ニュージーランドでは接触者の定義は政府の一存で決まる

連日新規感染者数が新記録を更新し続けるニュージーランドで、ついに一日の感染者数がほぼ2万人に到達した。

この数字はこれまでに記録したどの数字よりも大きく、人によっては日本の人口との比率で、日本だったら一日で50万人くらい感染したようなものということを言う人もいるが個人的にはこの比較は意味をなさないと思う。

この感染者数の異様な伸びはこれまでひたすらコロナウィルスの感染から逃げに逃げてきたがゆえに国内に免疫がないことによるのか、ワクチンの在庫を何としても使い切りたい政府がでっちあげているのかはわからないが、私の周囲でも感染者が増えてきているため、おそらく本当のことを言っているのだろうと思う。

ニュージーランドでは、感染者のそばにいた人々はClose Contactという扱いを受ける。

感染者のすぐそばにいたから感染している可能性が高い、というものだ。

これまで感染者数がそれほど多くないときはこの基準も非常に厳しく何かにつけてClose Contactにされていたように思う。

オミクロン株を政府がわざわざ輸入したことによって国内でも感染者が一気に広まり、毎日すさまじい勢いで感染者が増えていることをしり目になぜか赤信号のフェーズ3という感染してももういいや、といわんばかりの状況になっており、この中でClose Contactの基準も緩められた。

つまり、今後も感染者が増え続けるということが確約されている。

ジャシンダ・アーダーン首相が一体どういうつもりでこの感染拡大を推進する政策を取り始めたのかは私にはわからないが、ワクチンの在庫がおそらくだぶつくであろうことはわかっていることだけは言っておく。

そのなかでClose Contactの定義も変わった。

これまでそうだった人がそうではなくなった、単なる定義上の話ではなく、なぜか人々の認識もそのように変わった。本当にこの国の人々はよく調教されているといったほうがいいかもしれない。

学校でコロナの感染者が見つかったがクラスメートは政府がそうじゃないといっているのでClose Contactじゃない、という連絡をしてくることもある。

米国では肥満の基準値を上げることで肥満患者を減らすというマジックを行ったことがあるが、この国では、Close Contactの基準を緩めることでコロナ患者を増やすことにするというなんとも不思議なマジックを行っている。

そしてさらに感染者の輸入を促進するために、国境開放も始まった。

つい半年前までは国境を開けるか否かを感染者の動向で決めていたのが、なぜか突然無視を決め込むようになったのがこの国の政府といってもいい。本当に不思議だとしか言いようがない。

と不思議がる人はこの国の素人としか言いようがない。

ジャシンダ・アーダーンにとって最も重要なのは国民が国に対して従順であることだからだ。

今朝新たなるドーン・レイドともいうべきデモ隊の排除が警察によって執り行われた。しかしこれは名目上言論弾圧やデモの排除ではない。

政府側の言い分は「議会前の広場を使えるようにする」とまるでゴミをどけろと言わんばかりの対応だからだ。

政府はついにこのデモ隊の存在まで無視をするようになった。これまではデモ隊のことを認識しているようなそぶりはあったが、意図的に挑発し、無視をするという近代国家として本当にやっていいのかと疑問に思うことをひたすら行って、デモ隊が暴力行為に及ぶことをひたすら待っていた。

その後警官隊を動員して排除に向かいさらなる暴力行為を誘発することで政府は優位な立場を勝ち取ることに成功した。

彼らの言いたいことは一貫して「ワクチンの義務化をやめよ」というものだ。

政府は「欧米かぶれのどうしようもない奴ら」という認識だけを表明して後は無視し続けるという国民に対してあまりにも敬意を書いたこの対応についてウィンストン・ピータースまでが登場したが意味はなかったようだ(彼は一定の支持を取り付けた可能性はあるので次の選挙では復活するかもしれない)。

そんな今日、感染者数がとうとう2万人を超えた。

オミクロン株が侵入してからというものの、ニュージーランドはなぜか人々の自由を取り戻して感染を拡大させる方策を取り続けているのと、先にも言ったように人々にはそもそも免疫がないためにすさまじい勢いで広まることは予想に難くない・・・

と言いたいのだが、なぜワクチン接種しているのにここまですさまじい勢いで感染拡大しているのかは相変わらず政府が説明しない。

症状があればワクチン接種していても検査を受けるようにという遠回しな「ワクチンを打つことは感染を防がない」という白状はしれっとしているが。

このすさまじい勢いでの感染の広がりの中心地はやはりオークランドだ。

他の都市部だけで換算すると一日にせいぜい数千人だからだ。

オークランドだけで感染者の7割近くを負担しているため、感染拡大はオークランドとほかの地域で分ける必要があるが、これには貧困問題も関係してくる。

貧困層は狭い家にひしめき合ってシェアという形で生活しており、家も違法なものに住まざるを得ない。

そのため健康状態もすこぶる悪いということは容易に予想される。

そこから感染が爆発的に広がるなどということは小学生でも予想がつくことだろう。

貧困層が不健康な環境で不健康な生活をしながら家の中でぎゅうぎゅうになって住んでいるのだから感染拡大しないほうがどうかしているといったほうがいい。

これは数字にも如実に表れている。

感染者のおよそ半分がマヌカウ地区にいるからだ。この地区は貧困層が多い。

ワイテマタやオークランドはそれほどでもなく、特にワイテマタのような開発がそれほど進んでいない地域が一番少ない。

この数字を見るだけでも貧困問題や都市計画、人口問題といった様々な問題がオークランドにあることは見ればわかるが、一方で感染者が非常に少ない地域もあり、こちらは人がいないからだ。

そういうわけでニュージーランドに来ることはお勧めしない。

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