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文部科学省「大学入試のあり方に関する検討会議」(第13回)議事概要 8月7日(金)

1.大学入試に関するWeb意見募集について
≪文部科学省説明≫

・「あり方に関する検討会議」の検討項目について広く国民から意見を募集することにより、これまでの委員からの意見や外部有識者・団体からのヒアリングでの意見にさらに加えるべき観点がないかなどについて確認し、会議に多様な意見を反映する観点から実施する。1ヵ月程度の余裕をもった募集期間を設定。速やかに発出したい。
・ 資料1-2は、Web 意見募集において、意見の提出を希望する皆様に予め参考にして頂くため、これまで出された意見について、便宜的に項目立てを行って整理した資料。参考となるよう、団体としての意見など意見発表者の立場、属性についても必要に応じ付記している。

≪意見交換≫
・高校生・中学生の保護者も重要なステークホルダー。保護者のフラグが立つような工夫が必要ではないか。(川嶋委員)
・居住地域は聞いておく必要があるのではないか。まとめ方について、方針はあるか。(渡邉委員)
⇒まとめ方は意見が出てきてから考えようと思っていた。意見が多い場合、概要などにするかも含めて考える必要がある。(文部科学省)
・意見は全く自由に書くということか、それとも資料1-2を参考にして書く必要があるか。(芝井委員)
→資料1-2を必ず参考して書いてくれとまではいえない。気持ちとしては参考にしてほしい。(文部科学省)
・保護者属性は必要ではないか。居住地域が分かることの方が良いのではないか。(末富委員)
→再度検討したい。(文部科学省)

2.今後の進め方について
≪益戸委員(副座長)説明≫
・座長、副座長で相談の上、資料2として「今後の進め方」をまとめた。
・新型コロナウイルス感染症の状況、コスト面から今後もWEB会議にて月1~2回程度のペースで議論を継続してはどうか。
・今後、選抜区分ごとの実態調査等の結果を踏まえた議論を行う。次回以降は、実態調査と意見募集の結果を踏まえた議論を行う。集計等が行われた後で会議を行ってはどうか。
・英語4技能の評価、記述式出題のあり方に加え、ウィズコロナ・ポストコロナ時代の大学入試のあり方についても議論を行ってはどうか。
・共通テストについては、そのあり方について議論する。記述式や英語4技能評価のあり方についてはその方向性も踏まえて判断する。例示としては、共通テストのセーフティネットとしての役割など。セーフティネットの意図は、県を越えずに自分の県で受験が可能であるということ。ウィズコロナ時代の非常時にも改めて注目してはどうかという意味。
・各団体から意見発表を行ったが、これまでの議論を踏まえて改めて意見発表してはどうか。来年1月に予定されている第1回共通テスト等の実施状況も踏まえて議論を行う。
・取りまとめに当たり具体的な案に基づき、十分な議論の時間を確保する。
新学習指導要領に対応した令和6年度実施の大学入試に係る予定の通知を、令和3年夏に行うことが必要。ただ、その際もスケジュールありきで結論を出すことはあってはならない。取りまとめに当たっては、令和6 年度実施を目指すもの、更にその先を目指して議論すべき課題などを整理して検討することが必要。

≪意見交換≫

・1月の共通テストのみならず2月の特例追試験も考えないといけないのではないか。また、英語4技能や記述式に関して、組織として撤回せざるを得ず、撤回に至るまでに多くの反対意見がありながら直前の撤回をせざるを得なかったことについて、この会議でも検証作業が行われたため検証結果も最終報告に明記しておく必要がある。(芝井委員)
・今回のコロナの影響で日本の入試の脆弱性が判明した。共通テストが同一日程で全国一斉という事と、国公立大学の分離分割方式も統一した入試となっており、今回円滑に進むかは薄氷を踏む思い。全体的な危機管理体制を考えてコンセンサス取っておくべきではないか。(柴田委員)
・なぜこうなったかの検証をするといってそのままになっている事項、例えば「達成度テスト(基礎レベル)」が「学びの診断テスト」になってしまった経緯など検証を議論する必要がある。(両角委員)
・検討すべき論点は大学入学者選抜実施要項のあり方について。これまで意思決定のプロセスは注目はされてこなかったが大学入試で非常に重要な位置づけであり、何に基づいてどのように決めていったかを詳らかにできるような、透明性を高める議論をしていければ。(末富委員)
・国大協ではすでにWGを設置し議論を進めている。共通テストと個別試験の役割分担や、一般選抜と総合型選抜・学校推薦型選抜の役割分担等について議論を進めている。国大協としては、分離分割方式を今後も維持する方針。(岡委員)
・高等教育と大学入試の関係を議論するかについて「今後の進め方」からは読み取りにくい。また、コロナの影響は今年度の個別入試にも話が及ぶことがある。資料1-1の項目立てを参考に「今後の進め方」を補強するような形で考えてはいかがか。(清水委員)
・プライオリティを付けて、おおよそ何年の何月までにやるということを考える必要はないか。(渡部委員)
・各大学が個別テストを行い、共通テストと役割分担を行うが、英語4技能や記述式の出題を各大学の個別テストで実施することとした場合、それぞれの大学が様々な取組を実施するため、その支援についても、議論を深めてはどうか。(斎木委員)
・大学に出しているアンケート結果も踏まえて議論を進める必要がある。(三島座長)
・第1回共通テスト等の実施状況も踏まえて議論を行う、とは具体的にはどのようなことを議論するイメージなのか。(山本理事長)
⇒共通テストを今後どうしていくのかという議論の際、共通テストにどのような問題があったかとか、どのやり方が良かったという事を確認してからの方が良いのではないか。また、ウィズコロナ・ポストコロナ時代におけるセーフティネットの観点からも議論を進める必要がある。(三島座長)
←実際のテスト問題の議論ではなく、コロナの影響を受けて出願等も含めて色々な問題が起こった場合の検証という意味。(益戸委員)
⇒今年度はコロナの影響で複数の日程をおいた形で試験場の準備などは検討する必要があるかもしれない。(山本理事長)
←試験の内容等ではなく、このような状況の中でどういった形で行われたかが重要。(三島座長)
・論点が多岐にわたっている。スピード感を出すためにも、全員での議論の前に論点ごとに小さなグループで議論するという方法もあるのではないか。(島田委員)
→どうやって論点を検討してくかは改めて整理して提示できれば。(三島座長)
・英語4技能と記述式問題の決定過程の検証は今後も続けて報告書に入れるべき。また、新型コロナの影響が入試のみならず社会全体に影響が及ぶ中で新しい入試の方式を考えなければならない。今後早急に方針をまとめないといけない事項が令和6年度大学入試に向けての考え方。また、共通テストの科目の精選の検討事項については、センター試験は過密のスケジュールで実施しており、「情報I」の扱いをどうするかは共通認識は持っておいた方がいい。最後に、関係団体から意見発表を実施すると記載されている。大学は大規模な意見募集を実施しているが高校側の意見は萩原委員のところで集約するような形で今後の入試の形を議論できればと考える。(川嶋委員)
・大学としてどのように主体性評価を考えていくのかも検討いただけるとありがたい。(萩原委員)
・会議の検討事項に記載がある、「経済的な状況や居住地域、障害の有無等にかかわらず、安心して試験を受けられる配慮」も「今後の進め方」の資料の中に入れてほしい。(小林委員)

