ウエストエンドとUSツアーと日本で同じミュージカルを見た感想
ロンドン旅行本編はこちら
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多趣味すぎる筆者であるが、その中から一つ趣味を選べ、と言われたらミュージカル鑑賞を選ぶだろう。劇場にいる時間は、日常の世界を忘れることができるからだ。
非日常を体感できるという同じような理由で旅行も好きである。
そんな旅行先でミュージカルを見た。
行先はロンドン、ウエストエンド。
周りからロンドンで見たミュージカルはよかった、と口をそろえて言われたのと、個人的に留学中の様々なストレスから離れたかったのだろう、旅行を決めて速攻で観劇を決めた。
演目をムーランルージュにした理由は、当時2023年夏に日本で公演されることが決まっており、主にチケット代の値上げで話題を呼んでいて気になっていたから、というのとちょうど滞在中に地下鉄のストライキにかち合い、昼公演を探していたところちょうど滞在中のマチネがあったからである。
まず、日本とのチケットの取り方の違いに驚いた。
席が選べるのである。日本でも選べることはあるが、さらに驚いたのは席の位置によって細かく値段設定が違うのである。
前方席中央は特に値段が高く、同じ前方席でもサイドはセンターほど高くはない。
これは後部の座席でも同じである。
これは後述するUSツアーでも同じであった。
昨今日本でも舞台チケットの値上がりが激しいが、S席が多すぎるというのがよく議論になる。
確かに一階の一列目と一階の最後列が値段が同じ、というのはいささか強引ではないだろうか。
特にムーランルージュという作品は個人的な感覚として見切れ席ができやすい演目だと感じている。
それに配慮されて席の値段が決められていたのは、当たり前のことのはずなのだが、日本のチケットのシステムでは無視されがちな問題である。
正直、アメリカでもイギリスでもできるのだから、日本でできない理由はないと思う(システム的にも、技術的にも)。
ウエストエンド
私がロンドンで選んだのは三階席。私が取った時にはあまり席が残っていなかったのもあるが、予算の都合もありH列(8列目)を選んだ。後ろから数えたほうが早いが、特段文句はない席であった。
私は特に初めて見る作品、そして初回は一階席よりも二階、三階席を好む。
理由は日本人女性の平均身長ほどの身長のため、前に背が高い人が来ると視界が妨げられるからである。
傾向として、一階席は座席の傾斜が緩やかである。
だが二階、三階席になると傾斜がそれほど緩やかでなく、前の人の頭が視界にかぶることが少ない。
筆者は特に高所恐怖症というわけでもないので、ある程度の傾斜には耐えられる。このため、二階、三階席のセンターブロックが特に大好きである。
これは人それぞれ好みがあると思うので参考程度にしてほしい。
ロンドンでは舞台の前にテーブルシートがあり、それを囲むように舞台の通路が出ている。
説明が難しいのだが、宝塚大劇場の銀橋をイメージしてもらうとわかりやすいかもしれない。
そこにキャストが立つと顔しか見えない、という席ではあったが、それ以外は見切れもしなかったし快適であった。
ロンドンの劇場は席と席の間隔が狭く、奥の席の観客を通すためにいちいち立たなければいけないのが新鮮だった。
また席までお酒を運んでくれるシステムがあった。(休憩中だけだが)
テーブル席があるように、普通にお酒を飲みながら鑑賞している人たちも見かけた。私は衝撃だった。
もっと衝撃だったのは観客が曲が始まるときや終わるごとに歓声を上げることである。
これも日本ではあまり見ない光景である。
正直その歓声に台詞がかき消されてしまい、英語を聞き取るのに必死な私にとっては大変であった。
また悲劇のシーンではOh…とため息のような声がそこらから聞こえてきた。
これは日本ではなかなかないことのように思う。
日本では舞台鑑賞に声を出さないことが求められる。
私もあまり音を立ててほしくないタイプであるので、その意見には同意できる。
だが歓声を聞いて、舞台上のキャストだけでなく、客席も一緒に舞台を作り上げるのだと思った。感動した。このような形の舞台も私は好きだと思った(日本でよくある客席での会話の声や携帯の着信音などは論外だが)。
ほかに思ったこととすれば、ほとんどのキャストがクイーンズイングリッシュをしゃべる中、クリスチャンがアメリカ出身という設定からアメリカ英語をしゃべっていたことである。
アメリカ英語に慣れている筆者は、クリスチャンの英語だけは聞き取りやすく、そこだけは内容がよく分かったのを覚えている。
結果として私はムーランルージュという作品が大好きになったのである。
結末の悲しさが吹っ飛ぶ明るさ、それをその時の私は求めていたのかもしれない。
曲が耳なじみのある洋楽が多かったのもあるだろう。
見終わってすぐ、ブロードウェイ版のサウンドトラックを探し、聞きまくった。
USツアー
そして帰国したのち、私は余韻に浸っていた。
そして数日後、その時私の留学先に一番近い都市にムーランルージュのUSツアーがやってきていることに気づいたのである。
これは見に行くしかないと決め、チケットを取ることに決めた。
今回は前方席で見ようと考えた。
見切れ席ではあったのだが、下手側8列目の席を手に入れることができた。
105ドルほどの席であったが、隣の席にするだけで150ドルほどに値上げする。推測だが、隣の席になるとまだ見切れが解消されるのであろう。
ちなみに見切れは下手側のバルコニーのようなセットの上に人がいるのが見えないという状況だった。それはわかっていたことであったので、別に問題はなかった。
ウエストエンドとの観客の反応の差はあまりないだろうと思っていたが、違う点がいくつかあった。
全体的に笑い声が多かったのだ。
ウエストエンドではUSツアーと共通してジョークの部分で笑っていた。
しかしUSツアーのほうでは往年のヒット曲が流れだすところでも笑い声が起こっていた。特に印象的だったのがChandelierの曲が流れ始めたときに笑い声が起こったことである。そこまで笑うシーンではないと思ったのだが、観客的にはヒット曲がここできた、という面白さがあったのかもしれないと推測している。
個人的にはほとんどのキャストがアメリカ英語だったので初回よりも話の内容が分かりやすかった。聞き取るので精一杯なのは変わらなかったが。
以上が三か所で同じミュージカルを見て思った私の感想である。
ムーランルージュという作品に限ったわけではない話が多くなってしまった気がするが、あまり作品に対しての批評が私個人として好きではない、というのと言語化するのが難しいのである。
三回見に行っていることで察してほしい。この作品が大好きだ。
見に行って誰もが気分が上がるミュージカルだと思う。
また各地で見てそれぞれの国のミュージカル鑑賞の姿勢の違い、チケットシステムの違いを肌で感じた。
どの国のスタイルも好きだが、鑑賞姿勢は私は日本のスタイルが自分には合っていると感じる。
だが、一つ日本式で改善してほしいのはチケットの売り方だけである。
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