遠いのが難点。

その後、すぐ近くの油ヶ淵に寄ってみる。愛知県唯一の天然湖沼だが実は江戸時代に矢作川の河口工事にともなって生まれた新しめの湖だという。もともと海抜の低い地域で、たびたび水害に悩まされ治水工事が繰り返されてきたようだ。確かに車から見える景色は一面の水田、時々畑で、真っ平らという印象だった。

真夏の油ヶ淵は釣り人の姿もなくとても静か。油を引いたかのような湖面……というには風があってさざ波がたっていたが、何しろフライパンの上を歩くような暑さだ。気候のいい時期なら池の周りをのんびり散歩もできただろうが、15分ほどで退散。次に来るならカキツバタの季節がいい。

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カキツバタと言えば知立は八橋が有名だけども、なぜか碧南油ヶ淵のほとりにもカキツバタ園がある。何というか二匹目のドジョウ的なアレ。

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