見出し画像

【ウォーハンマーRPG第4版】呪われし道キャンペーン回顧録「ミドンヘイムの灰塵」#2

ウォーハンマーRPG第一のルールは「ディーモンをナメるな」
ウォーハンマーRPG第二のルールは「ディーモンを絶対にナメるな」

 キャンペーン第二回目~三回目である。今回か次回より、冒険外活動を導入した気がする。オプションルールではあるが、キャンペーン前提の遊び方だと、PCの生活がなんとなく感じられて老若男女にオススメです。初期はおおむね買い物と収入、投資で終始していたはず。
 前回、PC一行は神父殺害事件を解決に導いて、シグマー・ヘルデンハンマー(エンパイアの建国者にして主神)が描かれてるらしいイコンも取り返せ、ミドンヘイムのシグマー神殿から大いに信頼を得る。そんなある日、噂を聞きつけたウルリック神殿の神官、ラナルフに呼び出された彼らは、盲目のオドー神父の話を聞かされる。なんでも、彼はケイオスウォーリアー(なんか混沌に身を捧げた強いひとたち)の持つアーティファクトの不吉な夢を見たのだという。その遺物が街の南にあるドラクヴァルトの森にあると確信したんだとか説明され、取り戻すまでの護衛を依頼される。実はミドンヘイムにおけるシグマー教とウルリック教はいざこざがあるみたいなのだが、GMは当時は今より一層設定をぼんやりとしか把握していなかった。

オドー神父の話


 PC達は冒険者らしく金にがめつく、前金を要求してたような気がするが馬車を用意することでごまかした(前回の記事で書いた、貨幣価値の違いを認識し始めてたのもあって、どのくらいあげればいいか分からなくなってた)。シナリオではドラクヴァルトの森までの旅程を描写することをオススメしていたので、ライクランド単発シナリオ集に収録されていた「包囲されし宿」を間に挟むことにした。これは街道沿いの馬車宿を舞台にしたクローズドシナリオなので、旅中に挿入するには設定上ぴったりだった。
 「包囲されし宿」は概ねシナリオ通りに進めた。NPC用の肖像画が無かったため、GMか何枚か描いたとともに、Fvttのビジュアルパワーを利用し、宿の画像を生かす試みもした。宿の地図に、建物を正面から捉えた挿絵があったのだが、その窓に光源を配置し、前景に漏れないように壁機能でマスキングした。結果には満足している。

こんな感じ

 さて、オドー神父と宿に泊まったPC一行はひと時の食事を楽しむ。酒場は多くのNPCがいる。すると、「フランケンシュタインの怪物」に出てきそうな群衆を引き連れた魔狩人がPC達の泊まる宿にやってきて、混沌教徒を突き出さねば宿を焚火にして燃やすぞ、と宿内の客たちに叫ぶ。パーティは盲目であるオドー神父を引き連れているため、ハンディキャップを負っている。初めて回すシナリオだったので、若干無理やり閉じ込めたが、もう少し柔軟に脱出の選択肢を与えるべきだったか。魔狩人が宿泊客の目の前で商人NPCを殺害し、「混沌教徒を探さねば、こうだぞ」と見せつけた後はとにかく、パーティが混沌教徒を探す段になった。PCたちはやたら厩にいた熊を群衆にけしかけて脱出する案を推していた。〈てなづけ〉か何かのテスト欲求し、パーティは檻を開ける…。このテストは無事失敗し、首都アルトドルフのサーカスに輸送中の長旅でご機嫌ナナメなクマさんが、近場の者たちを三〇別し始めた。ちょっとCondemned2を少し思い出す。

