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シナリオ「Halloween Doll Party」

こんばんは!逢魔時レイです。
せっかくnoteを作ったので、昔作った台本や声劇用のシナリオなどを載せていこうと思います。
いつか全作品アテレコ映像化してYouTubeとかでみんなが自由に遊べる作りにしようと思ってます(いつになるかわからんけど……)

今回上げるのはハロウィン向けに作った2人掛け合いちょっとホラーなファンタジーSSです(ハロウィンに出せよ)
所々演出が入っていますが、ご自身で演出を考えて自由に読んでいただいてかまいません。
※若干セリフ等も昔のものから修正しているところもあります。
所要時間は10分ほど。

もし台本やセリフを使用した動画をYouTubeやTwitterにアップする際はお声がけいただけると助かります🙇‍♀️
スペースや配信等では特に許可なく使用していただいて大丈夫です👌

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【あらすじ】
ビビりな少年が肝試しのため訪れたお屋敷には、謎の少女が住んでいた。
一晩だけの“ハロウィンパーティー ”に付き合えば無事に帰れると言うが……?

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【登場人物】

♀)謎の少女
♂)ビビりな少年
(ナレーションはNマーク表記)

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♀)今年もまた、友達できるといいな……

N♂)毎年ハロウィンの時期になると、俺の住む街ではどこからともなくとある噂が流れ始める。
街外れに佇む古いお屋敷。
今は誰も住んでいないらしく、普段は人を寄せ付けない雰囲気を漂わせている。
それなのに、
ハロウィンの時期にはそこから楽し気な音楽が聞こえてくるというのだ。

俺と友達数人は、よせばいいのにそこで肝試しをしようと真夜中の屋敷にわざわざ集まったわけだ。

……が、気が付けば友達の姿が見えない。
俺は……俺は今どこにいる?

♂)おいおいまじかよ……皆どこ行ったんだよ……
やべーよ、こんなの……!
お化けさん出てきてください~って言ってるようなもんじゃん!
♀)ばぁ!
♂)(驚く)
♀)(笑い声)
♀)あはっ!ごめんごめん、驚かせちゃったかな?
♂)…でっ……!
♀)で?
♂)出たーーーー!!!
♀)あはは!
そんなに怖がらないでよ♪
ねぇ、キミ今ひとりなんでしょ?
♂)な、だ……誰だよ、お前……
♀)エヘ、誰だっていいじゃん!
♂)よくねぇよ!
何で急に……どっから出て……
♀)ねー、ちょっと!
さっきから聞いてたらひどくない?
ここは私の家だよ?
そこに勝手に入ってきて勝手にビビったりしてさ!
♂)うっ……いや、でも!
ここはもう誰も住んでないはずじゃ……
♀)そんなことよりさ私も今ヒトリなの!
だから一緒にパーティーしよ♪
♂)ちょっ、意味わかんないし……何だよパーティーって……
♀)もちろん決まってるじゃん“ハロウィンパーティー ”だよ!

♂)……人、じゃないよな。
♀)そうだよ♪
……って言ったらどうするの?
♂)お、俺に何する気だ?殺すのか?
♀)あはは!キミ怯えすぎ!
……ホントにパーティするだけだよ、一晩中ね!
♂)一晩中?
♀)そう、一晩が私のタイムリミット。
朝が来ればパーティーはおしまい。
そしたら君ともサヨナラ。
♂)よくわかんないけど……
一晩お前に付き合えば、無事に還してくれんだな!?
♀)そういうこと♪
ねぇ!お菓子食べる?
ケーキにクッキーそれにキャンディも!
ここにはなーんでもあるんだよ♪
(お腹が鳴るSE)
♀)あは!なんだ、お腹空いてたんだ!
♂)ち、ちげーし!風の音かなんかだろ!
♀)別に隠さなくてもいいのに。
ホラ、パンプキンパイ!紅茶だってあるんだから♪
♂)……お、お前がどうしてもって言うなら食べてやってもいいぞ!
(お腹が鳴るSE)
♀)ふふ♪
じゃあ、どうしても!
♂)そ、そうか、じゃあ仕方ないな!
せっかくだから俺はこのチョコレートを選ぶぜ!
(食べかける)
あ……そういえば……
俺、友達と一緒にここに来たんだよ。
そのはずがいつの間にか皆いなくなっててさ……
お前、何かしたのか……?
♀)……私ね、ずっと前からここにいるの。
でも周りには誰もいなくてすごく、寂しかった。
♂)おい、俺の話を……
♀)(さえぎるように)だから、寂しくないようにずっと歌ってたの。
誰か気づいてくれますようにって。
……結局誰も気づいてくれなかったけど。
♂)…………
♀)でもね、ハロウィンの時は別!
皆が私の家に遊びに来るの。
まるでお菓子を貰いに来る子供みたいに!
……だから、ほんのイタズラ。
毎年ヒトリだけ、私の話相手になってもらうの。
♂)……それが俺ってわけか。
♀)うん!
キミの瞳が一番キレイだったから。
♂)瞳!?
♀)この子とお友達になりたいって思ったの。
……ダメかな?
♂)……ま、まぁ、いいんじゃねぇの。
♀)あは♪
ねぇ!こっちにきて!
私のお友達を紹介してあげる!
♂)友達……?っておい!

