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ルッキズム?
小学校3年生のとき、川で捕まえたオタマジャクシを飼っていた。
「タマちゃん」という何のヒネリもない名前をつけられたそのオタマジャクシは、幼い僕にとって愛しいペットであり、唯一の話し相手でもあった。
しかしあるとき異変が起こる。
タマちゃんから手足が生えてきたのだ。
そう、タマちゃんはオタマジャクシからカエルに進化しようとしていたのである。
むろんポケモンではないため一瞬でカエルに姿が変わることはない。
日を追うごとに手足がニョキニョキと伸び、少しずつカエルに近づいていく。
しかし僕は複雑な感情を抱いていた。
カエルが嫌いなのだ。
オタマジャクシは当時の僕の認識からすると「魚っぽい」のでセーフだったのだが、カエルは「虫っぽい」ので完全にOUT。
虫っぽい生き物はすべて生理的に気持ち悪いのである。
僕はニョキニョキと手足が生えだしたタマちゃんに若干の気持ち悪さを感じていた。
オタマジャクシのタマちゃんは好きだが、カエルになったタマちゃんを僕は愛せるのだろうか。
そんなことを何日か考えていると、タマちゃんは突然死んだ。
まだ純粋な心が残っていた当時の僕はちょっと泣いた。
(数年後には親族が死んでも一滴の涙も流れない畜生に成長する)
あれから20年以上が経過し、今はプードルを飼っている。
言うまでもなくプードルはかわいい。
だがここであのときと同じ疑問が浮かぶ。
もし中身はそのままで見た目だけが変わったら、今と同じように愛せるだろうか?
プードルがパグに姿を変えても問題なく愛せる。
豚に変わってもおそらく愛せるだろう。
ではゴリラならどうか。
愛情の何割かは消え失せるが愛せると思う。
ではミミズならどうか。
ただちに家から追い出すに違いない。
ここ最近はルッキズムという言葉をよく目にするようになった。
人を見た目で判断するなというセリフも昔からある。
しかし見た目を切り離して対象を評価することは、現実にはかなり難しい。
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