ニュージーランドの首相が電撃辞任した

ここ10年間でニュージーランドに最も打撃を与えた人間をひとり選べと言われたら誰を選ぶだろうか?

私はダントツでクライストチャーチでモスクを襲撃したオーストラリア人の若者を推薦する。

この若者は何故かオーストラリアでの生きづらさをニュージーランドのムスリムにぶつけるというわけのわからない行動で何十人もの人を殺害してしまいジャシンダ・アーダーンの地位を確立することに一役買ってしまった。

その後ニュージーランドでは銃を買い戻すというキャンペーンをしたものの、このキャンペーンが暴いたことは国内に全く管理されていない銃が凄まじい数流通しており、もはや政府にすら誰が銃器を何丁持っているかはわからないという現実だったが、このあたりはあまり積極的に話さないため、今でもニュージーランドは銃社会ではないという人がそれなりにいるかもしれないが改めて言う、ニュージーランドは無法地帯と行っていいレベルで銃社会だ。

いずれにせよ彼女の政権の極初期に起きたこの事件によて彼女は感動的なスピーチをすることに成功し、多くの人の心を鷲掴みにした。

その後、コロナウィルスが登場し、彼女は「eliminate(撲滅)」を掲げてかなり強烈なロックダウンを実行した。

当初は未知のウィルスであることもあり人々も 緊張感を持って対応にあたった。

初回のロックダウンは効果的に働いてニュージーランドはまるでコロナウィルスなどないような国になったのだが、その後、何故かデルタウィルスやオミクロンなども国内に入り込んだせいで結局世界で最も悲惨な国の一つになってしまった。

このさなかにもロックダウンをするのかしないのかがよくわからない状況になり、首相は人々の顔色をやたらと伺うようになった、彼女は共感力なるものは素晴らしいそうだが、リーダーシップがないということを改めて浮き彫りにした。

結局なぁなぁなママにコロナウィルスに対する対策はよくわからない状況になってしまい、当初の対策で作り上げた膨大な国債の処理などは一体どうなるのかがわからない。

なんでこんな彼女の功績を改めてなぞっているかというと、ついにジャシンダ・アーダーンが辞任するからだ。

それも電撃辞任という突然発表した形になった。次の首相は誰になるかはまだわからないがレイバーの副党首であるロバートソンは立候補しないそうなので、誰か他の人がやるのだろう。

十分な余力がないという理由でやめてしまうのだが、彼女には余力しかなさそうだがどうやら余力はないようだ。

相変わらずこのVOGUEというサイトはジャシンダ・アーダーンを持ち上げてくるのだが、彼女が今後女性が取るべきロールモデルなのだろうかと言うとそのへんはいろんな思想も重なってくるだろうからここでは明言はしないが、出産と産休を前提、つまり身重な体で選挙、しかも首相を目指すという凄まじい重労働をしてしまうということが果たして本当に女性が目指すべき姿なのかは私にはわからないし、そんな彼女を擁立してしまうレイバーも政党が取るべき行動なのかはわからない。

私からはなんでそんな無茶をするのだろうかというものでしかなかった。

だがこんな記事ですら彼女の功績に挙げられたのはクライストチャーチのモスク襲撃後の銃規制強化とコロナのロックダウンだったのだから推して知るべしというところだろう。すべて第一次ジャシンダ政権の初期に行われた政策だ。

大事なことなのでもう一度書くが、ニュージーランドでは銃規制というものはまったくないも同然で、誰でも好きなときに好きなだけ購入することができた。今は簡単には買えなくなっているが、本当に問題なのは政府ですら把握していない銃が今も誰かに保有されているという現実だし、それを明らかにすることはもはやできないという点だ。

銃規制を強化するなんて言うのは別にジャシンダ・アーダーンでなくともできるし、あのような虐殺事件が起きるまで何もしてこなかったという点でニュージランド政府の罪は思い。

そしてコロナに対する英断は「極初期」にのみ行われていたことを認識したほうが良い。最初の頃は法を犯してまでロックダウンをしたことは英断だったが、その後はルールが毎日何回も変更され、人々は今ロックダウンなのかどうなのかもわからないし、いたずらにロックダウンをしても感染は止まらない、挙句に「国民がこれ以上ストレスに耐えられない」という理由でロックダウンをやめてしまい今はコロナは感染するがままになっている。

レイバー政権は前期の選挙でニュージーランドファーストがキングメーカーになったことでバーター取引に応じたようだった。なぜならジャシンダ・アーダーンが産休の間の首相代行がウィンストン・ピータースという自分たちの理想のニュージーランドを作るためなら何なら一旦国を焦土にしても致し方なしというニュージーランドにおいて最も強固な思想を持った男性だったからだ。

