ニュージーランドのインフレが止まらない

日本ではデフレが行きつくところまで行きついたたためにスタグフレーションに入ったなどといわれているが、ニュージーランドは一向に止まらないインフレーションに苦しめられている。

ニュージーランド政府がインフレーションをよしとしているのかいないのかは知らないが、ジャシンダ・アーダーン首相がこの国のインフレーションについて話したことを今のところ見たことがないので、どうでもいいと思っている可能性はある。

もしくは最低賃金さえ上げてれば問題ないと考えている可能性もある。

この状況を打開する方法はあるのだろうか。

まずレイバーが与党の座を明け渡さなくてはならない。

今のジャシンダ・アーダーンの支持率は35%まで低下した。おそらく調査会社が調査票を配った人のほとんどがレイバー政党支持者かジャシンダ・アーダーンの政策によって何らかの利益を得ている人なのだろう。


インフレーションについて人々がどのように理解しているかはわからないが、物価が上がる、お金の価値が下がるなどという説明がされているのをよく見かける。

要は店に並ぶ品物についた値段という数字が上がっていく、という現象でとらえている人が多いと思う。

しかし、インフレーションが進んでいくと何が起きるか、ということを知るのに最も適した国がニュージーランドだ。

ニュージーランドのCPIは時と共に上がり方が大きくなっており、昨年末は5.9%上昇という数字をたたき出した。

特に打撃を受けたのが燃料価格で、30%もの上昇を起こしている。

燃料価格はあらゆる方面に影響するため、今後さらなる物価の上昇は止められないだろう。

オーストラリアのCPIは3.5%、UKは5.4%、ユーロ圏では5%、そして米国では7%となっているため、ニュージーランドという国のインフレーションがどのくらいの規模で起きているかがわかるかもしれない。

アメリカほどひどくはないがユーロよりひどいということだ。

ニュージーランドの中央銀行は明かにこのインフレーションを問題視しており、利率を上げ続けているが焼け石に水だ。

インフレーションという状況が一体何を及ぼすのかというと、金持ちはより金持ちになっていき、貧乏人はより貧乏になるということだ。

これは別にデフレでも変わらないが、全体的に縮小していくデフレと比べると、膨れた分を金持ちがより多く手に入れることで貧富の差が開き、上昇する物価についていけない貧乏人の生活はより追い詰められていくという構図だ。

これについてはここでも何回か書いたがインフレというのはとにかく低所得者へのダメージが深刻になっていく。

ちなみにそんなニュージーランドのインフレーションを手助けしているものの一つが政府による最低賃金の上昇だ。

政府は最低賃金を上昇させれば貧富の差が解消すると貧富の差が広がり続ける実態を目の当たりにしながらやめない。

おそらく彼らにとってのニュージーランドと国民にとってのニュージーランドは違う国なのだろうと思うこともある。

特にインフレが加速していくと、人々の受け取る給料が実態として減っていくという問題がある。

最近日本では投資ブームなのだから、インフレの世界では現金は価値が徐々に減っていく、ということはおそらく国民の65%くらいは知っているのではないだろうか。

また、最低賃金を上げられてしまったがゆえに、仕事の量を減らされたことで手に入る金額まで減るというダブルパンチだ。

この問題も毎年のようにマスコミに提示されているが、政府は一向にやめる気がない。

国民統制が大好きなジャシンダ・アーダーン率いるレイバーにすれば、最低賃金を上げれば貧乏人が増える。貧乏人が増えれば政府の言いなりになるしかない人も増えるから万々歳だし、資本主義が大好きなラクソン率いるナショナルにすれば、富豪がより富豪になるインフレが大好きなのだから、彼らがインフレを止めるわけがないと思っており、ここにはある程度の邪推も含まれている。

ただ、経済においてはナショナル政党が与党の時は最低賃金をあまり上げないで雇用を増やす方向で物事を考えるため、こちらのほうが経済政策としては良いだろう。

ナショナルは経済を成長させるために移民も積極的に受け入れるため、国民が仕事を見つけられなくなった時の不満のぶつけ先を増やしてしまうという問題はある。

国民は大して勉強もせず、働き口もないがゆえに移民というハングリーな外国人に仕事を奪われているが、なぜかこの点をみないのはおおらかな国民性だからかもしれない。

昨年までのインフレ率、利率引上げを受けて今後政府がやるのは最低賃金を上げるかどうか、というところだ。

昨年も書いたが、最低賃金を上げるということは貧困層をより貧困に落とし込んでいくというのが現実的な結果だ。ここには今の最低賃金を支払えない雇用者がたくさんいるということでもある。

週に払える給料の予算が1000ドルだとする。

時給20ドルなら50時間人を雇える

時給25時間なら40時間しか人をやとえない

雇用者はこの給料予算を増やすことはできない。物価に伴う売り上げの上昇は翌年に聞いてくる上に、この手の店の顧客もまた貧困層であるために、売上自体は変わらないか時と共に減っていくからだ。

そして毎年加速していくインフレによって、昨年分の利益もすべて吹っ飛ばされてしまうという悪循環が政府主導のもと意図的に行われている。

意図的にというのは政府が最低賃金を法律で設定してしまうということだ。これの効果を計測している人が政府にいるかは知らないし、よしんばいたとしても彼らの助言をジャシンダ・アーダーンが聞き入れるのかという問題もある。

ジャシンダ・アーダーンはどうやらブレーンの言うことをあまり聞かないようだ。

この辺はうわさでしかないのでこれ以上は言わない。

私は自分の勝手な思い込み、印象、邪推といったことをまことしやかに言うが、外から入り込んだ噂については書かないと思っているが書いているかもしれないから油断してはいけない。

ところで今はもはや不可能になったニュージーランドへの移住だが、移住エージェントを使う人がそれなりにいるだろう。

彼らはモデルとして必要な年間予算を提示することがあるが、今のこの激しいインフレの世界ではもはや意味がないか、現地についたらすぐに仕事を探して働くか提示された額の1.5~2倍は確保することをお勧めする。

そういうわけでニュージーランドに来ることはお勧めしない。

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