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美術展めぐり

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実際に足を運んで見に行った美術展の感想を書き留めています。
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#ゲルハルト・リヒター

具象と抽象の間で―ゲルハルト・リヒターを見てきた話―

あいち国際芸術祭の熱狂が過ぎ去り、ふと我に返ると、豊田市美術館で気になる展覧会が開かれていた。1932年にドイツで生まれ、東ドイツから西ドイツへ移動して活動を続けてきた画家、ゲルハルト・リヒターの回顧展だ。 中でも話題性が高いのが《ビルケナウ》というアウシュビッツ収容所をテーマにした作品で、リヒターは何十年にもわたってこの作品に取り組み、ようやく2014年に完成した。この作品に関する解説や画像はすでにネット上にいくつも登場しているが、それらを見るだけでは当然ながらピンと来な