ニュージーランドのコロナ対策は国債を残して惨敗した

2020年くらいのニュージーランドでは強硬なロックダウンによって国民を徹底的に統制することでコロナ感染症の蔓延を防ぐことができ、その後2021年の間は国民から自由を任意に与えたり取り上げたりしながらたまに感染者を発見してはロックダウンを繰り返すことで、まるでコロナなどというものはこの世のどこにもないのではないかというような空気を作っていた。

その後、どういうわけかデルタ株やオミクロン株をうっかりと輸入することで感染が蔓延して手がつけられなくなり、「もはやコロナ感染症はこの国では珍しいものではなくなった」という理由から感染症対策自体をフェードアウトした政府が今のニュージーランドだ。

今でもニュージーランドは世界でも類を見ないコロナ対策に成功した国であるという見方をする人が一体どのくらいいるかはしらないが、現時点での人口あたり感染者数は日本を追い越していると言ったらどれくらいの人が信じるだろうか。

これは何もデタラメを言っているわけではない、グーグルでコロナについて検索すれば国ごとの感染者数が表示される。

ニュージーランドの累計感染者数は131万人と、26%くらいの人が感染し、1421人が死亡しているため全人口の0.3%が死亡している。ニュージーランドの人口は500万人くらいだ。

一方で日本は感染者数が924万人、死亡者数が31125人だ。日本の人口が1.3億人くらいのはずだから、感染者数は7%くらい、死亡者数は0.02%くらいだろうか、人口比だけで見ればオミクロン以降のニュージーランドは日本を遥かに超える大惨事となっている。

しかも、日本は徐々に感染者数や死者数を増やしていった上でのこの状況であるにも関わらず、ニュージーランドはジャシンダ・アーダーン政権が対策を放り投げた時点からの追い上げでこの状況であるため、いかににニュージーランドでの感染が高速に広まっているかがわかるだろう。

よく人口比でニュージーランドで100万人感染した、日本だとこれは1300万人だという使い方をする人がいるが、私はこの使い方にはあまり賛成していない。日本とニュージーランドにオミクロン株を放り込めばニュージーランドでは100万人感染し、日本では10万人感染した、というのが現実だからだ。

だが一方でどのくらいの規模で感染が広まっているかを表現するには有効な手段だと考えている。

今でもニュージーランドではワクチン接種のコマーシャルが流れ続けているが、果たして一体どれだけの人がワクチンを信用しているのかはもはやわからない。

ニュージーランド国民の90%がワクチン接種を2回行い、かなりの割合がブースター摂取をした後に対策をやめてみたら凄まじい勢いで感染が広がっていることに対して政府は一体どういう反応を示しているのか、というともうあまり興味がないようだ。

前回の記事で書いたようにコロナ担当大臣がよくわからないクリス・ヒプキンスから免疫学の専門家であるアイエシャ・ヴァーラル博士に変わったことで対応は多少はマシになるかもしれないが、オタゴ大学で博士号をとった彼女なので今ロックダウンについて後悔しているらしいクリス・ヒプキンスの放った大火災を以下に鎮火するのかが見ものではある。

ニュージーランドの大臣は退任後のインタビューでなにかにつけて後悔を告白しているような気がするがこれは気のせいだろうか。彼はデルタの時のロックダウンはもっと短くてよかったのではないかという後悔を感じているらしい。

また、オミクロンのこの大惨事については何でもっと厳しく行かないのかという話をされたら、これ以上のロックダウンは国民がこれ以上耐えられないという言い方をしている。

なんというか、初回はうまく言ったが二回目はやりすぎてしまい、三回目は「もうお前のためにならねーよ」と言って不意に旅に出る風来坊みたいな発言だ。

国民が耐えられるのかどうかというのは初回のロックダウンの頃から言われており、実際にDVが増加したという問題がある。ならば信号システムだのフェーズが何だのと言った朝令暮改のような制度変更でロックダウン解除をひたすら逃げ続けたことで国民に全く不要なストレスを与え続けたことは一体どう見ているのかといえば長すぎたよねと言っているので完全なブーメランだ。

