見出し画像

イメージ香水を作ってもらったら推しが現実に召喚された話【Caligula2ネタバレ有り注意】

 7月某日。公私共にうまくいかないことが続き、メンタルは絶不調。こういうとき、あまり良くないと分かってはいるもののついつい散財してしまいます。そのストレス発散経済まわしの一環で思いついたのが、「絶対公式でフレグランス出ないだろう推しの香水を作ろう」という案でした。そして、選ばれたのは……
『Caligula2』の釣巻鐘太くんでした。


注意!!!ここから先はCaligula2のキャラクターストーリーのネタバレを含みます!!!


 推し活の一環でイメージ香水を作るオタクは意外と少なくなく、推しイメージの香水を提供してくれるサービスは複数存在しています。既存のブランドの香水からイメージに合うものを選んでくれるものや、自社オリジナルの香水を推しのイメージに合わせて調香してくれるものなど、さまざまです。今回利用したScentlyさんは後者のタイプです。推し単体だけでなく、推しCPでも作れるみたいです。

中居くん「(チリンチリン!)オーダー!『私の』釣巻鐘太の香り!」

 Webサイトのフォームに、イメージ香水を作りたいキャラクターの情報を入力していきます。主な設問としては、性別、年齢、誕生日、推しの第一印象、作品の世界観・キャラクターのバックボーンなどについてです。文章で入力する設問は大体2〜3個で、あとは選択形式の質問なので、文章を書くのが苦手という方でも安心してオーダーできます。年齢や性別などについてはかなり細やかなオーダーが可能で、例えば、今回オーダーした釣巻のように、「仮想世界では18歳の高校生だけども現実世界では30歳」というような、複数の姿があるキャラクターの場合にも対応して頂けます。特に面白いなと思った質問は、「大人っぽさ、セクシーさはどのぐらい感じられますか?(0〜5までで選択)」という質問。ちなみに私は4を選択しました。たしかに釣巻鐘太は健全な風紀委員の男子高校生ですし現実での職業もお堅い警察官でしたが、カタルシスエフェクトの目隠しとかスケベすぎるし何故か本編で唯一触手拘束されるし、風紀委員のくせに無自覚に風紀を乱している男なので納得の数字ですね。
 また、普段使いできる香水にするか、推し概念の再現にステータス全振りするかも選択できますし、苦手な香りなどもあらかじめお伝えしておけるのでせっかく届いた香水が地雷だったみたいな悲劇も避けられます。(Scentlyの回し者ではありません。)

 今回私が提出したオーダーシートで、特にこだわりとして挙げていたポイントを紹介します。

・正義感が強く、ルールを守ること・守らせることを重んじている男
・登場人物たちの中では最上級生で、現実の年齢も30歳なので、大人っぽいイメージ。(でも喫煙はしないと思うのでタバコなどのスモーキーな香りはNG)
・風紀委員ということで清廉潔白で隙が無いような第一印象を持たれるが、実際は一人称「俺」だし、意外とぬけているところがあったり、色恋にも人並みに関心があったりして、普通の男の子っぽいところもある。
・最初は優柔不断で頼りないところもあるけれど、過去を乗り越え、自分なりの答えを見つけたことで、優しさと強さを兼ね備えた頼れる存在に成長する。
・毎日きちんと髪を固めているので、整髪料っぽい香りがあるとうれしい。

 だいたいこういったような内容のオーダーシートを提出し、待つこと約3週間。小洒落た小箱に入った推しのイメージ香水が調香師さんからのメッセージカードと一緒に届きます。箱を開けた瞬間からもう若干いい匂いがしてきて飛びそうになりました。

