見出し画像

文部科学省「大学入試のあり方に関する検討会議」(第19回)議事概要 12月11日(金)

大学への実態調査の結果に対する質問の回答
・ ①記述式問題をa:共通テストで出題すべきb:個別で充実すべき、の回答割合を、設置主体別、学部規模別にみると、全体的にa<b。公立私立は規模が大きくなるほどaに肯定的。私学は規模が大きくなるにつれbが減る。
・ ②英語のスピーキング・ライティングの評価について、英語4技能評価をアドミッションポリシー(AP)に記載しているか否かで影響がみられるかについて。明確な傾向は見て取れない。
・ ③一般入試において個別学力検査を実施していない大学の割合について。センター試験を課し個別学力検査以外の資料を考慮する選抜区分が国立では32%、後期日程で小論文や面接だと思われる。センター試験も個別学力検査も課さない選抜区分が私立で3.5%あるが実技検査等だと思われる。

1. 整理しておくべき事項について(記述式出題のあり方)
【川嶋副座長説明概要】

・ 実現可能性も念頭において、具体的な方策について提言をいただきたい。
・ (1)意義、役割、問うべき能力、対象科目等の大前提についても意見をいただきたい。私見だが、記述式は教科・科目を問わず各大学のAPにとって適切な科目で推進していく方向が適切である。
・ (2)どこで出題するのか。共通テストでの出題には課題が指摘されている。解決策がいくつか提案されたが、山本理事長の説明では現実的には難しいという意見。総合的に勘案した上で、共通テストで出題することへの意見を伺いたい。
・ (3)個別入試における記述式出題。国公私立で試験の仕組みも異なるため、各大学のAPや事情に応じた対応が求められるのではないか。国公立はより高度な記述式を出すことで改善を図る方向性もある。私立は、効率的な採点、出題の工夫により、出題増に努めるという方向性もあってよいのではないか。一般選抜だけでなく、総合型・学校推薦型選抜での活用も考えられる。委員の意見を伺いたい。
・ (4)記述式問題の出題が困難という意見。支援策として、国・センター・大学等の協働による良問の整理や提供、出題促進の観点からインセンティブの付与、引き続き情報提供を続ける等が考えられる。
・ (5)高校までの教育の充実。新学習指導要領の考え方を徹底的に実施することが必要。思考力、判断力、表現力を一体的に、カリキュラムマネジメントを回して実現する。高大連携プログラムとして大学教員が高校生の書く力を支援する考え方もあるのではないか。好事例があれば普及させてはどうか。高校団体選出委員の意見を伺いたい。
・ (6)大学入学後の教育の充実。実態調査でも、大学入学後の教育を通して書く力を育成する方向が良いという意見。3ポリシーをしっかり位置づけたうえで、連携を強化することも考えられる。

