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人生の半分以上追ってる作曲家のライブに行った日記

2022年10月1日、私の大好きな作曲家の澤野弘之氏のライブに行ってきました。
昼夜2公演、それぞれ異なる作品をフィーチャーした本公演『Sawano Hiroyuki LIVE 【emU】2022』。ほぼ毎年開催している『LIVE 【nZk】』と異なり、不定期開催のemUは主に澤野弘之名義のサウンドトラックの楽曲を中心に演奏する公演になっています。普段のライブではあまり聴けないインスト曲を生演奏で聴く貴重な機会なのです。

私にとって澤野弘之という存在がどう特別なのか、恐れ多くもここで少しだけ自分語りをさせてください。思い返せば、人生のだいたい半分ぐらいが澤野弘之の音楽とともにあった気がします。『魔王』の放送当時、麗しい黒髪の大野智の後ろで流れていた荘厳で美しい音楽の響きを、最終回を迎えた後もずっと忘れることができませんでした。そのとき、「そうか、澤野弘之という人が作った曲なんだな」と知りました。そして、アニオタになってたまたま観た青の祓魔師の曲が好きになったときに再会し、ガンダムUC、キルラキル、進撃の巨人という段階を経て、完全に澤野弘之の音楽の虜になっていました。ライブに行くため、田んぼと山しかない田舎から東京へといそいそ赴きました。自分以外だれも澤野弘之を知らないんじゃないかという田舎のコミュニティからやってきた人間にとって、周りに澤野弘之の曲が好きなひとしかいないという環境がどれだけ幸せだったか。物販に並んでいるときに周りから漏れ聞こえてくる会話を聞いているだけでもとにかく楽しかったものです。今では顔見知りも増えて、開演までの待ち時間も楽しく過ごせるようになりました。本当にありがたいことです。学校や職場の知り合い以外の知り合いというのは意外と貴重な存在ですし、初めてライブに行った頃に夢見ていた「澤野弘之が好きな人と澤野弘之の曲の話がしたい」という思いが、今では普通に叶ってしまっているんじゃないかと思うと、感慨深いものがあります。
今や澤野弘之といえば名ヒットメーカーで、自らの手掛ける劇伴以外にも、数多くのプロデュースを行なっています。正直もういろいろなお仕事がありすぎて全て追えないレベルになりつつあるのですが、それでもライブには基本絶対行きます。「追えるときに追う」今はそんなゆるいファンだけど、ゆるい推し方をしているからこそ長くファンをしていられているのかなとも思っています。オタクとして過ごしてきた時間の中で澤野弘之という存在は私にとって支柱のようなもので、それだけ大きな存在なのです。

閑話休題。
今回のライブの話をしましょう。特に印象に残ったことについて語っていきます。(セトリの順番と異なることがあります。ご了承ください。)

DRAGON RISES

まず語るべきは何と言っても開幕早々のDRAGON RISES。BLUE DRAGONと並ぶ医龍の名曲。よく訓練された澤野弘之のファンならそのイントロを聴いただけで昇天ものです。ちなみに私はイントロが聴こえた瞬間耐えきれず顔を覆いました。ストリングスのメロディが入っていく前のドラムもカッコよくて痺れます。加えてベースソロもギターソロもあるので、バンドチームの見せ場がたくさんあるところがこの曲がライブで映える理由なんだと思います。

スーパー今石洋之タイム(斬LLLア生LL,鬼龍G@キLL,PRO//MARE,PROMARETHEME)

なんなの?私の好きなものしかないじゃん。
私は初めて観たキルラキルを親だと思ってついていったらいつのまにかスタジオトリガーが大好きになっていたオタクなのでこれは嬉しかったですね。斬LLLア生LLはBefore my body is dryのメロディが入ったインスト曲です。キルラキルの世界観を表しているかのような、何だかよくわからないいろんな楽器が鳴っているイントロから始まり、一旦落ち着いてストリングスがBefore my のメロディを弾いてるところが個人的に好きなポイントです。鬼龍G@キLLは本編で鬼龍院皐月が出てくる時によく流れていたテーマですね。今回は後半のより治安が悪そうなロックの部分が演奏されていました。ギターがギュインギュイン鳴ってるのとか、バスドラの3連符とかものすごくオラついてて最高で、本当に治安の悪そうな音を全身に浴びられて大満足です。キルラキルの2曲共に、欲を言えばホルン(というかブラス系)にもう少し厚みが欲しかったなとは思いますが…
そしてプロメアから2曲。メインテーマのつもりで作曲されたPRO//MAREと、infernoのメロディを持ちほぼメインテーマとして使われていたPROMARETHEME。しかもPROMARETHEMEの方は今回ボーカルつきです。ナイスアレンジですね。いつかキルラキルとプロメアの曲だけで組曲作ってTRIGGER Suiteをやって欲しいなと心から思いました……。

鈴木瑛美子さん

今回初登場のゲストボーカリスト、鈴木瑛美子さんの生歌の歌唱力にただただ圧倒されました。澤野さんがキングダムに参加し始めたのがアニメ4期からだったこともあり楽曲をしっかり追えていなかったのですが、今回生でkIngを聴いてからすっかりハマってしまいました。サビの前に鈴木さんが一歩踏み出してから歌い出すのが歌声の力強さと相まってとても良かったです。また、KABANERIOFTHEIRONFORTRESA も圧巻でした。原曲でボーカルを担当されているEliannaさんの生のパフォーマンスも以前ライブで拝見しており、そちらもとても素晴らしかったのですが、今回はそれに匹敵するレベルでした。どうしてその高さの音が地声で一息で出せてしまうのか本当にわからない。ただただ「すごい」の一言でした。

