文部科学省「大学入試のあり方に関する検討会議(第3回)」概要

萩原委員(全国高等学校長協会)
・英語4技能の力を育成する必要性は認めてきており育成に努めている。検定試験の活用を否定しているわけではない。
・私見として、大学入試は大学が責任をもって主体的に実施すべきである。
高等学校で身に付けた英語4技能を評価する大学が、入試において責任をもって実施することが望ましい。
・英語4技能を共通テスト下で実施することが必要であるならば、入試センターが責任をもって実施すべき。

吉田委員(日本私立中学高等学校連合会)
・記述式問題については、本来であればアドミッションポリシーに基づいて各大学が自分たちの大学で
ほしい学生を選ぶべきものである。
・新学習指導要領の開始と同時に大学等が英語4技能試験を導入し、記述式問題についてもしっかりと時間をかけてやっていくという考えに変わりはない。

【質疑応答】(高等学校関係者)
(質問)英語4技能を問うていくことが可能な高校教育の体制になっているのか。
すべての都道府県で十分な支援体制が確立しているのか。
⇒全国が同じような形での英語教育を受けられる状況にはない。[萩原委員]
⇒各学校(レベル)に合った教育をしないといけないため英語4技能を一律にやることは 不可能。[吉田委員]

(質問)記述式についてはどのようにお考えか。
⇒センターが責任をもって実施する試験であったため全校長から特にコメントをしていない。採点などの問題はクリアしていただきたい。[萩原委員]
⇒記述式問題は絶対にこれからの世の中必要だと思う。アドミッションポリシーが大きく影響するので各大学で実施するのが正しいと考える。共通テストと願書だけで試験を済ます大学に4技能や記述式を組み込むことができるか疑問を持っている。[吉田委員]

岡委員(国立大学協会)
・英語4技能は重要であるとの認識に変わりはなく、アドミッション・ポリシーにしたがいこれまでもAOや推薦等、特別選抜において英語民間試験が活用されてきている。仮に個別試験で英語4技能を測るとするならば、特にスピーキングに関して画一的にすべての国立大学の個別一般試験に課すことは、現行の試験期間や受験生の経済的負担等を考慮した場合に非常にハードルが高いと考えている。記述式についてもアドミッション・ポリシーに基づいて個別試験で記述式を課しており国大協の基本方針でも科目を限定せず高度な記述式を課すこととしている方針に変わりはない。

柴田委員(公立大学協会)
・学部を持っている91校に認定試験の利用方法は、あくまでそれぞれの公立大学の判断に従うことを原則として、分離分割方式で入試を実施していることを踏まえ、受験生の混乱を最小限に収めるため共通テストと認定試験の双方の利用が望ましいことを通達(H29.12)。
・英語成績提供システムを4年後には何らかの形で導入し、充実した統一試験等々が実現することを期待。

芝井委員(私立大学連盟)
・英語4技能の重要性と学力の3要素を測定するために記述式問題を導入することは、改革の理念として理解。
・大学の人材育成機能の強化は、高校教育の質の向上、大学入試改革を共に進めていくことが重要。

【質疑応答】(大学関係者)
(質問)英語4技能については,大学の段階でしっかり教育していれば問題ないと考えているのか、それとも、入試の段階でとりたい人材がとれていなかったから新テストに期待したのか、などの問題意識について伺いたい。
⇒アドミッション・ポリシーに応じて各大学で対応している。80大学がネイティブスピーカーを雇用しておりTOEIC等を到達水準にしている大学が45大学と半分を超えている。今の時代に英語が必要であるという認識がある。[岡委員]
⇒プレースメントテストでクラス編成などを行っている。1点刻みではなく段階別評価で、入学者を決めることは画期的な改革だったのではないか。[柴田委員]
⇒個人的な意見も入るが、英語4技能等を操れる国際人を作るエリート教育、その他の大学生に対してどんな教育を私たちが提供したらいいのかというのは難しいかもしれないが、きっちり分けた方がよい。議論するときには頭に置いた方が良い。[芝井委員]

(質問)定員管理の厳格化と関係するが,英語の民間試験,記述式が段階別表示でB2に数万人の受験生が並んだ場合に、入試のテクノロジーとして活用できるのか。段階別評価ではない、1点刻みのテストの方に重きが置かれて評価される方向になる可能性もある。
⇒定員管理については、1点刻みの入試が難しくなってきている中で卒業・進級の評価を厳しくすべきという意見もある。段階別表示を導入するのであれば、受験生の立場に立つ観点も重要。[岡委員]
⇒1点刻みの評価と、段階的な評価の折り合いは難しい。1点刻みではなくても序列は出てきて、そのようなシステムの開発もされているが、社会的な認知が得られていくまで地道な努力が必要。[柴田委員]
⇒日本の高等教育のおかしいことの一つが定員管理の問題。高等教育政策として将来どうするつもりなのかはっきりしてほしいというのが基本的なスタンス。[芝井委員]

(質問)国立大学は中止が決まって英語4技能を適切に評価することが重要であるというというふうに変わったのには理由があったのか。公立大学は成績提供システムが活用されなくなった途端に民間試験を活用する大学が減ったため、何をやったらいいのか子供たちは分からないと思うがいかがか。私立大学は、英語4技能や学力の3要素等の教育が中1から始まっているが、それに合わせた考えは。
⇒以前から英語4技能は重要であるという考えに一貫して変わりはない。
学習指導要領に沿って英語4技能を入学者選抜において適切に評価することは重要だと会長コメントでも申し上げている。[岡委員]
⇒成績提供システムのメリットが大きかった。共通テストに参加していない大学でもシステムを利用している大学もあった。大学によって段階的評価をどう取り組むか、というのがそこまで議論が深まっていなかった。[柴田委員]
⇒本来は基礎学力テスト(高校段階での達成度テスト)をきちんとすべきであった。高校にふさわしい形の学力を担保するということをすると、もう少し自由に入学者を決めることができたと思う。[芝井委員]


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