首相代行に就任する前も散々彼女は振り回され火消しに奔走する日々を送っていたのは記憶に新しい。

二期目の選挙ではそんなニュージーランドファーストの議席分が何故かごっそりとレイバーに行くことでレイバーは安定過半数を獲得した。この選挙のタイミングはジャシンダ首相によって直前に変更されてしまい、ナショナルは不利な戦いを敷いられてしまった。

選挙日程をずらされるというのは選挙運動の日程もずらさなくてはならないが、直前に変えられてしまえばキャペーンの予定変更も用意ではなくなるからだ。

このときにあまりにも沢山の議席をとったことで懸念を表明するメディアもいくつかあったが、彼らの心配は的中していた。

そんなわけでレイバーが圧勝したものの二期目はコロナの問題も片付き、閣僚のぼんくらぶりも目立つようになり、マスコミもジャシンダ・アーダーンにはそれほど好意的ではなくなっていったように見える。

ニュージーランドの移民制度はこの政権によって凄まじい大打撃を受けてしまい、一体誰が永住権を取れる国になったのかという状態になったが、コロナのロックダウンのさなかにもGoogleの社長ラリー・ペイジが息子の急病に伴う治療名目でニュージーランドに入国しまんまと永住権を取得するなどということも起きた。なんで病気の息子がそんなところにいたのかについては誰もわからない。

今回の電撃辞任で思い出されるのはジョン・キー元首相だ。彼も突然家族との時間を大事にしたいという理由で辞任してしまった。

今はどこかの銀行で役員をしているようだが家族との時間は大事にできているだろうか、また彼は人気があるうちにやめたがジャシンダ・アーダーンは支持率が下がりきってからの辞任なので、彼のような有終の美を飾る感じには終わらないだろう。

この記事を書いているさなかに以下の記事を見つけた。

明らかにいじりまくっている記事なのだが、彼女の本質はどこまでもスピーチの旨さしかないことがよくわかる。

人々の心を掴むことが大変にうまく、それによって支持を獲得するが政治家としての能力はない。人々がこれ以上騙されなくなればもう引っ込むしかない。そんな女性がジャシンダ・アーダーンだったと思う。

この記事によればジャシンダ・アーダーンも余力がないのではなく家族との時間を大事にしたいという理由で辞任するようだ。そういえばクリス・ファーフォイも同じ理由で辞任していた。

政治家としての立場よりも家族との時間を優先するさすがはニュージーランド、というのではなく、こういう理由を出しさえすれば人々は何も言えないという文化があると思ったほうが良いだろう。

クリス・ファーフォイも今はどこかの会社で役員をしているそうだ。

次の首相が誰になるかはわからないが、ここまでジョン・キーのやり方を最悪な感じに踏襲する人が今後現れるのだろうか。

次の選挙は今年の10月にあるようだ。この時期も絶妙にタイミングが良く、5年前からいじめ抜いてきた移民たちが選挙権を手にする直前に設定している。何らかの意図がないなら天然でどうかしていると思うが、選挙が終わったあとくらいからResident VISAを手に入れた現政権の被害者たちがPermanent Resident VISAに移行し、それに伴って選挙権を手に入れるが、レイバーに逆襲する機会は完全に逃すというこの状況がまるでイタチの最後っ屁のように見えるのは私だけだろうか。

ナショナル政権は実は経済政策に長けており、リーマンショックの際もニュージーランドは割と無傷で済んだという話は聞いたことがあるが、同時に貧富の差が開いていくという特徴がある。

そんな貧富の差を少しでも縮めるのがレイバーの役割の一つでもある。そんなポリシーに従って一生懸命ニュージーランドの舵取りを勧めたところ、これまでで最悪なレベルで貧富の差が広がったあとでのナショナル政権樹立となると、ナショナル政権も大変な迷惑を被ることになる。

つまり次期政権がナショナルであれば、彼らは本領を発揮することができず、レイバーになればますます景気が悪くなるというハズレ確定ガチャをニュージーランド国民が引くまであと9ヶ月となったということでもある。

ジャシンダ・アーダーンバンザイなメディアも相変わらずあるのだが、せめて彼女が取り組んだ子供の貧困問題について統計データを弄くることで見かけの上で改善したという話くらいはしても良かったのではないだろうかと悔やまれてならない。

いずれにせよ次期政権が決まったあとこの国の経済がどうなっていくのかは要注目と行っていいだろう。

そういえば今回のジャシンダ・アーダーンの辞任は随分と日本でも報じられたそうだが、その理由もよくわからない。ジョン・キーのときはそこまでじゃなかったのではないだろうか。

そういうわけでニュージーランドに来ることはおすすめしない。

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