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AIによる自動翻訳の限界

英語教師のはなです!

AIの発達に伴い、スマーフォンの自動翻訳も充実してきました。
中でも、「DeepL」という翻訳アプリは精度が高く、かなりナチュラルに翻訳をしてくれます。方言まで翻訳できるとか!

ネット上の英文はもちろん、テキストであっても写真を撮り読み込めば、あっという間に翻訳してくれます。また、音声機能も充実しており、文章もスムーズに読み上げてくれます。このようなアプリは今後より精度が上がり、間違いなく私たちの生活を豊かにしてくれるでしょう。

言語学習者の目標は人それぞれですが、コミュニケーションツールの一つとして修得を目指す人が多くいます。もちろん、先ほど紹介した翻訳アプリを介し、コミュニケーションをとることもできますが、日常生活や仕事で使うには限界があります。

AI(人工知能)にはできない異文化理解と感情を乗せる表現

「魔女の宅急便」の英語のタイトルをご存じですか?

自動翻訳で「魔女の宅急便」を調べると、“Witch’s Delivery Service”と翻訳されます。
しかし、実際の英語のタイトルは“Kiki’s delivery service”です。

英語版で主人公の名前を使っている理由ですが、魔女は英語で、Witch(ウィッチ)になります。witchは西洋では「魔女狩り」の歴史があった為、邪悪なイメージを持つ人が多いためだと想像できるでしょう。

お母さんが、キキが着る修行用の黒服を繕った描写後のお父さんとの別れのシーンでの台詞では

「どれ、私の小さな魔女を見せておくれ」
"Well, now you certainly look very grown up, my little princess."

ここでもwitchはつかわれず。その代わりにprincessが使われています。

その続きのキキとお父さんがハグするシーンでは、日本語には台詞がないのに対し、キキが

"Mm-hmm. Oh. I love you, dad."

と、日本人の感性にはあまりない台詞が付け加えられていました。

なるほど、欧米らしい!と翻訳の巧さに感銘を受けました。
この翻訳や表現はAIにはできないでしょう。

言葉も違えば文化も違うように、自分と異なったバックグラウンドをもつ人とコミュニケーションをとる際には、さまざまな視点をもって置くことが大切です。

異文化理解や感情を乗せる表現は、AIにとって最も翻訳が難しいことの1つです。自動翻訳に依存しすぎると、ニュアンスや感情が伝わらないため、翻訳の「質」は低下し、ミスコミュニケーションがおきたり、相手を傷つけてしまったりすることもあります。なによりも、感情を乗せるとき(特に愛を伝えるとき)は自分らしさがなくなってしまうのです。

自動翻訳は単なるツールに過ぎないため、特性を理解した上で使いこなしていくことが大切です。そして、何事にもAIに頼るのではなく、自分の感性を大切にしながら、人との生きたコミュニケーションを充実させていきたいです。


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