3.自由討論

・受験生や保護者に対しての説明責任のあり方は主要な論点となる。また、大学を受験できない潜在的な層のことを考慮すると、特別支援学校の関係者、女子の大学出願率が低い地域の高校の関係者も含めて意見聴取を丁寧にやっていく必要があるのではないか。(末冨委員)
・「主体性」の意味の捉え方が大学側と高校側で異なる認識を持っており多面的な議論を進めている。高校関係者は高校時代の活動状況全体と捉えており、大学関係者は主体的な立場から多様な方々と協働して学ぶということからすると主体性というのはクリエイティビティを持っている人間を発掘する等、限定的に考えていた。共通認識をもっておいた方がいいのではないか。(柴田委員)
・「主体性」について大学と高校の先生方の見方の違いが掴みきれなかったので説明をしていただければありがたい。もう一点は、高校で英語4技能でスピーキングを行っているため入試で行ってほしいということは受け止め難い。高校でやるべきことは高校で証明すべき。現在は大学入試への期待が大きくなりすぎている。(渡部委員)
⇒本来高校でやるべきことをやっていくことが大前提。大学入試は大学が測りたい力を見たいという意味での大学入試。高校で身に付けた力を大学で測りたい部分は試験で確認するということなのではないか。(萩原委員)
←「主体性」の評価に高校の先生が高校時代の活動が制約されてしまうのではないかと警戒感を持っていた。大学としては「主体性」を持って多様な方々と多面的に深めるという、学力の一要素がアドミッションポリシーに掲げた上で評価できればと願っている。(柴田委員)
⇒大学入試に詰め込みすぎている件について、高校教育と大学教育を結び付ける大学入学者選抜は、高校でやるべきこと、大学でやるべきこと、入試でやるべきことを整理しようとして高大接続改革は始まった。その観点の共有は必要。また、「主体性」等については、等が付いており、どう解釈するかは人それぞれ。基本的に大学にどういう態度を持った人を受け入れるかという事であるので、各大学が選抜実施要項で明確にすべき。(川嶋委員)
・9月中旬締切の大学に対する実態調査はエビデンスベースで見直すためのもの。継続実施をしながら検証することが迷走を防ぐうえで大事。また、「主体性」評価にも関わるが、高校生や現場の教員の重要なステークホルダーの意見など十分に反映されてはいない。今後の大学入試のあり方を考える際にも、意思決定の参画のあり方は重要。あくまで受験生が受けるものであり、検証にステークホルダーからの意見を聞くべきではないか。(末富委員)
・一つ目は、高校大学の関係とともに、大学卒業後、それまでの教育を通じて日本がどのような人材を育成するのかという事と関連する。大学に求められている内容は産業界からの影響を受けている。しかし、その内容は大学の実情と異なり、当てはまる部分と当てはまっていない部分もある。最終的にどのような人材を育成するかは色々な立場がある。広い意味での高等教育政策の中で、画一的な目標を作りすぎたのではないか。第7回の会議で発表された新井先生の話では、日本語力の方が問題であると話をされた。どういった人材を育てていくのかは議論しなければならない。二つ目は今年度の入試については、個別試験で追試験の実施要請があり、そこから慌てて議論をし始めた。何とかまとめあげて発表した。時間をかけて議論しないとミスが起こる可能性がある。何が出来て何が出来ないかを分けて考えてほしい。(芝井委員)
・今年度入試をどのように行うかに力を入れており、実態調査まで力が回らないというのが現状。例年とは異なる対応を行っており、アンケートの期日については十分に配慮してほしい。一般選抜、学校推薦型選抜、総合型選抜の割合をどの程度変えていくのか、という質問があった。枠は一応決めているが、一般入試で合格者がどんどん抜けていくため、最初から決め打ちしていても現状は異なることが予想されることを留意いただきたい。また、経団連の方が発表されたように、共通テストを資格試験の位置付けで実施するというのはふさわしくない。アドミッションポリシーによって共通テストを活用する大学と活用しない大学がある。(小林委員)


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