小料理屋書評シリーズ!井上智洋『MMT 現代貨幣理論とは何か』その1

にゅん おかみ、ちょっとちょっと!

おかみ なあに?

にゅん MMTに興味があるなら一緒に本読まない?

おかみ えーっ 最近マルクスの方が面白いしMMTはにゅんさんでお腹いっぱいなんだけど。

にゅん まあ、読んでみてよ。大将と三人ではじめた「マルクス哲学、MMT、れいわ新選組」とは別に、小ネタもこの店でやれたらなって。

おかみ ブログでやらないの?

にゅん 書いてる時間がなくて、しゃべる方が早くてさ。

おかみ ものぐさだなあ。。。えっと、この本ね。

にゅん この本は著者の井上さんに感想まとめるよって宣言しちゃったし。

おかみ にゅんさんはもう読んだの?

にゅん うん。

おかみ あたしに読ませるってことは面白かったんだね?

にゅん そういうわけでは...

おかみ 何それ。

にゅん タイトルからみてこれは一見、MMTを説明したはずの本なんだけど。

おかみ 違うのか。

にゅん なんというかね。「中立の立場からMMTを解説しようとしたけれど、筆者自身はやっぱり主流だよ本」っていう感じがした。

おかみ ん?

にゅん 「はじめに」の冒頭を読んでみよう。

平成の三〇年間は、失われた三〇年で終わりました。この時代に私たちは多くのものを失ってきました。
デフレ不況とそれに伴う政府支出の出し惜しみによって、少なからぬ国民が生活の安定や人生そのものを失いました。我が国の国力衰退は、目を覆わんばかりです。この国を再興するには、デフレ不況からの完全な脱却を果たす以外にありません。そのためには、「拡張的財政政策」を大々的に実施する必要があります。

おかみ でもよくこういわれてるじゃん。テレビなんかで。

にゅん でもMMTからだと、こういう見立てにはならないわけ。にゅんがやるなら、「デフレ不況とそれに伴う政府支出の出し惜しみによって」というとこは丸ごと抜いて、本の中身で語るかな。入れるなら「財政赤字が少なく、その内容も適切ではなかったために」かなあ。

おかみ MMTの人だとデフレや不況を原因とは見ないんだよね。それ言うとすぐ怒る\(^o^)/(にゅんさん風に)

にゅん うう。あと「再興するには、デフレ不況からの完全な脱却を果たす以外にありません」は。。。

おかみ 結果的にそうなればいいじゃん!

にゅん 普通の本ならね。でも「MMT 現代貨幣理論とは何か」というタイトルの冒頭でそれをやっちゃいかんと思った。なぜなら、これもまさに「主流」ビュー。「デフレや不況を原因と認識し、デフレ不況からの脱却を重視するというものの考え方」。MMTからはその考え方「を」をやめたほうがいいという話になるんだね。さらに、

MMTは、拡張的財政政策を採用して借金を増やすのが正しいのか、逆に緊縮的財政政策を採用して借金を減らすのが正しいのか、という国の命運を左右するようなテーマに関わっています。この問題の重要性の前では、主流派経済学かどうかといったことは些末なことであり、最終的な賛否はさておくとしても、まずはMMTの主張に耳を傾けるべきでしょう。
私は、もとより拡張的財政政策を採用するのが正しいと思っており、その考えを補強したいがために、MMTの理解に努めました。その成果をまとめたのが、本書と言うことになります。

おかみ なるほど、著者は拡張的財政政策の採否判断のためにMMTを使いたいということだね。

にゅん そういう本だってわかっていたら買わなかったのに...「主流と非主流という区分にはあまり意味がない」とはどういうことかを説明するのかなと思っていた。

おかみ なるほど、「デフレ不況脱却のためには拡張的財政政策が正しい、という自説をMMTで補強するためにこの本を書くよ」という話みたいだね。にゅんさんが、書くとするとどうなるの?

大将 (横から)愛からだろ、愛

おかみ あはは、そうだよね。大将が好きなマルクスもまさにそうだよね。

大将 マルクスだと、同時代に自由や愛といったヒューマニズムの喪失を見て取り、哲学的にはヘーゲルとは別の意味の疎外を見出し、資本主義における私的所有の問題に行きついたと思うんだよね。

にゅん 大将のいつもの話か。でもそうだよね。

おかみ でも、著者を擁護すると、ベーシックインカムの本とかでは弱者への重点配分を主張されているそうだよ。

にゅん それはね。「生活保護があるから新自由主義でいいじゃん」っていうのと変わらないように思う。MMTは、働く意思と能力があるのにそれが十分にできていない人たちの「使われていない労働力」を大きな問題にしているわけだよ。失業だけでなくワープアも含めて。

おかみ 日本だとワープアの数がすごそう。

にゅん にゅんとしては、そうした政治によるリソースの使い方の問題と、あと金融不安定の問題が取り上げられていれば「MMT紹介本」として良い線行っていると感じるだろうし、インフレ目標批判がMMT的に正しく紹介されていればなおいいかな。

おかみ ふむ。

にゅん でも、まあ、ざっと読んだ限りではそういう印象ではなかった。でもちゃんと読めば実は違うかもしれないし。あと、もう一度読んでも同じ印象だったとしても、「主流から見るとMMTがこうなる」という話として意義なしとはしないかな。ブログに書くと大変だから、おかみがまとめてくれれば\(^o^)/

おかみ そか。ぼちぼちやっていこうか。じゃあ、次は第一章からだね。

にゅん よろしくー\(^o^)/

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