 上記のクマとの戦闘で、足の速いルッカスがいの一番に二階を駆け上がり、吹き抜けから弓を引いたり、他のメンバーが扉の施錠やバリケードで時間を稼ごうとしたり、地形をうまく利用してくれたのは嬉しかった。こうしてクマは斃れ、調査の末混沌教徒も全員見つけ出し、魔狩人の前に突き出す。派手なクライマックスを作りたかったので、デモネット・オブ・スラーネッシュ(腕がカニみたいになった、女性型の悪魔。スラーネシュという神の配下。)をシナリオ記載通りの数登場させたら、これがもう超強くてヤバかった。最初のラウンドでドリューが一撃でぶっ倒れた所で異変を感じた。悪魔的猛者牽制の組み合わせがとにかくヤバい。何が「レッサー・ディーモン」だ、レッサーじゃねえよ。
 さすがにサイドシナリオで全滅は避けたかったのでディーモン側はあえて突撃せず、数的優位も使わなかった。今考えれば、運命点で死を免れるのだし、そのまま戦っても良い気もするが。きっと、アカーシャ球体の結びつきが悪かったのだろう。戦闘前、GMはいつでも逃走していいように、ドリューの《第六感》を判定し、何か嫌な予感を感じさせた。それで警戒したのか、パーティは守りやすい屋内に陣取り、外部の様子を見守り、デモネットが複数体現れる。第1ターン、焚火から現れたデモネット3体が魔狩人を囲みミンチにし始める。鎧1しかないので、魔狩人は半壊しているが、分厚い信仰心のために逃げない。パーティたちは恐怖の心理的特徴の影響を受けて、自ら近づくことができなかった。そして、窓際にいたドリューに残りの数体のデモネットが飛び掛かり、彼はあっけなく倒れる。近づいたタイミングでルッカスが〈冷静さ〉テストに失敗し戦意喪失状態を1つ得てしまう。第2ターン、パーティの恐怖は解けず、魔狩人末した分が宿に乗り込んでいく…。こうして、パーティは少しずつ建物内に押し込められていき、GMとしてかなり絶望感を覚えた。デモネットに近づかれ、肝が冷えてしまったルッカスが頭数を増やそうと二階で休むオドー神父を呼ぼうとする場面や、GMが耐久値が0になったクリーチャーは【頑+】ラウンドしか意識を保てないというルールを忘れてたためにドリューが永遠に這いずりながら悪魔と戦った場面とかあったため、このキャンペーンでは特に思い出深い戦闘である。死闘を終えたパーティは致命的負傷のオンパレードで、執念点・運命点ともに減っており、宿で数週間療養する羽目に。シナリオ通りに進めるなら数日で森に向かわないと目的地に隠されたアーティファクトの悪影響でオドー神父は発狂死してしまうのだが、そこは彼に鋼の意思を持ってもらった(あとルッカスはディーモンとの闘いで死んだ魔狩人のピストルを拝借してた)。そのまま発狂してしまうのも今考えてみたら面白そうだが、当時はとにかく神父が死んだからミドンヘイムに引き返すというパーティの決断は絶対に避けたかったし、確実にこの後のダンジョンを探索して重要なアイテムを手に入れてもらいたかったのでそのまま療養は許可した。

 これは完全にGMの設定ミスであるのだが、この冒険でオドー神父は全くの足手まといになりはてた。ミスを語る上で、FVTTの仕様について少し触れねばならない。FVTTのシステムは技能判定や対抗判定を自動で行ってくれてGMとしてはたいへんありがたい代物である。例えばPCが片手用武器を振り回したい場合、正しく設定すればクリック一つで〈近接攻撃:基本武器〉で技能テストを行い、SLをチャットに投稿してくれる。しかし、当時運用していたバージョンはまだローカライゼーション用の基盤が整っておらず、システムの深部をいじらないと〈魔法語〉と〈祈念〉の和訳された技能名を、認識してくれなかった(※1)。このミスのせいで、オドー神父が〈祈念〉を行う時は成長分の修正値が入らず、素の【協調力】でテストをやる羽目になった。当然、パーティの中では旅の途中から真面目に取られなくなり、定番ネタになっていた。物語としては厚い信仰心が仇となり破滅してしまう老信者を通してオールドワールドの諸行無常さをPCに思い知らせる役回りだったのに、信仰する神(シグマー神)にすがり、なんとか振り向いてもらおうとするピエロジジイが勝手に化け物になって死ぬという光景が出来上がってしまった。

※1:奇跡や呪文をクリックすると、キャラクターシート内の技能から一致する技能名(〈魔法語〉、〈魔風交信〉、〈祈念〉)を検索してテストに使用する技能に指定する処理である。2023年9月現在も基本は変わらないが、技能名がi18で指定されているため、日本語ローカライズ用のjsonで日本語技能名を指定するだけで良くなった。

【次回へ続く】

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?