【意見交換概要】
(1)記述式問題の意義、問うべき能力、対象教科等
・ 思考力、判断力、表現力の能力を問うのに最もふさわしい設問形式だろうと考える。小論文やエッセイ等の教科・科目を越えた設問もある。共通テストでは科目区分を明確しなければならない。個別試験と共通テストでは、自ずと性格が変わってこざるを得ない。個別試験は各大学のAPに沿ってどのような資質をみたいかという観点から出題できる、共通テストは各教科の枠内で学習指導要領の達成度を測るという制約の中で実施しなければならないという違いがある。(柴田)
・ 各大学が個別に実施するのであれば大きな問題はない。共通テストになるとパフォーマンステストになり、採点者の訓練、信頼性の確立、信頼度の公表が義務になる。「記述式」の文言だけが踊り、表面的・形式的な議論になりがち。基準の公表が重要。採点者の信頼性、採点の基準を念頭に置いて議論することが建設的。(渡部)
・ 問題の本質は問うべき能力だと考える。内容と同時に、どのように書いてあるかが重要な評価のポイントになるであろう。論じ方、論証の仕方にも重点を置かれた評価をされるのが国語、小論文の記述式。記述式問題で測りたい力は、なかでも論証する力、例えば的確な根拠で考えを述べる力、事実や物事を客観的に説明する力などが問うべき能力と考えられるのではないか。(島田)
・ 国立大学は各大学、学部においてAPに則って何らかの記述式問題を個別試験で出している。今後、出題意図や求める能力を明確にする必要があるとしている。受験生に記述式を課すには必要だと思っている。根拠をもって問いに答える、レポートを作成する等、具体的な内容を高校側に提示することも重要だと考えている。(岡)
・ マーク式問題が思考力、判断力、表現力を一切判定できないというのは現実離れした前提。センター試験も能力をより問うような形で変わってきた。マーク式と記述式が全く異なるというのは行き過ぎ。
共通テストの試行問題に、思考力、判断力、表現力を問うに値しないとコメントしたが、個人的に本当の記述式はバカロレアのようなものだと思っている。短文、条件付きはほとんど穴埋めと同じ。本当に問えるものは小論文、記述式あるいは論述式というべきであり、そこをどう問うのかが思考力、判断力、表現力と深く関わっている。現行の形の共通テストでやろうとすると問うに値しなくなるのではないか。
共通テストの試行問題に対して、明確なイデオロギーや隠れている答えを誘導するようなことが行われていると指摘があった。目指すのであればバカロレアを想定した問うべき能力を問えるような試験を作るべき。(芝井)
・ 思考、判断、表現はカテゴリーとして緩い、問題の大事な論点が消えてしまう。数学もある意味言語教科でもあり、論理的思考の結果を最も単純に表す式を中心とする。島田委員が指摘したものとは異なった記述の力を問うている。教科の特殊事情にも目を向ける必要がある。物理、化学、生物、地学も理科と一括りにできない。理科教員も表現について異なる意見を持っているのではないか。意見が聞ける機会があれば。(清水)
・ 問うべき能力として論証があると述べた。穴埋めでは問えないのではないかという懸念が述べられたが、あれはあれで問うべき力を問おうとしていたのではないかと評価している。例えば、反論はどうあるべきか、論点を捉えた議論となっているかなど短答でも問えるのではないか。(島田)

(2)共通テストにおける記述式出題の実現可能性
・ 本格的な出題を希望しているが現行日程では無理。広い意味で共通テストの枠組みにするならば時期を考えなければならない。国語であれば範囲が終わらないという議論はないので、3年夏休みや2年で論述形式の問題を課すことはできる。CBTやAI、各大学で採点という方法には賛成はできない。大事だというのであれば、本気になって別の時期に小論文をメインとした試験を目指すべきではないか。(芝井)
・ 時間の限られた共通テスト、受験生の多い私大の試験期間で記述力を識別できるのかは難易度が高い。開発の努力は非常に重要。無理に共通テストに導入する必要はないという立場。実現可能性を一番に考えるべき。(末冨)
・ テストは時間内の記述を要求される。生徒の個性が表れやすい。記述式の形式ばかりに囚われるのは建設的ではない。(渡辺)
・共通テストが高校の学びを測定するのであれば現行の1月でないと学習は終わらない。10月頃に試験を行うのは現実的に難しい。何を目指したテストなのか、それに応じて実施時期も考える。(萩原)
・ 共通テストの役割をどうとらえるかが大事。少なくとも受験生のイメージは共通テストと個別試験はセットととらえていると思う。リスクを冒して共通テストで記述式問題をやる必要があるのか。個人的には各大学が独自に実施すべきもの、採点基準も各大学のレベルにあった採点を行い、3ポリシーに合致した学生がその大学で学ぶべき。(牧田)
・ 課題の解決策においてCBTやAIの活用について、継続的に国、センター、大学で研究をしていくことは大事。(岡)

