そのちんちんの異常、ちんちんの異常じゃないかもしれないぜ。
ちんちんの話をする。ちんちんの話が好きな人はお楽しみください。症状でググってたどり着いた人はこんなの読んでないで早く病院に行け。
昨日、精神科に行った。俺は精神病だからだ。
ロビーで診察を待っているうちに尿意を催したので、トイレへと向かった。ちんちんを出しておしっこを始めた瞬間、大変なことになった。電撃的だった。どういうわけか、ちんちんがビリッビリに痺れているのだ。まるで長時間正座した後の足のような痺れがちんちんを襲っている。
ちんちんの中でも亀頭が最も痺れが酷く、触るだけでセクシーな声が出そうだった。
ここでセクシーな声を出しては「精神科のトイレで自慰をしているヤバい患者がいるな。まさかナ月さんじゃあるまいな。だとしたら治療の方針を変えるべきだな」と思われてしまうだろう。
俺はセクシーな声を堪えて、ちんちんをよく観察した。パンツがちんちんを締め付けているのではないか。最初はそう思ったが、どれだけまさぐってもそのような様子はない。見た目も、色も形もいつも通りのちんちんだ。ビリビリ痺れている以外は異常はなさそうだ。
ビリビリ痺れながらも尿を出し尽くし、そのままトイレに立ち尽くすわけにもいかないので、とりあえずちんちんをしまった。
痺れは徐々におさまっていき、ロビーで座っているうちに消えた。しかしなんとなく腰〜股間あたりに違和感が残っている気がした。
その後の精神科での診察は完全に上の空であった。今思えば、そこで一応「さっきちんちんが痺れたんですけど」と言ってみるべきだったかもしれない。
ちんちんが痺れる。こんなことは生まれて初めてだったので恐ろしくなった俺は、帰宅後とりあえずGoogleで検索してみた。素人が症状で検索することはよくないとはわかっていても、やらずにはいられない。
「亀頭 痺れ」「陰茎 痺れ」「ちんちん 痺れ」
会員登録しなければ読めない質問サイトと、関係なさそうなサイト。あとはエロサイトばかりがヒットした。クソ。誰だこんなインターネットにしたのは。
「そういえば症状から病院の何科を受ければいいかAIが考えてくれるサイトがあったな」と思い出したので、利用してみた。
残念ながら「陰茎の痺れ」なんて項目はなかったが、「腰回りの痺れ」というような項目があった。ちんちんは腰回りに入るのか。医学的なことはわからないが、腰とセットにしてもいいパーツではある気がする。プラモデルだったら同時に組み立てる部分だろう。
実際に痺れていたのは腰回りで、中でも特に敏感であるちんちんに強い痺れを感じたのではないか。さらにちんちんでも最も敏感な亀頭に最も強い痺れを感じたのではないか。そういう推理は成り立つ気がする。
腰回りの痺れだとすると、「椎間板ヘルニア」の可能性が浮上してきた。
ここからの選択肢は二つ。
・ちんちん自体の異常である可能性があるので、泌尿器科でちんちんを見せる。
・椎間板ヘルニア、あるいはなにかしら神経の異常を疑って、とりあえず整形外科に行ってみる。
ノベルゲームだったらここでセーブしておくのに。現実はそうはいかない。とりあえず片方に行って、違ったらもう片方に行くしかない。
ルート次第では人前でちんちんを出さずにことが終わる可能性がある方、先に整形外科に行ってみることにした。
痺れた翌日である今日。痛みや違和感はすでにほとんど残っていなかったが、それでもやはり念の為整形外科へ行き、先生に「昨日腰から股間、というかちんちんが痺れたんです」と話してみた。
「不安なら一応MRIで見てみましょうか」ということになった。何もないなら何もないで、確認することに意味があるのだ。
MRI室に行き、機械に横たわる。技師のおじさんが「時間がかかって退屈だから音楽をかけるね」と言っていた。気が利くなあと思いながら機械の中で待っていると、陽気なディスコミュージックと共に機械が動き出した。
これだった。MRIがちんちん周辺を透視する無機質な機械音と同時にこれが聞こえてくる。ハローハロー、ミスターモンキー。きっと技師のおじさんの趣味なのだろう。
ディスコミュージックは嫌いではないが、MRIでちんちん周りを透視されながら聞くと随分味わいが変わる。無機質さと陽気さのチグハグ感がシュールで面白くもあり、少し不気味でもあった。
その後も撮影が終わるまで様々なディスコミュージックの名曲が流れ続けた。たしかに退屈はしなかった。
MRIの結果、やはり軽い椎間板ヘルニアであることがわかった。背骨と背骨の間にある椎間板が何かの拍子でニュッとはみ出てきて神経を圧迫することで、体が痺れたりする。そういうやつだ。
重い物を持ったり悪い姿勢で作業したりする他だと、くしゃみなどで急にポンとなることもあると先生が言っていた。
俺の場合はたまたま何かの拍子でニュッとはみ出てしまった椎間板が、たまたまちんちん関係に繋がっている神経を圧迫したということだろう。そんなことあるかよ。
その後はリハビリ室へ連れて行かれ、二種類の治療を受けることになった。体を固定して腰をグイグイ引っ張る装置と、体に電流を流す装置らしい。拷問の説明だとしか思えなかったが、実際に受けてみると良い具合に痛気持ちいものだった。機械に体を引き延ばされるのが気持ちいいとは知らなかった。
しばらくリハビリに通ってくれとのことだったが、正直今は全然痛くないし痺れもないし、お金にも余裕がないのでどうしたものかと思っている。まあまた再発したら怖いので、大人しく数回は通おう。
今はコルセットを巻いて、良い姿勢でこれを書いている。ちんちんにも異常はない。穏やかな、いつも通りのちんちんがここにある。
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