81DIVER

澤野さんハケて何するのかなと思ったら最高に痺れる一音目が聞こえてきて大興奮です。「最高のバンドメンバーたちの演奏をご覧あれ!!」とでもいうような、澤野さんからバンドチームへのリスペクトを感じる選曲だなと感じました。ここはもうDr.の藤崎誠人さんに目が釘付けになってしまいました。めちゃくちゃカッコよかった……。

昼公演

“Attack on Titan” suite

ətˈæk 0N tάɪtn <WMId>の冒頭のピアノアドリブがすごい好きです。こちらも今回のボーカリストは鈴木瑛美子さん。すでにとてつもない難易度の曲を2曲も歌っているにも関わらずその歌声は衰えることを知らず客席を蹂躙していました。もうこんなの超大型巨人じゃん。やるんだな!?今ここで!!
そしてもう1つ語りたいのは、Before Lights Outを引っ提げて登場したLacoさん。相変わらず歌っているときのスタイルがカッコ良すぎます。Lacoさんのはもうただ歌ってるというより衣装とか歌唱中の身振り手振りも全部含めた「パフォーマンス」なんですよね。セルフプロデュースがうますぎる。歌っているLacoさんを見るとこちらもそれに合わせて体が動いてしまうのはもはや必然なんですよね。

“The Seven Deadly Sins” suite

今回バイオリンが室屋さん1人だけだったんですけど、1本だけだからこそフィドルっぽい音色のメロディが際立っていて、七つの大罪のケルト音楽っぽさを表現するのにはそれこそが正解だったのかもしれないなと思いました。素人意見で恐縮ですが……。七つの大罪の壮大な音楽は生で聴いてこそだなと改めて感じさせられました。Perfect Timeに関してはすでにいろいろなところで聴いている曲ではあるのですが、emUで聴くPerfect Timeでしか得られない何かがあるのではないかと思います。でもまあ正直言うと立ち上がって手振ったりしたかったです。またLIVE nZkでもやってくださいお願いします。

夜公演

“MOBILE SUITS GUNDAM UNICORN “suite

正直夜公演はこれを聴くために来たと言っても過言ではないです。UCはバンドサウンドとオーケストラが合わさったときのカッコよさを教えてくれた作品だと思っていて、一際強い思い入れがあります。もう組曲に入ってる曲全部大好きです。UNICORN GUNDAMのお馴染みのイントロとMOBILE SUITのエロいベースソロで興奮して、個人的に世界一美しいイントロだと思っているEGOとMOBILE ARMORのストリングスの切なげなメロディで胸が苦しくなって、ON YOUR MARKで泣く。感情がジェットコースター。そしてUC組曲を締めくくるGUNDAM。UCで私が1番大好きな曲です。6/8拍子のリズムで刻まれる力強いドラムが何か物事を前に進ませてくれるような、そんな力強さを感じます。そしてどこまでも宇宙(そら)の彼方へと飛んでいけそうな高揚感のあるサビ。これを演奏する場に居合わせていることがどれだけ幸せか、もうこれ以上語る言葉もありません。またいつかFILM &LIVEと同じぐらいの編成のオケでやって欲しいな……

MOBILE SUIT GUNDAM Hathaway suites

Möbius以外の曲は多分生で聴くのは初めだったんじゃないかと思います。最初Möbiusから始まるの、映画のオープニングっぽくて良かったですよね。閃光のハサウェイの曲はUCに比べるとシンセを多く使用したものが多いので、今回のKOHTAさんのシンセがある編成にはうってつけの選曲だったんじゃないかと思います。そのようなところから楽曲が「近未来」のイメージに固まってしまいそうなものですが、個人的に思い浮かんでくるのはハサウェイが歩くダバオの海岸なんですよね。特にESIRNUSの2:20ぐらいのところとか、どこか東洋のエッセンスを感じるのは私だけでしょうか。なんだかMerry Christmas Mr.Laurenceを初めて聴いたときのことを思い出すなぁとかなんとか聴いている間にぐるぐると考えておりました。やっぱりハサウェイのサントラもすごく良いですよね。

まだまだ語り切れていない曲もあるのですが、そろそろ収集がつかなくなりそうなのでこの辺りにしておきたいと思います。1日中ずっと澤野さんの音楽を聴いて、本当に楽しい時間を過ごせました。現時点でいろんなジャンルの沼に足を突っ込んでいますが、わたしの根幹のジャンルはここなんだなと改めて感じました。

素晴らしい演奏をしてくれたバンドメンバーの皆様、ボーカリストの皆様、そして最高の曲を作り続けてくれた澤野弘之さん、本当にありがとうございました。
もっとすごい編成のコンサートも見てみたいし、澤野さんにはいろんなことをやって欲しいので、これからもゆるりと末永く応援していきたいなと思います。
拙い文章でしたが、ここまで読んでくださった皆様もありがとうございました。
また次のライブでお会いできますように。


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