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美術展めぐり

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実際に足を運んで見に行った美術展の感想を書き留めています。
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2021年11月の記事一覧

アートは「見る」もの?

仕事に追われる日が続くうち、気がつくと休日も仕事のことを考えるようになっていた。少しずつ脳内マップは仕事関係の領域が中央にせり出し、前々から大事にしていた趣味の領域――たとえば音楽とかアート関係のこととか、好きなジャンルの本のこととかが僻地に追いやられつつある。このままでは近いうちに別人になってしまう気がして、休みの日になると、できるだけ美術館に足を運んでその記録を書きとめておくようにしている。人のために書くというよりは、少し先の自分が読み返して、そんなこともあったなあと思い

闇と光のあわいで跋扈する者達

久しぶりの豊田市美術館は、ホー・ツーニェン「百鬼夜行」展。妖怪をテーマにした独自の映像作品を堪能することができた。 ホー・ツーニェンの作品に接するのは2回目。1回目の出会いは2019年の愛知トリエンナーレ豊田会場だった。豊田市内の旧旅館「喜楽亭」にて「旅館アポリア」が展示(上映)されていたのだ。かつて旅館として使われていた建物まるっと1棟が映像インスタレーションの舞台となっていた。短編映画のような作品の連作で構成され、音と映像の洪水に圧倒されたのを覚えている。あれは「鑑賞」