(3)個別入試における記述式出題、(4)国による出題支援措置
・(6)中教審大学分科会において質の保障システム全体の見直しの議論が始まっている。3ポリシーが具体的かつ整合したものになっているか、APに即した選抜になっているか等は非常に重要。各大学に特色や実情があることは理解しており、それを踏まえつつ必要な見直しを行ってはどうか。(益戸)
・私立は効率的な採点、出題の工夫により出題増に努めるべきという指摘について、一般選抜における改善はこの方向に賛成、努力をお願いしたい。(斎木)
・(6)中教審大学分科会において質の保障システム全体の見直しの議論が始まっている。3ポリシーが具体的かつ整合したものになっているか、APに即した選抜になっているか等は非常に重要。各大学に特色や実情があることは理解しており、それを踏まえつつ必要な見直しを行ってはどうか。(益戸)
・私学はAO・推薦が5割を占めており、その中でどう記述式をとらえ合否査定するのかが求められていると思う。私学で一般入試が2回のところは少なく、多いと10回。入試のあり方が異なるので、単純に記述式出題と言われても戸惑いが大きい。構造全体を変えないと私立の一般試験では難しい。(芝井)
・連携をどのように模索するのか、技術的にどうあればよいのか課題に感じている。効果的で低コストな好事例の共有があれば加速して進められるのではないか。記述の力を伸ばすあり方について、高校現場と大学が求めるスキルに乖離を感じる。摺り合わせや指導法の連続性が、一般的な高大接続の形で選考や分野を問わないような共通スキルとして開発できればよいと考える。(末冨)
・国立も作問には苦労している。2019年に大学入試センターが大学の求めに応じて記述式問題等を提供する方式ができないかアンケートとった。条件が合えば利用したいを含め利用希望は6大学、1大学100万円以下であればという結果であり、センターからはこのような状況では提供は困難であると説明を受けた。今後センターから作問のノウハウの提供を広げていく方法もあるだろう。1大学のみで全てを作問することは困難になっており、大学が共同して作問するなど区域で協力しながら行う動きがある。国、センター、大学が作問について模索することは非常に重要。(岡)
・過去問を領域・分野毎に整理したデータベースがあるだけでも便宜になるのではないか。効率的な採点のための問題形式の工夫を考えたが名案が浮かばない。それよりも問いたい力をじっくり考え、それに最も適した方式を用いる。問いたい力に立ち返って考えることが大事。(島田)
・ 連携をどのように模索するのか、技術的にどうあればよいのか課題に感じている。効果的で低コストな好事例の共有があれば加速して進められるのではないか。記述の力を伸ばすあり方について、高校現場と大学が求めるスキルに乖離を感じる。摺り合わせや指導法の連続性が、一般的な高大接続の形で選考や分野を問わないような共通スキルとして開発できればよいと考える。(末冨)
・(3)②背景の補足。入試システムの差が反映されているのではないか。国公立は分離分割方式で受験できるのは最大3つ、合格したら他は無効。私立は受験率がほぼ100%と聞いているが、国公立では後期は受験率が7割程度のため、前後期で出題方式や問う力を変えるシステムがとれている状況もある。(柴田)高校と大学は学ぶ領域・学問が異なる、内容に乖離がある。高校に対して大学で行っていることを伝えていくことは大きな役割を持つ。偏差値を前提としたような形で学問を選ばせる方法は危ない。(芝井)
・記述式は出来ればよいが、私学は受験生が多く合格しても逃げていく厳しい状況がある。採点にかかる教員の負担は想像以上に大きい。(小林)
・オンラインでの授業提供が盛んになっており、時間や場所の制約が無くなるので、先取りして大学の授業を学ぶことも普及するのではないか。(川嶋)
・本学では高大連携科目等履修生をやっている。特色のある試みをモデルとして紹介していただければ。(芝井)
・(3)②背景の補足。入試システムの差が反映されているのではないか。国公立は分離分割方式で受験できるのは最大3つ、合格したら他は無効。私立は受験率がほぼ100%と聞いているが、国公立では後期は受験率が7割程度のため、前後期で出題方式や問う力を変えるシステムがとれている状況もある。(柴田)
・高校と大学は学ぶ領域・学問が異なる、内容に乖離がある。高校に対して大学で行っていることを伝えていくことは大きな役割を持つ。偏差値を前提としたような形で学問を選ばせる方法は危ない。(芝井)
・記述式は出来ればよいが、私学は受験生が多く合格しても逃げていく厳しい状況がある。採点にかかる教員の負担は想像以上に大きい。(小林)
・オンラインでの授業提供が盛んになっており、時間や場所の制約が無くなるので、先取りして大学の授業を学ぶことも普及するのではないか。(川嶋)
・本学では高大連携科目等履修生をやっている。特色のある試みをモデルとして紹介していただければ。(芝井)