コロナの間のニュージーランド政府は面白いように決断力を失っていく様を国民に見せつけた。当初のロックダウンからの強気な首相はもはや見る影もなく、移民をいじめているだけの存在に成り下がっていた。

ルールの変更についても事前に「ルールをこう変えようと思っています、正式アナウンスは後で」というようなワンクッションおいて周囲の反応を伺うような行動を取るようになった。

ジャシンダ・アーダーンは頼まれたら嫌とは言えない性格らしいが、自分で判断せよという状況には不慣れだったのだろうか。

クリス・ファーフォイは退任に際してのスピーチはしたが、まだ後悔を告白していないようなのでほっておくことにする、何一つ後悔していない可能性もある。

国民を守ると息巻いてロックダウンを敢行し、デルタ株で二度目のロックダウンをしたときに国民の顔色が自分たちの思ったようなものではなかった、3回目は国民がブチ切れるシナリオが見えたのでより適切な方法でのロックダウンを模索するのではなく、ロックダウン自体をやめてしまったというこの状況についても実はこの政府の性格を如実に表している。

つまり今の政府は全く決定ができないのだ。アクセルを踏むことはしないがなにかのはずみでうっかり踏んづけることはある。その後何故かアクセルからは足を話さなくなり誰もブレーキをふまなくなるという不思議などこかで見たような政府といえばいいだろう。

私はジャシンダ・アーダーンはこの点ではブレるべきではなかったと実は考えている。ロックダウンをすれば私も文句を言っただろうし批判もした、今のニュージーランド政府が大嫌いで何やっても批判の文脈でしか見ないようにしているのだからロックダウンをしようがするまいが文句を言うようなこんなキチガイをきにしても仕方がないだろうと思うのだが、結局オミクロンの侵入を許し、その後ロックダウンをしなかった。

ロックダウンをしなかったことで感染が蔓延し、ワクチンの信用も地に落ちることとなった。もともとワクチンを打とうが打つまいが感染するかどうかはわからないということは言われてはいたが、国民に130万人の感染者という膨大な実例を提示してしまったからだ。

クリス・ヒプキンスは国民のメンタルヘルスがやばいというようなことをいい、ほかからは日常的な疾病になったのでロックダウンはしないというような話を聞いたが、つまりロックダウンをしない決定の理由が統一されていないということでもある。

何にせよ今後はこれまでみたいなロックダウンはできないということが先日発表された。

the Government said it could not rule out the return of lockdowns as a last resort to combat future Covid variants.

https://www.nzherald.co.nz/nz/politics/covid-19-omicron-outbreak-5499-new-cases-18-deaths-government-cant-rule-out-lockdowns-to-combat-future-variants/MAZF7I7VTIWTSQ4HCM5GNHZNAA/

将来的な変異種への対抗についてロックダウンを最終手段とすることはできない、ということを言っている。一方で、国境封鎖やロックダウンが最終手段であることは否定していないというなんともよくわからないことを言っている。

これまでのようなロックダウンは法律にてらすならば、本来だめなことだったと言っているようだ。定量化され、正当化されないならばロックダウンはできないということのようだ。

確かにこれまでのロックダウンはワクチン接種率が90%を超えないなら解除しないと言いながら超えても解除しなかったり、なにかにつけてルールを変えては解除しなかったのでこの国の政府はとんでもない奴らだと思っていたが、確かにとんでもないやつだった。

ぜひ記者たちには「つまり政府は不適切な方法でロックダウンをしていたということか」と厳しく追求してほしかったがしなかったようだ。彼女がそういう一体味で適切な国境封鎖やロックダウンを計画できるかはわからないし、不要と考えているかもしれない。

そういうわけで今後ニュージーランドは日本以上のコロナ大国になることは火を見るよりも明らかなので来る人はそれなりの覚悟を決めたほうがいい。

そういうわけでニュージーランドに来ることはおすすめしない。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?