人を不愉快にさせる生き物

世の中には存在するだけで人を愉快にさせる生き物がいる。
多くの人間にとって犬や猫がそれにあたるだろう。

うちにも子犬がいるが、いつどんな角度から見ても可愛くないときがない。
嘘を知らない純粋な目。つい指で押したくなる鼻。質感と配置が絶妙にかわいい肉球。そしてあらゆる動作の数々が、多くの人を愉快な気分にさせるのである。

一方で犬や猫とは真逆の生き物もいる。
多くの日本人にとってゴキブリがそれにあたるだろう。
不気味な黒ぐろとした体。予測不可能な動き。予備動作のない急加速。繁殖能力の高さ。そして何より人の家に勝手に住み着く習性。犬とは対象的に、何をとっても不愉快なのだ。

小さい頃から重々自覚しているが、僕は後者の生き物にあたる。
人を不愉快にさせる才能に満ちているのだ。

そういえば面と向かってゴキブリみたいだねと言われたこともある。
当時はムッとしたものだが、今思えば見事に的を射た喩えだ。
口を利かなくなって20年が経つ兄に子供の頃よく気持ち悪いと言われていたが、それは兄一人ではなく世の人々を代表する声だったのである。

皮肉なことに、Noteに投稿すればするほどそれが確信に近づいていく。
自分の体臭にはなかなか気づかないと言うが、誰よりも悪臭を発しているのは僕自身なのだろう。


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