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今朝の日記

 今朝、起きたら小さなアシダカ軍曹見習いがいて、最近感じていた視線の正体はこいつか〜幻覚じゃなくて良かったなあと思いながら
 クモがマジで無理なので、ここは私の家だから出ていってほしいこと、おまえがいるということは食べるものがあるということなのだろうがそれは私でなんとかする、ここは私の家だ、ということを再三伝え、睨み合っていた
 お椀にすくって外に出そうとするもうまく部屋の角に入ってしまい、ハエたたきの上に乗りなさい、とぐいぐい押し付けるもなかなか乗ってくれず、もう! と押し付けたら外側のカーテンにホロリとこぼれたので、カーテンを後ろからはたいてみごとにクモを追い出した……
 のだけれど、彼はすっかり丸まっていた。
 気が強そうではなかったが弱そうなクモだった。つついても反応はなかった。もしかしたら、こんなくだらないことで私は彼の命を奪ったのかもしれないとかなしくなって、手を合わせ、もし生きていたら……と思って近くに浅皿に水を載せて置いておいた(死んでいても供養の水になればと思い)。

  酒を呑む前、気になって外を見ればクモのすがたはなかった。
 風で飛ぶような場所でもない。鳥が来た気配もなかった……と思う。 もしかしたら鳥に啄まれ遠くへ行ってしまったかもしれないが、生きていたらいいなと思った。
 皿を片付けて、酒瓶を開けた。

 もう来ないでほしい。
 こんな家にいたってまともに食うものなどないのだから、もう二度と来ないでほしい。
 苦手である以上に、おまえに長生きをしてほしかった。
 そう考えるとかなしくてかなしくて、 どうか生きていたらいいと思いながら酒を注ぐ。

  人間とはまこと、かように勝手な生き物なのだから、もっといいところで生きなさい。

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