画像1

画像2


香水のレヴュー

トップノート(つけた瞬間〜10分程度の香り):tealeaf, yuzu
 
手首に一吹きして、最初に香ってくるのはシトラスやグリーン系のさわやかな香り。まさしく「18歳男子高校生風紀委員お米大好き体育会系」です。確か釣巻はコーヒー派だったはずなのでティーリーフの香りが選ばれたのは意外だなと思いましたが、この甘過ぎないグリーン系の香りが、毎朝校門で風紀委員の活動をしている釣巻の元気な姿を想起させてくれます。ホームページの制服版の立ち絵印刷して擦ったらこの香りしそう。ゲーム内の表情差分で、口開けてニコって笑ってるのがあると思うんですけど、まさにあの少年のような笑顔の釣巻を象徴しているような香りだなと感じました。

ミドルノート(30分〜2時間ほど香る2番目の香り):muguet, rosemary, matcha
 
吹きつけてしばらくすると、さわやかでありつつも少しビターでハーバルな大人っぽい香りに変わっていきます。調香師さんのメッセージカードによると、私の書いた文章から釣巻の「誠実さ」を汲み取ってくれたらしく、それを花言葉に持つローズマリーのエッセンスを入れてくれたというのです。これには花言葉に過敏に反応してしまうCaligulaのオタクもニッコリ。これは余談なのですが、ローズマリーは古くから魔除けや浄化のために使われてきたハーブで、Rosemary(マリアの薔薇)という名前が表すように聖書にもゆかりのある植物だそうです。釣巻の誕生花のセイヨウヒイラギも邪悪を追い払う神聖な木として聖書で伝えられているので、聖書繋がりの植物同士だし、自分の信条を大事にして戦う釣巻の姿や、風紀委員としての清純なイメージによくマッチしているなと感じました。調香師の方はここまで深く考えてないかもしれないですが、逆に私の拙い文章を元にここまで解像度の高い解釈ができるのは本当にすごいと思います……。もしかして調香師さんもオタクやってました?本とか書いてたりします?

ラストノート(つけてから2時間後ぐらいに現れる香り):musk, seaweed
 ローズマリーのさわやかでほろ苦い香りから、だんだんムスクの甘い芳香に変わっていきます。表では風紀委員として校内の風紀を正す男でありながら、実際は部長が居ないと何も自分で決められない、無自覚に庇護欲をくすぐるスケベな男の香りがします(個人の感想です)。ミドルノートからラストノートに変わっていくこの段階の香りがかなり良くて、大人の男の人がつけている整髪料のような香りがするんです。オーダーシートに記載した、「整髪料」の要素がここで生きてくるんですね。釣巻が実際に身につけているものの香りがあることによって、釣巻が「存在している」という感覚にさらに説得力を持たせてくれて、リアルに釣巻鐘太を感じられました。
 また、Caligula2の本編を終えて現実に帰った後の、ちゃんと過去と向き合って成長した釣巻とも解釈できます。挫折し、行き着いた先のリドゥで帰宅部のメンバーと交わり、共に闘い、トラウマを乗り越えたことによって得たかけがえのない経験を象徴するような、優しく深みのある香りだなと感じました。

 このトップノートからラストノートまでの一連の香りの変化が、私の中の釣巻鐘太のイメージを完全に表現してくれていて、本当に素晴らしかったです。
 香水を吹きつけた肌から立ち昇る香りを嗅ぐ度に、左側にはリドゥで出会った18歳の釣巻鐘太がいて、そして時間が経つとともに反対側に現実に帰った後の30歳の釣巻鐘太が現れはじめ、最終的に両手に釣巻状態になります。溌剌とした張りのある声と、優しく鼓膜を震わす少し枯れた声で両サイドから「部長」と呼ばれて昇天する部長俺くんの存在しない記憶がありありと脳内で再生されましたね。「セクシーなの、キュートなのどっちがすきなの?」って感じですね。選べません、そんなの。俺に選択肢を与えないでください。

 約3000円でこの体験ができます。普段香水を身につけない人でも、部屋にワンプッシュするだけで推しを感じられ、多幸感に包まれます。気に入った香りは再注文もできるので、日常使いしたい人にも安心です。(ただ、10mlのアドマイザーのみの取り扱いで大容量での購入やムエットで香りのお試しなどはできないので、注意してください)。

 推し活の一環として、みなさんも鼻から推しをキメてみませんか?

https://scently.jp

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?