(シーンチェンジ)

♂)これは……

N♂)古い扉を開けた先には、ずらりと並ぶ様々な人形たち。
俺はその部屋に足を踏み入れた時、どうしようもない不安に襲われた。

♀)この子達、みーんな私のお友達なの!
ねぇ皆、紹介してあげる!新しい私のお友達だよ!

(人形たちの笑い声SE)

N♂)ここにいてはだめだ。
そんな言葉が脳裏をよぎる。
だが、思いに反して俺は体を動かすことができなかった。

♂)この人形たちは…?

♀)みんな、ずっとここにいたいって言ってくれた子達なの。
この子達のためにも私毎日パーティーを開いてるんだ。
寂しくないように、ずっと楽しんでもらえるように。

N♂)それは……つまり……
この人形たちは俺と同じような……

♂)う、嘘つき……!
♀)………?
♂)朝が来ればパーティーはおしまいなんじゃないのか?
それに、俺も無事に還してくれるんだろ!
♀)嘘なんか言ってないよ!
ここにいる子達は自分から
ここに残ってくれたんだもん!
♂)でも……ッそんなのおかしいだろ……!
ここにいるやつら、元は俺と……!
♀)キミだって!
ずっとここにいたいって思うはずだよ!
ここはずっとハロウィン。
お菓子だって沢山あるもん。
朝は皆で眠って、夜になれば楽しい音楽も流れて……
♂)(被せ気味)俺は……俺は人形みたいに眠ってるなんてごめんだ!!
(走り去るSE)

♀)……待って!!
私は、私は……!

(シーンチェンジ)

N♂)俺は逃げた……
自分がどこを走っているかもわからなかった。
あいつは……本当にただ寂しかっただけかもしれない。
だけど……

♂)はぁ……はぁっ…………
くそっ……どこだよここ……!

N♂)俺はいつの間にか地下へと迷い込んでいたようだ。
壁にかかる蝋燭の光を頼りに恐る恐る歩いていた。
すると……

♂)なんだこれ……

N♂)大事そうにガラスケースにしまわれている……

♂)あいつの、人形……?

N♂)まるで本物の少女の様に、まるで眠っている様に横たわる、あの子にそっくりの人形。
俺は何かに誘われるようにガラスの蓋を外し人形に触れた……

♀)だめッッ!!
♂)うわっ……

N♂)俺は驚いた弾みに人形を落としてしまった。
バラバラになった人形と、その場に崩れるそれに似た少女。

♀)ああ…終わってしまう……
ハロウィンが……
私のパーティーが……

N♂)俺が言葉を発する間もなく視界が歪んでいく……

♀)私はただ…………キミと……お友達に…………

(シーンチェンジ)

N♂)気が付けば、俺は屋敷の前に立っていた。
俺を呼ぶ友達の声が聞こえる。
俺は…何をしに来たんだっけ?

……あぁそうだ、肝試しをしに来たんだった。
でも、友達がビビっちゃって結局何もせずにこれから帰るんだ。

さあ帰ろう、と友達に話しかけようとしたとき、
お前、何で泣いてるんだ?
と、友達に言われてから自分が泣いていることに気付いた。

♂)あれ?何で俺……涙なんか…………

N♂)なんとなく切ない気持ちになって
俺はポケットに入っていたチョコレートを食べながら、友達と帰路に就いた……

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エンディング