ニュージーランドの首相が残した爪痕を改めて確認する

数日前に先々代首相、ジョン・キーのやったことをもろパクリしたかどうかは定かではないが、ジャシンダ・アーダーンが急に辞任を発表した。後任にはクリス・ヒプキンスが首相を務める。

ジャシンダ・アーダーンは良くも悪くも口がうまく人々の心を掴むという技術に長けているものの、実際に政治家として何かを決めるであるとかそういったことはあまり得意ではないように見えている。

つまり彼女が空気を作って周囲が助けるという構図をうまく活用できなくなれば彼女にはもはやなにもできなくなると言ってもいいだろう。

特に悲惨だったのはコロナ対策であり、ForbesのThe most powerful womanという記事にも今も乗っているがときとともに順位は落ちているようだ。

2020年には32位だったが、2022年には40位にランクを下げているのは、ときとともに彼女が力を失っていったのか他の女性が力をつけたのかはわからないが、相対的には力を落としていったことは明らかだろう。

そんな彼女が首相を努めた2017年10月から2023年2月(まだ未来だが)にかけてニュージーランドが一体どうなったのかというのを改めて振り返り、彼女が一体この国をどのようにしていったのかを振り返ってみようと思いたくなったので書いてみることにする。

ここまで書いたがまだ何も調べていないので、彼女がこの国を破壊したのかそれとも発展させたのかはまだわからない。

まず目立っているのは、国債の残高が跳ね上がったという点だ。2017年には52.57(ビリオンUSドル)だった国債が、2023年には138.73(ビリオンUSドル)に跳ね上がる。2017年から2018年には一旦国債残高は2ビリオンUSドル下がっているが、その後毎年20ビリオンUSドル程度国債残高が増え続けている。

ちなみに2023年以降の国債残高は増加ペースは減っていき、2027年位から減るという予測もされているようだ。

https://www.statista.com/statistics/531824/national-debt-of-new-zealand/

これの意味するところはジャシンダ政権ではひたすらバラマキ政策を行ったということであり、次に来るであろうナショナル政権ではバラマキは行わないということかもしれない。

人口増加についてはナショナル政権のころは大体年間1%強の増加率を保っていたが、レイバー政権になってから1%を下回るようになっている。

コロナ対策に伴う国境封鎖や、ビザの遅延に伴って人々がニュージーランドを見限って立ち去っていたためこのあたりは確かにそのとおりだと思う。ようは減らしにかかっていたということでもある。

さて、先にも書いたニュージーランドの国債残高は2倍以上に増えたのだが、政策金利はどうだろうか、コロナ前まではナショナル時代の政策金利1.75%を踏襲していたが、コロナに伴ってゼロ金利政策が発動したのかしばらく0.25%だった、しかし2021年の9月頃から金利が上がり始め今は4.25%まで上がった。

レイバーがバラマキ政策で国債を擦りまくっていたが、政策金利も上がっているので意味がないと批判されていたのはこういうことでもあるが、金利は最終的に政権前後で2倍以上に膨らんだことになる。これが意味するのは家を購入した人々のローンを直撃した可能性があるという点だ。

次に失業率だが、レイバー政権では実は失業率は下がっている。

2020年に一旦上がっているがこれはコロナに伴う影響だろうことは想像に難くないが、ジョン・キー政権初期は失業率が上がっていたが、徐々に下がっていき、この方向はレイバー政権でも踏襲されているように見える。ただし、若者の間のニートの比率は上がっている。

この記事では概観しか見ないので実際にどういうことを意味するかはわからない。

そういうわけで失業率は下がったがホームレスについてはどうだろうか?Orange Skyというサイトでこの辺の調査をしているようだが、5人に一人の割合でホームレス経験があるというショッキングな発表がある。

これが一時的なものか恒久的なものかはわからないが、2018年には41000人、つまり、100人に一人程度だったのが今は20%程度まで上がってしまったということでもある。

ただ実際にホームレスをそんな頻繁に見るかと言うとそうでもないので、地域差があるとか、この数字に何らかの含みがある可能性もあるので日本で言うホームレスと同様の味方をすべきではない可能性もあるが、助けを必要とする人の数は跳ね上がった可能性がある。

次にインフレを見ていくことにする。これはCPIを見ればすぐにわかる。ナショナル政権の頃にCPIは一旦0.4%という本当に大丈夫かという数字まで下がったが、レイバー政権になった途端に2.2%に跳ね上がり、昨年9月には7.2%という異常な数字になった。

ジョン・キー時代にニュージーランドは非常に景気が良かった(そのため彼の支持率も高かった)のはこのCPIが低く抑えられていたということによるのかもしれない。物価は変わらないが年収は上がるのだから人々の生活に余裕が生まれることになる。

これについてはロシア・ウクライナ紛争や利上げも要因に挙げられるかもしれないが、急激なインフレは2021年3月から始まっているので、インフレ率は政権の最初と最後で18倍まで上がったことになる。

次に犯罪率を見よう。最近ニュージーランドの治安が著しく悪くなったということを感じている人は多いと思うが、統計にも如実に現れており、2017年から2019年の間に犯罪率は253.88%上昇というショッキングな状況になっている。

手に入ったデータは2019年までなのだがここから更に2年間でどうなっているか、と言うと、相当増えていることがわかる。

つまり、ニュージーランドは犯罪件数が異常に増えていることはよくわかる。

コロナウィルスについては2022年初頭までは感染をしっかりと抑え込んでいたが、その後急激に感染が広まり今では200万人以上が感染したことになっている。

ここまで見たときにジャシンダ政権がニュージーランドに6年間に渡って君臨した結果どうなったかというと、経済に対して大打撃を加えた挙句にコロナ対策も失敗した、ということがよくわかる。

犯罪率も跳ね上がり、ホームレスの状況も悪化した、政策金利は跳ね上がり国債も倍以上に増やしてしまった。跳ね上がったインフレ率は人々の生活を直撃してしまい、一体何がしたかったのかと思わざるを得ない。

ジャシンダ首相が一生懸命取り組んだ児童の貧困が一体どうなったのか

2021年にちょっとだけ改善したようだが果たしてこれで改善したと言っていい変化なのかは私にはわからない。なぜならいくら貧困率を検索しても子供の貧困ばかりが検索結果に出てしまうからだ。ちなみに統計から除外された本当に深刻な状況の子どもたちがいるらしいことはニュースで報じられている。

こうやっていろいろな数字を見てみたが私の結論としては彼女はニュージーランド経済を破壊し尽くし、治安を悪化させ、国債を増やし政策金利が上がり、と更にひどい状況になるための下準備までしっかり整えたのを見据えてやめていった女性、というようにしか見えないと個人的な感想を述べて終わることにする。

そういうわけでニュージーランドに来ることはおすすめしない。


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