ニュージーランドのロックダウンが一番効果が高い

先程日本のニュースでロックダウンの効果がないのではないか、というのを見かけた。

たしかにニュージーランドでは入国者に対する隔離システムがあるにも関わらずデルタ株の国内への侵入をゆるしてしまい、感染者もそれなりのペースで広まっている。

ウィルスがなんで入り込んだのか、どうやら8月頭にまで遡るらしいのになんでしばらく放置されたのか、など疑問に思う点はたくさんあるのだが、まずはニュージーランドのコロナ対策についてはっきりさせておかなくてはならない、というくらいにこのニュースが物事を正しく書いていない、というか、もっと言うならタイトルの釣り針の大きさに呆れてしまっている。正直時間がないので動画までは見ていない。

日本の報道があまりにもひどいせいでニュージーランドを擁護しなくてはらないというひどい屈辱を受けたので日本に於かれましてはぜひご滅亡いただければと申し上げたい。

ニュージーランドにおいてコロナウィルスというのは「国境の向こう側からくるもの」となっている。これは初期のロックダウンが様々な傷跡を残しつつもコロナウィルスを退治するという成果を勝ち取ったからだ。そしてその上でニュージーランドのコロナ対策は以下の三本の柱で成立している。

1.隔離施設を含めた徹底的な国境管理
2.日常的な市民による行動追跡アプリへの行動記録
3.市中感染が発覚したときのロックダウン

これらについて軽く書いていこうと思う。

まずは国境管理だ。これはかねてから言うように、国内の外国人が死ぬまで家族と離れ離れになろうが、一時帰国した働き手がビザが切れるまで放置されようが知ったことではなく、永住権か市民権を持ったもののみを入国可能にすることで、国内へのコロナウィルスの侵入を可能な限り防ぐという方策だ。

しかしGoogleの社長は色々すっ飛ばして入り込んだので、これとは別の口もあるようではある。この辺はもっと追求されるべきところではある。

そして入国したものは自主隔離施設(MIQという)に14日間滞在し、そこで何度か検査を受け、問題がなければ国内に入ることが許可される。

この制度を用いることで、「国として把握していないコロナウィルス保持者」はいないことになるが、何故か突然タスマンバブルなどと言い出してオーストラリア人は隔離なして入国できるようにして結局感染者に入り込まれたというわけのわからないこともしているので、この国の国境管理の優先度がいまいちわからない。

次に国民は行動追跡アプリの使用が求められる。これは店舗や駐車場などの入口に貼り付けられたQRコードをアプリで読み込むというものだ。これの問題は国民がめんどくさがってやらないというものだ。

そもそもコロナなどはどこか別世界の問題でしかなくなったニュージーランド人には行動追跡アプリなど国家による監視でしかない。やるモチベーションはなかなか保つことは難しい。

この度のロックダウンでめでたく義務化されたので、結局国家による行動追跡を受け入れざるを得なくなった。

そして、ロックダウンだ。

ロックダウンは「蔓延防止」のためにやる。少なくとも「感染防止」が目的ではない。感染防止はMIQだ。日本のメディアはわからないわけがないと思うが、何故かロックダウンを間違えた解釈で報道したことは日本の利益にもならない。

MIQで入国者の管理をいくら徹底しようが入り込むものは入り込む。PCR検査はある程度の確率で漏れがでるからだし、職員が感染していないとも限らないからだ。

そして、この施設をうまくすり抜けて市中に入り込んだコロナウィルスが他の誰かに感染したら市中感染発覚でロックダウンとなる。

MIQの職員は定期的なPCR検査が義務付けられているので、ここから追跡することができるようになるのだろう。なんにしても市中感染は見つかる。

市中感染が見つかったとき、感染者はその見つかった一人だけ、なのではなく、「すでにたくさんいるであろう感染者の中の一人」が見つかった、ということでしかない。そのため、ロックダウンをしてからしばらくはかなりの勢いで感染者が見つかることになる。

今回のレベル4ロックダウンだろうと、前回のレベル4ロックダウンだろうと、これは同じ展開だ。しばらくの間感染者が見つかるペースが上がり続け、ある時点で頭打ちになり下がっていく。そして政府がこれでいいだろうという数字まで下がったら徐々にロックダウンのレベルを下げていき、最終的に日常に戻る。

これがロックダウンの仕組みだ。そのためロックダウンの効果というのは「今日ロックダウンをしたから数日中には感染者がいなくなります!」ではなく「今日ロックダウンをしたのでしばらくは感染者数が増え続けるが一定期間経てば感染者数が頭打ちから減り始める、十分に減ったらロックダウンを解除します!」という理解が正しいため「ロックダウンも通じないのでは?」というマスコミの書き方に「この記者の方は一般的な文章の読み方が果たしてできるのかな?」と思わざるを得なかった。

そのため、デルタ株であろうと、ロックダウンを開始して2週間位から感染者が減り始めて最終的に0に到達するのであれば、ロックダウンはデルタ株にも有効である、という話に落ち着くだろう。

ではロックダウンがなんで有効だと私も認めざるを得ないのかといえば、コロナウィルスが人と人の間で感染するからだ。感染させたくないなら人と人を会わさなければそれだけでいい。

そんなわけでこんな屈辱的なエントリーを書くハメになったので日本のマスコミにはぜひとも深く反省いただきたいところである。

ただし、ロックダウンという選択は、コロナについてはこれ以上ない正解であることは否定しないが、同時に恐ろしい副作用をもたらすものでもあるということは考えておかなくてはならない。

例えばDVが深刻化するというものだ。ロックダウンになるとどうやら被害者の避難先までなくなるらしい。他にも貧富の差が広がる、体力のないビジネスは潰れてしまう、そもそもとして経済事態が恐ろしく停滞する、といったものだ。

今回のロックダウンでは、結局オークランドと北(ノースランド、ファーノースと言われる地域)とそれ以外でロックダウンのレベルが変わってしまった。しかもノースランドやファーノースではまだ感染者の報告もないのに何故かレベル4の巻き添えを食らう形になってしまった。

これはオークランドの北端にあるワークワースという街で感染者が出たからかもしれないが、私はこれはやり過ぎだと思う。せいぜいノースランドはまだわからなくもないがファーノースまで巻き添えにする理由はないと思うし、だったらワイカトやコロマンデルもレベル4にすべきだ。こちらのほうが経済規模も大きい体。これらの地名がどこかは勝手に調べればいい。

ニュージーランドではこれらの地域はどうやら貧困地域であり、インフラ整備も浸透していないし、割とほっぽらかされる地域でもある。冬になると洪水で道路が遮断されてしまうことはもはや風物詩と言ってもいい。

この訳のわからないニュージーランドの分断についても政府はきちんと説明をしていないので、ノースランド、ファーノースの人々は全く意味がわからないのではないだろうか?

そういうわけでニュージーランドに来ることはおすすめしない。

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