(5) 高校までの教育の充実、(6)大学入学後の教育の充実

・ (5)定期考査で文章を書く、丁寧な添削を行う等の取組みの充実は重要。大学入試の改善と並行し、高校の実態を踏まえて必要な施策を行うべき。高大連携プログラムの充実は、広い意味で思考力、判断力、表現力を育成するとともに、大学での学びを具体的にイメージする観点からも重要であり、好事例を普及する考えに賛成。(6)中教審大学分科会において質の保障システム全体の見直しの議論が始まっている。3ポリシーが具体的かつ整合したものになっているか、APに即した選抜になっているか等は非常に重要。各大学に特色や実情があることは理解しており、それを踏まえつつ必要な見直しを行ってはどうか。(益戸)
・ 連携をどのように模索するのか、技術的にどうあればよいのか課題に感じている。効果的で低コストな好事例の共有があれば加速して進められるのではないか。記述の力を伸ばすあり方について、高校現場と大学が求めるスキルに乖離を感じる。摺り合わせや指導法の連続性が、一般的な高大接続の形で選考や分野を問わないような共通スキルとして開発できればよいと考える。(末冨)
・ (6)好事例の1つと言えるかもしれないが、近年ライティングセンターを作り学生の記述力強化に努めている事例もある。多くの大学に普及するとよい。(島田)
・ (5)附属高校間との高大一貫、入学者確保・合格想定の高大接続、全高校対象の高大連携があり、全てが広義の高大連携と呼ばれている。資料は最後の意味、大学の社会的役割として高大連携を捉えようということか。高校と大学は学ぶ領域・学問が異なる、内容に乖離がある。高校に対して大学で行っていることを伝えていくことは大きな役割を持つ。偏差値を前提としたような形で学問を選ばせる方法は危ない。(芝井)
・ 高校だけでなく小中、社会にも貢献すべきと考える。私学では附属との連携や指定校推薦は可能だが、国立は附属校だけにサービスすることはできない。パブリックな存在として高校全体にサービスするという位置づけで行うべきだが、国公私の位置付けは異なるので出来る限りの支援をすればよいと考える。大学で求める研究力と今後高校で求められている探究活動は融合性があるので、論述する力をしっかりと指導していただければ、大学の教育・研究にもメリットがある。win-winで考えていくべき。(川嶋)
・ SGHやSSHを抱え込む国立大学もある。私立も指定校推薦の対象となる高校だけを高大連携の対象にする大学がある一方で全て高校生を対象としたい大学もある。(芝井)
・ 高校生の現状は大きく3つにわかれる。①大学進学に耐えうる、②大学に行く気なし、③大学に行けるかどうかわからない層。③は十分な学力がないまま進学し、社会に出た際に大卒まで達していない学生がいる。入試制度にも関わる問題ではないか。まずはDPをクリアした学生を卒業させる、そのために教育をしてほしい、入学するのはそれに耐えうるだけの学生だけということがまず大事なのではないか。高校までの教育を何とかしてくれと言われてもそういう現状もあるので難しいのではないか。(牧田)
・ 山口大学でも様々な活動を行っている。プレゼンやポスターセッションを行う力が必要なプログラムもあり、記述力も養われるのではないか。大学生から高校生に大学とはどのようなところか話しており、高校生の教育として重要と考えている。入学後はアクティブラーニングやPBIなど自ら考え行動しなければならない、大学教育として更に充実させる方向性は間違っていない。地域を越えてよい人材を育成するために努力している。(岡)
・ (5)高校に求めている力はどういう力なのか。大学で学ぶ力の付いていない子も大学がとってくれれば進学している実態。高校生活だけで精一杯で大学が開催しているセミナーに取り組む余力がない子供もいる。小・中・高それぞれの内容を理解しているのは7・5・3割と言われており3割が進学する分には問題ないが、6割が進学しているためグレーゾーンがかなりいる。(萩原)
・ 地域の要請が強く草の根的な交流を行っている。高校生が大学の授業を受けるフリークラスを行ったところ、思わぬ効果があり大学生に緊張感が生まれ好事例となった。オープンキャンパスで過年度の小論文試験の解説を行っており大人気、大学が求めているものを伝える。高校教員版も要望があり、どのような指導を行ったらよいのか解説している。(柴田)
・ 大阪大学では大阪・兵庫の教育委員会と組織間協定を結び高校支援を行っている。個別リクエストも多く対応しきれていない現状。オンラインでの授業提供が盛んになっており、時間や場所の制約が無くなるので、先取りして大学の授業を学ぶことも普及するのではないか。(川嶋)
・ 本学では高大連携科目等履修生をやっている。特色のある試みをモデルとして紹介していただければ。(芝井)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?